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雨の日のライディング。
クルマの運転であれば、「あれはあれでオツなもんだよね」なんて嘯いていられますが、好き好んで雨の中をバイクで走りたいという人は、筆者の知る限り誰もいません。
視界・路面状況・運転操作・体力といった面で各段にリスクは跳ね上がりますし、バイクそのものと革製品や電子製品を濡らしてしまうリスクや、帰着してからそれらのメンテや後始末を考えるだけで気が重くなってしまいます。
筆者はソロ行動が多いため、天気予報や実際の空模様から比較的簡単に予定キャンセルしたり、早々にクルマでの行程に切り替えてしまうほうではあります。
今回の記事では、あらかじめ備えておく場合と、備えがなかった場合の対処に分けてそれぞれご紹介します。
あらかじめ準備する場合
ある程度の日数泊数のロングツーリングで、雨具の携行を全く考慮しないということは基本的にないはずです。
日常においても、収納スペースに雨具の各種がすっぽり収まってしまう車種であれば、なんの問題もありませんね。
知人のCB1300ぐらい大きなものだと、ネイキッドといえどシート下にカッパが余裕で収納できるだけのスペースがあると聞きましたし、スクーターや追加ラゲッジを常設している車両であれば特に問題はないでしょう。
その他の収納スペースに余裕のないバイクの場合は、後席にくくりつけるなり、リュック・バッグに収納して身に着けておくことになりますが、その場合のカッパ選びは意外と重要なポイントとなります。
雨天でのライディングに万全を期すもの
着用時の蒸れ、雨水の侵入と滲み込みといったところで、雨天ライディングの快適性に出来得るかぎりの対策をしたものですが、携帯性には難がある場合が多いです。
しかしながら、近年のゴアテックス等の新素材を使ったものは携帯性までも備えていますが、そのぶんかなり高価になります。
旧来素材のものは安価ではありますが、上記に比べると蒸れたり滲みたり収納に嵩張ったりします。
あらかじめ雨を想定して出かける場合は、たとえ嵩張ってもしっかりしたものを準備しておけばよいでしょう。
なお、着脱での使い勝手や荷物等を身に着けたまま着用できるように大き目を選ぶケースが多いですが、走行風で過剰にバタつくのは地味に体力を削られますので、できるだけ乗車・走行を考慮してあって自分にサイズの合った製品を選ぶことも重要です。
携帯性を重視したもの
ちょっとした雨でカッパを着こむこと自体、かなり面倒なことではあります。
雨に降られずに済むならそれに越したことはないですし、その場合に余計な荷物はできるだけ持ちたくないというケースも多いはずです。
少々の雨であればそのままでも凌げる、アウターシェルに撥水性をもたせたライディングジャケットやライディングパンツを基本として、カッパは思い切り携帯性に振って、ウェストポーチやタンクバッグにでも仕舞っておけるような比較的簡便なものにするという手もあります。
備えがない場合
運悪く何も備えのない状態での急に振り始めた場合の善後策としては、どういったことが考えられるでしょうか?
備えがない=上項で触れたようなロングツーリング等ではない、日常や日帰りツーリングでのことを前提とします。
走るのをやめる
時間や都合が許せば、余裕のあるうちにいったん走るのをやめてしまうのが一番確実で安全です。
無理に走っていて自覚のないままに体力を奪われていきながら、急激な豪雨への変化や廻りのクルマからの水しぶきで視界を奪われるのが最も危険です。
事態が好転するまで安全で快適なところに滞留して、のんびり過ごすのもまたバイクとの付き合い方ではあります。
とはいえ長引きそうな場合に、出先にバイクを置いて帰ってしまうというのもあまり現実的ではありません。
それでも走らざるを得ない場合
季節と距離次第ではありますが、とりあえず濡れたまま走行風に当たって体温・体力を奪われるのが一番問題となる点です。
近隣に二輪用品店やホームセンターや作業着屋があれば、雨具を買ってしまうのが最善策ではあるでしょう。
既に芯まで濡れていても、風雨を通さないもう1枚を重ねることにより、ウェットスーツのような状態には近づけます。
私自身やったことはないので、どのくらい実効性や走行風への耐久性があるかは不明ですが、コンビニに飛び込んでカッパ(500円+αくらい)や、黒い大きなビニール袋を被ったりするのも、「濡れないため」というよりも「それ以上冷えないため」には有効かもしれません。
荷物があるならば、そちらの防水にもビニール袋は役にたつでしょう。
RocketNews24 大手コンビニ3社のレインコートを徹底比較! 最強のカッパはコレだ!!
オマケ
前項まで主要な雨具について書きましたが、それ以外の諸々についても触れておきます。
予備グローブ
完全に雨仕様のグローブもありますが、比較的暖かい季節のロンツーであれば、乾きの速い安物を雨用に一双余分に持っておいて本命を温存しておくほうがその後の運転操作が快適です。
ブーツカバー
靴まで予備を持ち歩くのはなかなか難しいので・・・・・・
もちろんちゃんとしたバイクアパレルメーカーのものを用意できればそれに越したことはありませんが、百均のブーツカバーでも歩きまわることが目的ではないため、見た目を別にすればなかなかに使えます。
撥水剤
上項でも触れた撥水性アウターのジャケット・パンツ等は、定期的に撥水スプレーをしてやることにより、撥水性能が持続・回復します。
撥水スプレーなら何でもOKというわけではない場合もあると思いますので、付属の説明書等を熟読して選択しましょう。
なお、ヘルメットのシールドにも普段からメンテナンスとして撥水コートしておくのはオススメです。
(雨が降り始めてから急きょ施工するタイプのものよりも、あらかじめ施工するもののほうが撥水効果が高い&長持ちします)
用品店では四輪のガラス専用のものがメインで並んでいることが多いので、購入する際には必ずプラスチック(ポリカーボネイト)にも使えることを必ず確認しましょう。ガラス専用のものの場合ソルベントクラック(微細なヒビ)を誘発する恐れがあります。
ヘルメットシールド専用に1回ぶんずつパックになった携帯クリーナー兼撥水コート剤のシートもありますので、常備しておいても決して損にはならないでしょう。
なお、撥水性能が落ちてきた/速度が乗らなくて弾きが悪いといった場合に。
グローブで拭ってしまうと革グローブの油分が移ったり、微細な傷がついたりするので注意です。
カウルつきモデルであればカウル上端、ネイキッドであればメーター上端あたりの走行中に乱流が発生する場所にシールドを近づけるように伏せると綺麗に水玉が飛ばせるので覚えておきましょう。
曇り止め
その昔雨天のライディングでは一番うっとおしかったシールドの曇り。
これは最近の1流メーカーのヘルメットには必ず標準装備かオプション設定のある二重シールド(ピンロックシールド)があれば、まず問題になることはないでしょう。
まとめ
私もかつてはそうでしたが、とかく若いうちや体力技術に自信がある人ほど、気づかないうちに無理をしてしまいがちです。
雨天でのライディングは、臆病なくらいでもちょうどよいのではないでしょうか。