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大きな事故を起こしたしまった場合、多くの場合は廃車になることが多く、廃車にならなくても部品取り車になることがほとんどでしょう。しかし今回紹介するカスタムバイクのBMW TITANIUM TIGERは、事故で大きな損傷を受けたBMW R100GSをベースに製作されたものです。
限りある資源を大切に、そして潰れてしまったバイクにもう一度走る喜びを与える、という試みは、時代にあったカスタムバイクの事例といえるでしょう。
TSD Motorcyclesが手がけたカスタムバイク
エンデューロモデルのバイクであったBMW R100GSをベースに製作されたBMW TITANIUM TIGERは、TSD Motorcyclesが手がけたカスタムバイクです。TSD (Twin Shock Division) Motorcyclesはウクライナの首都キエフにあるカスタムバイクショップになります。筆者が感じたこのショップの手がけるバイクの印象としては、派手ではなくシンプルで落ちついたデザイン、けれども個性・独自性が際立つバイク、といったところでしょうか。
始まりはジャンクヤードから
実はこのBMW TITANIUM TIGERのベース車両はジャンクヤード(解体屋)から引っ張ってきた事故車なのです。事故に遭った後、スクラップ車両としてジャンクヤードに運ばれ、そこでTSDと出会った、というのがすべての物語の始まりでした。
事故当時の状態は、フロントフォーク全損、フレームも部分的に損傷、エンジンも部分的に損傷・始動不可、と散々な状態でした。
構造的特徴をチェック
“Solid Shell(=硬い殻)”をテーマに、タンクとテール部分は溶接で一体化されています。
チタニウムを使ったパーツが数多く装着されている点もポイントです。シェル、エキゾースト、ヘッドライトカウルをチタンから削り出しで製作しています。
新作の電装系アクセサリーセットやフロントフォーク、そしてちょっとしたチタン製アクセサリーも取り付けられています。
全体のデザインをチェック
BMW TITANIUM TIGERのデザインは、全体的にシンプルで、武骨さが如実に表れている印象です。
ベースとなったR100GS自体がエンデューロモデルだったこともあり、どちらかというと機能美的な要素のバイクでしたが、BMW TITANIUM TIGERの場合は武骨な芸術品という言葉が相応しいでしょう。
ハーレー用のヘッドライトをオリジナルのハウジングで加工取付しています。ナットのような武骨なデザインが最高にロマンです。
BMW TITANIUM TIGERの数ある写真の中でも筆者が特に好きなのはこの写真です。シェル表面のチタン溶接のあとが幻想的で、気持ち良さそうなシート表面が全体に柔らかなイメージを与えてくれます。きわめつけはテール先端に取り付けられている灯火類です。
後方排気マフラーに見えたり、ケンメリ スカイラインのテールランプデザインに似ているます。無駄なく機能美・洗練性も兼ね備えているなど、見事でしょう。
BMW TITANIUM TIGERは現在販売中
スクラップ状態のバイクから姿を変えて見事復活したBMW TITANIUM TIGERは現在販売中とのことで、次のオーナーを探しているようです。所在地はウクライナのためかなり遠いですが、どうしても欲しい方は一度問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
最近事故でバイクを潰してしまったという方も、思い切ってカスタム車両に仕上げてみても、良いかもしれません。