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機能的な新しい素材のバイク用ジャケットが増えてきている現代でも、革ジャンは多くのバイカーから愛されています。風を防ぎ、転倒した時には身体を守ってくれる信頼性。そして、そのカッコ良さは一目瞭然。
王道のファッションとして1着は持っておきたいですが、実は一口に革ジャンと言ってもいくつかのデザインがあるって知ってましたか?それによって着こなしや見た目も変わってきます。
選び方には要注意!下手したらバイクに傷をつけてしまうかも…?デザインごとの特徴と注意点をご紹介します!
バイク用の革ジャンとそうじゃない革ジャン
種類様々な革ジャンの中でも、一般的なのがフライトジャケットとライダースジャケットです。フライトジャケットは、その名前の通り飛行機に乗るときに着用していたジャケットです。高い防風性が必要とされる飛行服には、風を通さない革はピッタリだったんですね。
そして、バイカーに多く愛されているのがご存知ライダースジャケット。転倒した時に体へのダメージが少なくなるように作られていたり、袖や襟、ポケットからの風の流入を防ぐためにファスナーをつけてあったりと、バイクに乗るためのデザインになっているのが特徴です。更にライダースジャケットもデザインが2つに分かれます。
大きく分けるとシングルかダブルか
前開きを閉じるファスナーが体の真ん中についているのが「シングル」でファスナーが右か左かに寄った位置についているのが「ダブル」です。
見た目だけだと、シングルはシンプルでスマート。スッキリしていてキレイめなイメージでしょうか。ダブルは武骨でワイルド。男らしさを感じられる存在感のあるイメージですね。もちろん好みで選ぶのもアリなのですが、機能性や特徴から選んでみるのも大切なポイントです!
シングルライダースが先に誕生した
ここでちょっと歴史をさかのぼってみましょう。ライダースジャケットが誕生したのは、1930年代。1900年代初期の戦闘機乗り用レザーコートがバイカーの間にも広がり、バタつく裾を抑えられるよう丈を短くして着るようになりました。それが現在でいうシングルライダースジャケットの起源です。最初に発売したのはハーレーダビッドソン。1931年のことでした。
ダブルライダースの登場はその8年後の1939年。ダブルタイプの原型といわれる「アビエイタースタイル」のライダースジャケットをこれまたハーレーが発売。フロントのジッパー付きポケットが当時としては画期的で機能的だったため、瞬く間にバイカーの間で人気になりました。前合わせが2枚重ねになっているおかげで、シングルよりさらに優れた防寒性と耐久性を発揮したのも普及したポイントです。
反体制の象徴として、多くのミュージシャンも愛用しました。ダブル襟のライダースは、悪の象徴ともいえるナチスの秘密警察の制服を彷彿とさせたため、周囲を威嚇するかっこうの小道具ともいえたのです。
クラシカルなイメージのあるダブルのほうが後発というのは意外ですね。今なおワルなイメージのライダースも歴史を知ると、なぜかというのがわかってファッションにも深みが出そうです。
「そんなのどうでもいいよ!」って人たちは、とりあえずダブルもシングルも両方カッコイイ!ってことだけ覚えておけばOKです。
バイク文化の違いから生まれたUK/USスタイル
ライダースにはシングルとダブル以外の区分として、US(アメリカ)タイプとUK(イギリス)タイプがあります。これらはライダースジャケットの文化を作った2つの国のバイカーが、どんな車両を好んだかによってスタイルが分かれています。
USといえば、ハーレーに代表される大きな車体のアメリカンバイク。上半身を起こして、足はどっしりと前に伸ばし、腕も伸ばした格好で運転をするスタイルが多いですよね。そのため、座った姿勢で裾がダボつかないように丈は短かめに作られていて、中でもダブルはベルトをフロントでしめるようになっているのが特徴です。
それに反してUKはスピード重視のカフェレーサーのようなバイクに合わせて作られています。前傾姿勢で運転するので、丈が短めだと背中が出てしまいカッコ悪い。そこで着丈は長め、タイトなつくりになっています。
UKにもダブルはもちろんあります。でもUSのようにフロントに大きなベルトのバックルがあると、タンクにカチカチカチカチと当たって、キズだらけになることも……。そこでベルトの代わりに腰の部分にアジャスターが付いていて調節できるようになっているんです。
また、イギリスは日本と同じく有料道路で細かく小銭を払うという文化があるので、袖にチケットを入れられる小さなポケットがあるモデルがあるのも特徴です。このポケットは何のためにあるの?と思って着ている人も多いハズ。
自分にあった一着を選ぼう
革ジャンとひとくくりにしても、実はいろんなスタイルがありますし、そのいずれももともとは使用用途を考えられた実用品といえます。もちろん今ではファッションとしての意義が強いので、その服から感じるイメージを大切にして選ぶのもアリです。
機能性で選ぶもよし、自分の第六感を信じて選ぶもよし。気に入った一着を手に入れちゃいましょう。
本皮なら時間の経過とともに変わっていく風合いも楽しめますよ。ちょっとお手入れにひと手間かかりますが、それもまた自分だけの革ジャンを手に入れるための工程なのです。