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ヤマハのXS650は、高速道路の開通もあり、大排気量化とスピードの追求がトレンドだった1970年代にヤマハが投入したネイキッドスポーツバイク。軽量かつコンパクトな車体が特徴で、日本国内では過去に白バイ車両として採用された実績もあります。
そんなXS650にはアメリカンモデルの末弟がいました。それがXS650スペシャルです。日本のアメリカンの元祖とも言われるこの1台をベースに、ドイツのカスタムバイクショップHookie Coはボバースタイルにリメイク。古典的な機構をあえて残すことで、近代的なスタイルの中にクラシカルな雰囲気を漂わせています。
際立つモノトーンスタイル
「シンプルさに極限までこだわった結果たどり着いた境地」と言わんばかりのカラーリングです。フロントフォークやマフラーのシルバーがモノトーンのカッコよさを際立てています。
オールドスタイルを残しながら現代風にカスタム
ベース車両のヤマハ XS650スペシャルはすでに40年近く前のバイク。カスタムにあたってはあえてそのクラシカルさを匂わせつつ現代風のパッケージに仕上げられており、ビルダーのこだわりを感じます。
エンジン、前後ブレーキ、そしてフロントサスペンションといった主要消耗部品はオーバーホールされて新品同様となっています。さらにマスターシリンダーも新品へ交換していて、フロントフォークは2インチのローダウン。元々アップハンドルだったのもありますが、バーハンドルへの変更も相まって、ネイキッドバイクらしいポジションに調整されています。
リアサスペンションは世界中に愛用ユーザーを持つYSSのツインサスをチョイス。ダンパーケースにプリントされているメーカーロゴがさりげなく見えるところはクールですね。
リアブレーキは純正のドラム式があえて残されています。現行のモデルでもヤマハSR400がそうであるように、クラシカルな雰囲気を保つにはそのままの方が良いに決まってます。制動性だって十分ありますし、イメージを優先したビルダーの英断には拍手を送りたいくらいです。
電装系に注目すると配線の引き直しやキーレス化、そして灯火類のLED化など現代化が行われています。その他、レザーシートやレザーグリップなど人が触れる部分へレザーを採用して質感にもこだわる気合の入れようです。
テールカバーをマウントするリアループにはLEDライトを埋め込むことでスッキリ。こうした思い切りはカスタムバイクならではですね。
パワーフィルターで存在感マシマシのツインキャブレター
1980年代のバイクと聞いて浮かぶものといえば、やっぱりキャブレター。XS650スペシャルはパラレルツインのためキャブレターは2つ装備されています。それぞれのキャブにより強力な吸気を可能とするパワーフィルター(XSの文字入り)がチョイスされているあたり、見た目のインパクトも大。燃料タンクとシートの下に潜る形となっていますが、雨天時は水分を吸ってしまいそうでちょっと心配ですが……とにかくカッコいいは正義です。
日本のカスタムシーンが世界へ伝搬
全体のバランスとシルエットを重視したカスタムは、ある意味、日本のシングル・ツイン系カスタムでは定番のスタイルである「ジャパニーズボバーカスタム」といえます。東京のブラットスタイルを筆頭に、大阪のモーターガレージグッズや三重のグラベルクルーなど、日本のビルダーのセンスを海外ビルダーが評価してくれていると言っても過言ではありません。
遠くドイツでも日本の魂が息づいているなんてなんだか胸が熱くなってきますね。