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素材表面にナノディンプルを形成することでフリクション低減を始め、部材強度、油膜保持性向上など、様々な効果がある表面処理は今までもあった。
だが、超微細ディンプルを使用したことで今までの表面処理とは異なる表面改質を図ったのが「AP-EXμ」。
希少なパーツを大事に使うためのコツ!
AP-EXμは勝てるマシンを作るためには予算を惜しまない2輪・4輪のレースなどでも既に採用されてきた。過酷なサーキットに使われるのはもちろんだが、トータルパフォーマンスを向上させるためにバイクや車のレストアにも広く使われてきている。
施工を請け負うアリック.ティ.シーでは業者間だけではなく、2013年7月からは個人向けにも窓口を開放して個人対応しているのがサンデーメカニックには嬉しい配慮だ。
AP-EXμを施す理由として主流となるのはフリクションの低減。エンジンの中部パーツに施工すれば、エンジンが軽く回るようになるのは当然の結果(画像は施工前にバラされたミッション)。
特に負荷の高い歯車やシャフト、ピン類など、面圧の高い摺動部品に対しては絶大な効果を発揮。入りの堅いシフトもシフトドラムに施工することで非常になめらかになる。例えばこの画像は施工前のカワサキ750RS(Z2)のミッションだが…。
AP-EXμが施工されるとこんなにまで奇麗になってくる。処理後は表面強度が上がるので、強化ミッションなどが発売されていない旧車においては強度アップとしてもマストだ。
先のミッションと同様に施工を依頼した750RSのノーマルカム(写真左)。5万キロの走行で焼けてしまい、若干のカジリの出ていたカムもAP-EXμによって蘇ることができた。油膜保持能力が向上するので、油膜切れを避けたいカムへの施工は数多くの依頼が来ていることだろう。
油膜保持が大切なピストンにはWPCを施工し「焼けてて使えないかも…」という微妙な状態のピストンピンもAP-EXμで綺麗に復活。別の車種になるが、筆者は試しにピストンリングとピストンピンのみAP-EXμを施工したエンジンでレースを走った経験があるが、限界まで回す結構前から今まで以上に急速に回転が伸びていくエンジンに変わり、明らかなフリクション低減を実感できた。
エンジン内部全てに施工するのは結構な金額になるのでなかなか難しいだろうが、要所にAP-EXμの表面改質を行えば明らかな違いが出る。
今まで乗ってきたエンジン内部の今までと同じパーツが表面処理を施すだけで別モノに変わるその瞬間…、これは性能アップ好きであれば是非とも体験してもらいたい。
新品パーツはもちろん、今まで使ってきた中古パーツにも施工できるのは嬉しい限りだ!