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一度想像してみましょう。ツーリングなどで遠出をしに高速道路に乗って、そこそこのスピードで高速道路を走行中…… 「あれ、そういえばタイヤメンテしたのっていつごろだったっけ?」と思った瞬間、タイヤがバースト!このまま放置しては大惨事につながります。
バイクで高速走行中、タイヤがバーストしてしまったら具体的にどうしたらいいのか。徹底考察してみましたので皆さまに共有いたします。
まず「パンク」と「バースト」の違いから
軽くジャブから入りましょう。そもそも「バースト」とは何か?「パンク」との違いとは?についてです。ご存知の方も多いとは思いますが、今一度改めて確認してみましょう。
「パンク」はその語源である「Pancture(穴をあける)」から、タイヤに釘などが刺さって穴が開いてしまい、空気が漏れ出してしまう状態のことを刺します。
対して「バースト」とはタイヤがひび割れたりして裂けてしまい、一気に空気が逃げ、瞬時に走行不能になってしまう症状を指します。
「パンク」が「点」であることに対して、「バースト」は「線」であることから、次元の違いが伝わるかと思います。
パンクならある程度の距離を走れるのに対して、バーストは一気にホイールが着地してしまうので走行不能になってしまうのです。走行できたとしてもホイールに傷がついたりして、ろくなことにはなりません。
最悪の場合、タイヤがぶりんっと脱げてしまうケースもあります。パンクだとなかなかこうにはなりませんよね。
高速走行中にバースト!まずどうする?
では対応マニュアルに移ります。
タイヤがバーストした時、「パァン!」という非常に大きな破裂音がします。前輪だと自分のものだとすぐ気づきますが、後輪だと気づきにくいかもしれません。
しかし、急にハンドルが取られる感覚があるのでコンマ数秒の差ですぐ気づくでしょう。特にバイクは横ブレにはめっぽう弱いですから、このままカーブを曲がろうとしたら99%転倒すると思います。
ですので対応としてはまず第一に「できるだけ曲がらない」ということが挙げられます。曲がらないと他の車両にぶつかってしまう、などのケースの際にはやむを得ず転倒覚悟で…… となってしまうかもしれませんが、なるべく曲がらないことが転倒を避ける有力な方法です。
特にフロントがバーストした際には、曲がるとほぼ確実に転倒が待ち受けています。要注意です。
次に、急ブレーキを避けて緩やかにブレーキをかけつつ、ゆっくりと路肩に寄っていきましょう。
ABSなどが搭載されているバイクでバースト時に急ブレーキをすると、全く止まれないだけでなくホイールがいろんな角度でガリガリと削られていきます。そうなるとバイクへのダメージは目も当てられませんね。
追突防止のためにも、ブレーキランプを点けつつ ゆっくり減速していきます。「はやく路肩に寄らなきゃ!」と焦る気持ちを落ち着けてハンドルをなるべく切りすぎないようにしましょう。先述のように転倒につながってしまいますからね。
そのままゆったりと路肩に寄って行ったら停車して、周りの安全を確認してから降車しましょう。その後はJAFなどのロードサービスに連絡して回収してもらいましょう。ひとまずこれで一件落着です。
実際に高速走行中にバーストした時の動画
実際に278㎞/hという高速走行中にリアタイヤがバーストした方の緊急停止を見てみましょう。
減速しつつ、路肩を目指してまっすぐ走行しています。「ジャイロ効果」によってある程度まっすぐ走れる恩恵がありますので、なるべく前輪と後輪の向きをそろえたまま走行するのはどうやら正解のようです。
そもそも何故バーストが起きるのか?原因と日ごろのメンテナンス
高速道路でのバーストにはクルマもバイクも共通して二種類あります。
まずひとつとして、夏場や天気がいい日に路面温度が上がり、熱によってタイヤの空気圧が上昇してタイヤが耐えられずにバーストというケース。
「タイヤが耐えられない」ということから擦れて薄くなってしまっていたり、ひびが入っていたりなどの副次的な要因も絡んできます。突起物を踏む、という外部的な要因もあります。
ふたつめとして、空気圧が足りない状態で走行することで「スタンディングウェーブ現象」が起き、それによりバーストしてしまうケースです。
「スタンディングウェーブ現象」とは、本来タイヤは真円で回転してるのですが、空気圧が足りないことから歪んだ波状の回転をしてしまい、タイヤ破損や異常加熱を起こしてバーストするケースです。
どちらもまず空気圧のメンテナンスの不可欠さを示していますね。また、大前提として安全な状態のタイヤを履くことです。
日常的に空気圧の点検は必要となってくるでしょう。誤解を招いてしまうので、あまり免罪符的なことは言いたくないのですが、どんなに忙しくても、せめて月1回は点検しつつ長距離走行や高速走行の予定がある場合には事前に点検をしましょう。もちろん毎日点検することに勝るものはありませんが。
走行距離や走行年数が多いタイヤは必ず履き替えましょう。タイヤの溝が減っていたり、経年劣化による傷などはおよそどのタイヤでも必ず起きますので、油断せずに出費を惜しまず交換しましょう。詳しい交換時期は上記の記事をご参考ください。
最後におさらいとしてまとめに目を通しましょう。
・バーストが起きたらなるべく曲がらないようにする
・急ブレーキを避けつつ後続車に減速を伝える
・路肩を目指して(ほぼ)まっすぐ進む
・停車、ロードサービスに連絡
簡単な流れとしては以上の通りです。
とても説教臭くなってしまい、申し訳ありませんでした。バーストすること自体なかなか巡り合わないことだと考えられがちですが、少なくとも身の回りのライダーで必ず一人は体験しているレベルで起こりうることです。
次のバースト体験者があなた自身にならないよう、そして何より、愛するバイクとともに気持ちよく走り続けるために、この記事を戒めにして日ごろの点検を心がけましょう。