この記事の目次
2019年公開予定のはずがいつの間にか2020年7月10日公開予定に延期、さらに2020年12月23日にまで延期された「Top Gun : Maverick (トップガン:マーヴェリック)」は、かつて私たちを熱狂させた「トップガン(1986)」の続編で、世界中から期待の視線を向けられています。
今回は、そんな期待作品を見る前に、ライダーならば必ず知っておきたい予備知識いたします!
主人公の愛車、新旧比較
世界中にバイクブーム、ニンジャブームを巻き起こした罪な作品「トップガン」。主人公のピートは中身の俳優であるトム・クルーズと同じくかなりのバイク好きな人物として描かれ、当時まだ「Ninja」の名を持っていなかったGPZ900Rに乗って登場してきます。
ただ、前作で登場したのはこのGPZ900Rのみ。しかし今作では複数バイクが登場するようです。
今作も登場!カワサキGPZ900R
1984年に生産されたカワサキのGPZ900Rは、前作で観る者を魅了した伝説的な名車。初めて「Ninja」の名を冠したバイクで、今作でもピートが移動する際に乗っているのが見れます。
トップガンに登場するGPZ900Rはアンダーカウルが取り外されて、アッパーカウルは黒く塗られたライトカスタムマシンです。北米で「Ninja」の愛称で親しまれ、世界に「Kawasaki」の名を轟かせた偉大な名車です。
ただ、このカットでどうしても気になってしまうのは、この後ろに飾られた香ばしい見た目のビンテージ達……。
ビンテージバイクの数々、アストンマーチンの姿も
それぞれを完全に特定することはできませんが、古き良きビンテージバイクが壁にズラリ!一番右には通称「バスタブ」のトライアンフ3TA Twenty-One、その下にはカワサキ・KX450らしきオフ車が鎮座していますね。
真ん中にスタンバっているのは伝説のカワサキ・Z1でしょうか?
何気に画面左側にはアストンマーチンDBR1がひっそりと鎮座しているのもなかなかにクレイジーです。何気にオークションでは24億円の値が付く代物です。
現代のNinja H2R
そして皆さまご存知のカワサキ・H2Rが登場します。スーパーチャージャーを搭載したモンスターマシンでスーパーホーネットと並走する姿は、前作へのオマージュですね。
タンデムシーンのオマージュも忘れない制作陣には惜しみない拍手を送りたいです。
https://forride.jp/motorcycle/kawasaki-ninja-h2r-2018
H2Rってなに?という方はおそらくいらっしゃらないとは思いますが、もしH2Rについて詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
トム・クルーズのファッション
さて、トム・クルーズとトップガンがブームを起こしたのはカワサキ・ニンジャだけではありません。トップガンに登場する主人公のファッションにもズームインしてみましょう。
G-1ジャケット
「G-1」は革ベースにムートンの襟が特徴の海軍フライトジャケットです。詳しい歴史は省きますが、俗に言う「ミリタリージャケット」のひとつです。どちらかというと壮年の方に似合う渋いテイストですね。
トム・クルーズのG-1には若者らしくパッチカスタムが施されています。基本的に、やんちゃな人がボロボロにしてしまった服のほつれを隠すためのパッチですが、色合いという意味でのオシャレとしてや、自分の所属を誇示するためにパッチをつけたりもします。
前作のトップガンではアメリカ国旗、国連旗、日本国旗、台湾国旗の4つを併せた背中のワッペンが印象的でしたが、今作では中国のスポンサー(テンセント・ピクチャーズなど)への折衷なのか、日本と台湾の国旗がありません。
レイバン・サングラス
トム・クルーズといえばサングラス、と言われるまでイメージが強いサングラス。最近では「バリーシール」という映画でもレイバンのサングラスを着用していましたね。
「トップガン」「トップガン:マーヴェリック」に登場するのは、アメリカ空軍に正式採用された歴史を持つレイバンのサングラス。定番のアビエイター(58mmサイズ)です。
遡ること1923年に、ジョン・マクレディ中尉という伝説的なパイロットが、太陽光線による眼球への弊害を憂いてボシュロム社(レイバンブランドを作った会社)に開発を要請、6年かけて完成した飛行士(Aviator)向け遮光機能搭載アイウェアが現・アビエイターならびにサングラスの源流です。
ちなみにこの開発がのちに「Ray(光)Ban(禁止する)」というブランド名の由来にもなってきます。
MA-1じゃない!CWU-45/Pだ!
前作「トップガン」では着用していなかったことで話題になった「MA-1」でしたが、今作でもどうやら着用されていません。代わりにこのようなジャケットが着用されています。
「え?これMA-1じゃないの?」と思った方は、実はいい目をお持ちです。MA-1に襟が生えただけのように見えるこのフライトジャケットは「CWU-45/P」と呼ばれるMA-1の後継モデルで、アメリカ陸・海・空軍&海兵隊に採用されているインターミディエート(中間モデル)・フライトジャケットなんです。
難燃性素材の「ノーメリック」を採用し、キルティング地や肉厚ナイロンで保温性・防風性も確保している最新鋭のジャケットです。これにもパッチカスタムがふんだんに施されていますね!
以上が「トップガン:マーヴェリック」に登場するアイコニックなファッションアイテムでした!
登場する機体は…?
前作ではアメリカ海軍の第4世代戦闘機であるF-14 トムキャットに搭乗していたピート。今作では一体どんな機体に乗るのでしょうか?
F/A-18E/F スーパーホーネット
今回ピートは第4.5世代という、第4世代の戦闘機が大幅に改修された時期のF/A-18E/F スーパーホーネットに搭乗しています。旧マクダネル・ダグラス社、現ボーイング社が手がけた戦闘機で、大幅な改修によって機体サイズがD型より一回り大きくなっています。
アメリカ海軍に配備されているこの艦上戦闘機は格納のために翼を90°折り曲げることができる機体で、ピートは単座型のF/A-18Eに乗っていることが劇中のカットからわかります。
オリジナル機体?SR-72
彼が乗るのはスーパーホーネットだけではありません。こちらのあまり見かけないシルエットの機体にも着目しましょう。
この機体に乗る際にピートが身に着けているのは高度予圧服と呼ばれるパイロットスーツで、NASAの宇宙服と似た構造を持った特殊な専用服。これを必要とするということは高高度の飛行をする、という意味です。
その運用コンセプトと、このカットのシルエットから、ロッキードマーチンのSR-71ブラックバードの後継機である無人航空機SR-72の有人バージョン(作品のオリジナル機体)なのではないかと推測されます。
P-51Dマスタング(トム・クルーズの私物?)
さらにはハンガーに格納されているP-51Dマスタングにも搭乗します。P-51マスタングは第二次世界大戦において圧倒的な速力を誇ったアメリカの傑作戦闘機です。
実は2012年にトム・クルーズはこのP-51マスタングを購入しており、その機体の尾翼に刻まれた「412」のナンバーと、上のトレーラーカットに映るマスタングのナンバーが同じことから、私的なコレクションを映画でも有効活用した、ということなのではないかと推察されます。
複座に女性パイロットらしき人を乗せていることから、おそらく人間関係を築く上で重要な役割を担うのでしょう。
以上3機が、ピートが今作で乗る機体であることがトレーラーからわかります。本編ではまた別の機体に乗ったりするのでしょうか……?
主人公の立ち位置と舞台
さて、前作の記憶も薄れ、なんとなく「トム・クルーズが戦闘機に乗ってかっこよく強いバトルするんだろうなー」と思ってしまっている方もいるのではないでしょうか?せっかくなので前作を振り返りつつ、今作のトレーラーから読み取れる舞台設定を読み解いてみましょう。
前作「トップガン」を爆速でおさらい(ネタバレ注意)
アメリカ海軍に所属する戦闘機パイロット・ピートは天才肌のパイロットで、ひょんなことから世界最高のエリートパイロット育成所であるアメリカ海軍戦闘機兵器学校、通称「トップガン」に通うことになります。
育成所でも破天荒な操縦を繰り広げていたピートでしたが、ある日アクシデントで機体と相棒・グースを失ってしまいます。これをきっかけにピートは自信と恐怖心が逆転してしまい、すっかり委縮してしまいます。
ここで、ピートは最強教官・ヴァイパーから機密事項である父の死の真相を知り、戦意が快復します。直後告げられるスクランブル出撃要請、再び空に舞うことになったピートの頭にはトラウマと決意が渦巻きます。
撃墜されてしまった先鋒の姿に怯みつつも、襲われる味方機と、亡き相棒のドッグタグを見て奮い立ったピートは目まぐるしい戦闘力を発揮し、みごと敵対勢力の飛行編隊を撃退します。
今作のストーリーは…?
かつて大尉として前作で活躍したピートは、軍に入ってから30年経った今では大佐という階級。しかし、本来であれば「Two Star Admiral」つまり海軍少将になれていたはず、ということがトレイラーで言及されています。
ここ40年のうち、敵機を3機も撃墜したことのある戦闘経験の保持者は彼ひとり。そんなピートが今作では教官を務めることになります。前作のヴァイパーと同じポジションですね。
ピートが教官を務める先は、かつて彼自身も卒業したアメリカ海軍戦闘機兵器学校という戦闘機パイロットの最精鋭を育てる教練所「トップガン」。生徒には「恐るべき先人」「本プログラムの最高傑作」と紹介されるが、どうやらトレイラーでは序盤の方で生徒にナメられてしまっているようにも見えました。
トレーラーでは敵機が登場しないため、果たしてどんなストーリーになるかは予想できませんが、生徒と信頼関係を築いていく描写から、前作と同じく「家族愛・友情・犠牲」を描く物語であることが推察できます。
極めつけにはこのポストストールマニューバ!前作で3機目のミグ機を屠った減速テクニックを生徒に見せつけ、圧倒的な実力と経験の差を叩きつけています。
トム・クルーズと血の滲むような訓練
最後に紹介するのは、トム・クルーズが今作のために経た途方もない訓練の数々です。アメリカ軍の正式なサポートを受け、最高峰のパイロット達と実物の戦闘機を提供された上で、トム・クルーズや共演者たちは飛行訓練に臨みました。
機内をIMAXクオリティで6アングル同時に撮影できるカメラを眼前に設置し、視界が限られた中で発艦・着艦シーケンスを自ら行うトム・クルーズは、おそらくこのまま軍属パイロットとしても通用する手腕の持ち主なのではないでしょうか。
アクロバットな飛行で7.5G~8Gもの負担をその身に受けながら撮影に挑むトム・クルーズ。Gによる顔面のゆがみは映像に更なるリアリティを持たせてくれます。というかマジモンですものね。
トム・クルーズ自身、撮影中にブラックアウトしかけることも……無論、保険会社はこんな無茶なことをする人との契約はまっぴら御免。かつての「ミッション・インポッシブル / フォールアウト」の撮影と同じく、おそらく「トップガン:マーヴェリック」の撮影でも医療保険は適用されなかったでしょう。
番外編:アメリカ海軍 VS アメリカ空軍 @Twitter
「トップガン:マーヴェリック」の公開に当たり、アメリカ軍の内部でちょっとした小競り合いがあったのは皆さまご存知でしょうか?
#Day1 pic.twitter.com/7jjPL277Es
— Tom Cruise (@TomCruise) May 31, 2018
トム・クルーズの告知に対し……
If Maverick really had a need for speed, he could hop into one of our F-15E Strike Eagles! #DYK: They have a top speed of 1,875 miles per hour. https://t.co/RQtJoWfGJo
— U.S. Air Force (@usairforce) May 31, 2018
なんとアメリカ空軍の公式Twitterアカウントが「(スーパーホーネットなんかじゃなくて)ウチのF-15E イーグル使えばいいのに!」と引用リツイート!
The F-15 knows nothing about this “second place” thing you speak of. Check the scoreboard! #Undefeated https://t.co/tOj6GZ9Ei4
— U.S. Air Force (@usairforce) May 31, 2018
すかさずアメリカ海軍の公式Twitterアカウントが「2番手には興味ないんで(ツーン」と突き飛ばすも、空軍側が「2番手ってなんのこと?スコアボード見てみようぜ」とさらに挑発、空軍のイーグルと海軍のスーパーホーネットを性能比較してマウントを取りに行きます。
そこになんとアメリカ海兵隊が乱入!「それ(イーグル)って空母から発艦できるんかい?」と空軍のツイートを蹴飛ばし、炎上。現在ではそのツイートは削除されています。
ここからさらに議論はヒートアップし、さらにフランスやカナダが茶々を入れ、カオスを極めていました。
まとめ
さあ、これでかなり予備知識がついたのではないでしょうか?「トップガン:マーヴェリック」の公開予定日は2020年の7月10日、観に行くときはみんなでフライトジャケットとサングラスを着用していきましょう!