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先日のことである。前を走っていたクルマがあり得ないような場所で急ブレーキを踏んだことにより、すぐ後ろを走っていた筆者はパニックに陥いり、同様に急ブレーキを踏み、結果、前輪がロックをしてしまい、駅前でコケるという羞恥プレイを味わうこととなった。コケる原因を作ったクルマは素知らぬ顔で去ってしまい、後には無惨に壊れた愛車と屈辱感にまみれた筆者だけという有様であった…。
それにしても、何故、前輪はロックしてしまったのだろう? 急ブレーキをかけたにしろ、ロックするほどのスピードは出していなかった。そしてタイヤの溝もしっかりと残っていた…。恥を忍んで知人に話をしたところ、こういう答えを頂戴した「それ、タイヤが終わってるんだよ」。
何故、タイヤが終わってると、知人は言い切れたのか? わからないことだらけの筆者は、タイヤについて勉強をしてみることにした。というわけで、今回は身近でありながら、最も重要なパーツの一つ、タイヤについて学んでいこう。
タイヤの交換時期は3つのチェックポイントが知らせてくれる
タイヤ交換にはチェックポイントがあって、それを目安に交換時期か否かを判断しているという。そのチェックポイントとは下記の通りである。
- タイヤにスリップサインが出ているか否か?
- タイヤにヒビが入っているか否か?
- タイヤの使用年数
それでは上記したことについての詳細について語ってみよう。
スリップサインはタイヤの溝が1.6mm以下になると出現する
http://www.defigo.co.kr/shop/data/file/free/1345136542_a2835a68_slip%2Bsign.jpg
通常、新しいタイヤには約7〜8mmの溝が掘られているが、このタイヤの溝が1.6mm以下になるとタイヤのスリップサインが出てくる。このスリップサインが出てくることが、溝がすり減っている証であり、車検も通らなくなるので、即交換が必要となる。
交換時期の目安としてはスリップサインが出る前、溝が2mm~3mmになった時だ。ガソリンスタンドによっては計って貰えるところもある。
タイヤのヒビは様々な要因から発生する
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/47/Weather-cracked_Tire.JPG
タイヤのヒビは空気圧の不足、道路の熱や紫外線による劣化、縁石などに乗り上げた時にかかる過加重など、様々な要因でゴムが劣化した際に発生する、もう一つのタイヤの交換サインだ。
雨に打たれる場所、紫外線にさらされる場所、高温の場所などに長期間放置すると、ゴムの劣化が早まり、ひび割れも発生しやすくなる。カバーなどをかけて保管することで、ヒビ割れの発生要因を減らすことが、タイヤの寿命も伸ばすこととなるのだ。
タイヤの寿命使用年数は3〜4年
タイヤにはひび割れを防ぐ「ひび割れ劣化剤」という油分が入っているが、年数が経つとその油分が抜けていくことでタイヤのゴムが硬化し、結果、タイヤは劣化していくこととなる。仮にタイヤを風雨にさらされない環境で保管していたとしても、自然と劣化は進んでいくこととなるのだ。上記したスリップサインやヒビ割れが出ておらずとも、タイヤは寿命を迎えてしまう。交換の目安としては3〜4年だという。
また、タイヤの横には世界各国共通で製造年週が4桁から6桁の数字で刻印されている。下2桁が製造年となっているので、そちらを確認することも重要だ。
タイヤのゴムが1mm摩耗するのに5,000km
タイヤのゴムが1mm摩耗するのには約5,000km程度かかると言われている。つまり、新品時8mmのタイヤがスリップサインが表示される1.6mmまで摩耗するまでに走れるのは32,000kmほどという計算が導き出される。もちろん、車種によってもタイヤの種類によっても消耗度は大きく異なるが、目安として3万キロ程度で寿命だと考えるといいだろう。
かくて愛車のタイヤは要交換という結論となった
さて、タイヤの交換の目安となるポイントはそれほど多くはなく、素人目にもわかりやすいということがわかった。では、何故、筆者のバイクのタイヤはロックをしてしまったのか? まず、スリップサインは当然、出ていない。むしろ、溝は9割方、しっかりと残されていた。ヒビ割れなどといった劣化も見当たらなかった。バイクはガレージに保管の上、カバーをかけており、車体にもタイヤにも優しい環境を心がけていた。
となると、考えられるのは耐用年数にある。タイヤに刻まれていた刻印は、下二桁が「08」とあった。すなわち、2008年に作られたタイヤであり、すでに9年を過ぎていることが判明した。これこそが前輪がロックしてしまった原因だったのだ。見た目には奇麗なタイヤではあったが、油分が抜けて硬化していたのであろう。
かくして筆者はタイヤという重要なパーツを見た目だけで判断したばかりに、痛い目に遭ったのみならず、バイクはキズだらけになり、タイヤまで交換する羽目に陥った。ちゃんと、タイヤの耐用年数を考慮していれば、タイヤの交換だけで済んだのである。この記事を読まれた方は、くれぐれも見た目に惑わされず、安全なドライブを心がけて欲しいと思うばかりである。