この記事の目次
先月中旬、Bandit9がFacebookにて次のような投稿をしていました。
わざわざ翻訳機を使ったのか、かわいい日本語で「その通りです、すぐに来ます(原文:That’s right, it’s coming soon. )」とあります。
そして2018年12月下旬に待望の完成品がお披露目されました。その名も「ARTHUR & MERLIN」、対になっている二機のカスタムバイクです。あまりにも類を見ない奇抜かつ美麗なデザインでしたので、Bandit9の紹介とともにこちらを皆さまにお届けします。
まず「Bandit9」とは?
Bandit9はベトナムのホーチミンに拠点を構えるカスタムショップ。
正直に言いますと、最初「ベトナム」と聞いてオシャレなカスタムのイメージは全く抱いていませんでした(ベトナムの皆さま申し訳ありません…)。しかし冷静に考えれば日本製バイクが年間およそ300万台も売れているほどの巨大なバイク市場を持つベトナムです。カスタムカルチャーが磨かれるのは当然の流れですよね、認識が改められました。
しかし決して経済的に裕福ではないベトナムで、Bandit9は非常に高級感のあるカスタムを、実際に高価なバイクに施しています。ここがイメージのギャップだったんでしょうね、経済状況にそぐわない「先進的過ぎる」とも言えるカスタムデザインに度肝を抜かれる。そんなカスタムショップです。
では早速、そんな彼らが作り出す類稀なカスタムバイクたちをご覧ください。
2018年12月発表「ARTHUR & MERLIN」
アーサー王伝説にて登場する主要人物のアーサー王と大魔術師マーリンの名を冠した、ロイヤルエンフィールドをベースにした1対のカスタムバイクたち。イギリスバイクにふさわしいネーミングですね(生産はインドですが)。そしてあまりに神々しすぎる メタリックデザイン。まずは目玉のARTHURからご紹介してまいります。
ARTHUR
ロイヤルエンフィールドのコンチネンタルGTをベースに大改造を施されたARTHUR。もともとエンジンの機械美に定評のある単気筒バイクをベースにカスタムするだけあって、潔いフォルムと神秘的なオーラがプラスされ、唯一無二の上品なマシンへと昇華しています。
535㏄のエンジンまわりだけでなく、すべてのパーツにクローム処理やバフ掛けがされ、バイク全体が鏡面のように仕上がっています。また、使用されているオリジナルパーツはすべて鍛造の段階から自分たちの手で作り上げているとのこと。
フレームも非常に独創的な流線型を描いており、それでいて個々のパーツが絶妙なバランスで配置されています。
バーガンディカルフレザーを用いたシートやハンドルグリップが、クローム仕上げと綺麗にマッチしています。
リアサスペンションの構造やフットペグなど、とにかくオリジナリティに富んでいます。雰囲気にマッチした手曲げエキパイの造形も非常に美しいです。
詳細なカスタム内容は公表されていませんが、少なくともほとんどのパーツがワンオフであることは確かですね。9台の限定生産で、1台当たりの価格は1万9,800USドル(約230万円)とのこと。
MERLIN
アメリカンなライディングポジションのカスタムバイク「MERLIN」。細い滑らかな三角形のオリジナルリジッドフレームがとても独特なシルエットを生み出しています。
世界大戦を2度も渡り歩いたロイヤルエンフィールドの魂を継ぐMERLINは、歴史を感じさせる風貌と剛性に重きを置かれています。
特筆すべきカスタムポイントはソロシート。真ん中のメタルピースを22本のスプリングで吊るしたものをむき出しにしています。どうやらこれが意外と乗り心地バツグンらしいです。ウォレットチェーンなどが降車時に挟まってしまわないか心配になります…。
バーエンドミラーと上品なダイヤパターンのグリップです。こうしてみると、フロント周りは非常にスタンダードなカフェレーサースタイルの様にも見えるのですが…。
ライディングポジションは、若干ゼロスタイル。リジッドフレームのトライアンフ・チョッパーの様にも見えますね。
ちなみに、こちらの価格もARTHURと同じく1万9,800USドルで、9台のみの生産だそうです。
2台で実際に走る動画がこちら。形は明らかに異質ですが、それでも街に溶け込んでいるのはおそらく鏡面仕上げによって周りの景色の色を映し出しているからなのでしょう。
Bandit9 L-Concept Motorcycle
これも相当ド変態なカスタムですね…。まるでスタートレックに登場しそうな、直線と曲線のハーモニーを奏でるクローム基調のカスタムバイク「L-Concept」です。てっぺんからつま先までまさに異質。カウル、タンク、シートは1ピースのハンドメイドのパーツから作られています。
縦列に並んだLEDのヘッドライトがかっこいいですよね。ウィンカーをヘッドライトの両脇にさらに設けたら、ポケ〇ンのレジ系の顔みたいになりそうです!
ボディ下のタービンチックな筒の中身はもちろんエンジンで、この下に排気口が設けられています。吸気口を設けるのが非常に乙ですね! そしてボディとタービンをつなぐフレームは、どことなくホンダ・DAXを彷彿させます。
ハンドル形状もまた異質! それこそDAXの分割ハンドルのようでありながら、鬼プルバックからのツバメ返し!
テールランプは後ろのフィンのような格子の中に埋め込まれています。
こちらのカスタムバイクは9台のみの生産で残り台数は4台。それぞれの価格は1万950USドル(約120万円)だそうです。
Bandit9 Project Odyssey
現代離れしたデザインはまるで22世紀を見据えたかのような形となって現れました。前後のホイール&タイヤはオーソドックスなものの、エンジンやエキゾーストは隠され、あとは全て異次元から来たかのようなカウルに隠されています。
赤と黄色に変色するLEDテールランプがカウルのリア側リム一面に配置されています。必要最低限の情報しか表面に出していないのですね。
素材は高品質の鋼を使用し、Borani製のリム、Marzocchi製のフォーク、Beringer Aerotec製のブレーキシステムを積むことでデザインとパフォーマンスの両方を極限まで高みに持っていきました。
しかしまだ気を抜くことなかれ、すごいのはここからです。
なんとタンクの表面がまるで飛行機のアビオニクスのような情報を映し出すディスプレイになってるのです!メチャメチャかっこいい!スピード&タコメーターのモニタだけでなく、ナビとしての機能やその他詳細データを映し出してくれます。
まさにフューチャーデザイン。驚くことに「コンセプト」と言いつつ、既に実働品を製造し販売までしています。こちらも同じく9台限定の製造販売で、それぞれの価格は6万8,000USドル(約760万円)です。やっぱ高ぇ!
Bandit9 Dark Side Motorcycle
スターウォーズなネーミングのこちらの車両は、ハーレーをベースにしたカスタムバイクです。デザイン、パフォーマンス、職人意匠すべてが詰め込まれた素晴らしいマシンですね。
イメージとしては月面を駆け巡るローグライクなマシンのようです。SFチックなダークヒーローが乗っているのが描かれています。
コックピットデザインやスチール製ワンオフカウルのデザインが、とてもスペースファイターっぽい雰囲気を醸し出しており、オトコ心をくすぐります。水冷VツインをSFデザインで殺さないよう、細心の配慮がされていることが見て取れます。
控えめなテールランプやハンドスティッチが施された超ミニレザーシート、タンクやウィンドシールドに至るまであらゆるパーツがワンオフとのこと。
動画はこちらです。街行く車をバンバン抜き去りながらいい音を響かせてかけてゆく姿はまさに牡馬。ミラーがないため日本のレギュレーションではさらにもう少しカスタムが必要ですね。
9台限定生産販売で、価格は3万2,000USドル(約360万円)だそうです。
未来を見据えるベトナムのカスタムショップ「Bandit9」、その名の通り生産するバイクは各種世界で9台ずつのみ。なんとも謎に包まれたロマンの塊のようなカスタムショップですね……。Bandit9の今後の動向から目が離せません!