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オッサン世代のヒーロー尾崎豊。彼の名曲の一つである『15の夜』のサビで歌われている「盗んだバイクで走り出す〜」という歌詞は、あまりにも有名なフレーズだ。
では、この”盗んだバイク”とは何の車種だったのだろうか。実はこの車種について、後日自身が語っていたのでご紹介したい。
彼が盗んで走り出したのは?
そう、彼が盗んだのは、ヤマハの50ccスクーター「パッソル」だったのだ。
尾崎ファンの間では有名な話だが、普通に聴いて妄想を膨らませると、どうしても「Z」や「GS」、「CB」あたりの、不良少年が好みそうな”ザ・単車”を想像してしまいがちであろう。しかし現実は、八千草薫がCMをしていた「パッソル」だったのだ。確かに15歳そこそこの少年が、クラッチ操作のある大型バイクをサラリと盗んで走れるとも思えないので、当然といえば当然であろう。
ちなみにヤマハ「パッソル」とは?
画像 – https://www.jsae.or.jp/autotech/large/4-22-1.jpg
当時の二輪業界は、ホンダとヤマハの競争(HY戦争)が激化しており、1976年にホンダが「ロードパル」を発売した。その対抗モデルとしてヤマハがリリースしたのが「パッソル」だ。
女性がスカートを履いても乗れるという”スルーステップ”が主婦層にも流行り、かなりのヒット商品となった。
1982年には後継モデルの「パッソルII」が発売されたが、その頃にはもっと高性能な車種が多数リリースされていたため、そこまで流行ることなく消えていった。ちなみに余談だが、特攻の拓では風神雷神の”鬼のキヨシ”こと、キヨシくんが乗っていた。
<主要諸元>
エンジン:強制空冷単気筒2サイクル
クラッチ:自動遠心クラッチ
排気量:49cc
最高出力:2.3馬力
車重:45kg
パッソルはその後電動スクーターに
パッソルはその後、2002年にエレクトリックコミューター(電動スクーター)として蘇った。当時のルックスを彷彿させるスリムなボディだが、中身はエンジンではなく電動モーターだ。
最高速度は30km/h、1回フル充電での航続距離は32km(パッソル-Lは43km)と、非常に短かったため、世間に受け入れられることはなかった。また、リチウムイオンバッテリーのリコール問題が決定打となり、2007年9月には発売中止となった。
いかがだったろうか。
最終的にはパッソルの歴史に話が逸れてしまったが、実はこのパッソルは、彼のお兄さんの所有物だったようだ。
「そうか、親族の所有物ならいいか」というわけではなく窃盗は犯罪なわけだが、あくまでも”若者の葛藤”を歌で表現した作品であるということだけはご理解いただきたい。