ポルシェの型番について掘り下げてみた!「911」について勘違いしてない?

ポルシェ911ほど長い歴史をもつスポーツカーはないでしょう。先代モデルから曲線的な造形美と、後輪の後ろにエンジンを搭載するRRレイアウトは登場から現在まで変わっていません。そんな911シリーズの歴代モデルを掘り下げて紹介します。

 

50年以上の歴史をもつポルシェ911

911は、ドイツの自動車メーカー「ポルシェ」から1964年から生産されているスポーツカーです。

911の開発は、第二次世界大戦直後に生産開始されたスポーツカー「356」の後継モデルとして進められ、現在まで50年以上も生産され続けます。

911の歴代モデルは「901」、「930」、「964」など9から始まる3桁の数字で構成されるコードネームで呼ばれます。これは初代モデル開発から提携関係にあったフォルクスワーゲンのタイプナンバーシステムに合わせるため900番台が使用されていたためです。

モデル名は911ですが、歴代モデルを区別するため9から始まる3桁のコードネームで呼ばれ、初代ナローの901から現行モデルでは992まで8つのモデルが存在します。

ポルシェ・911シリーズの変遷をたった80秒の動画で振り返る!

 

911はこう変わった!8世代のモデルの違いとは

では8世代で何が変わったのか、60年代にまでさかのぼって振り返ってみましょう!

 

ナローポルシェと呼ばれた初代モデル・901

911シリーズは、1963年フランクフルトモーターショーで発表した901から始まり、当初6気筒エンジンを901、4気筒エンジンを902というモデル名で市販する予定でした。

しかし、プジョーが2桁目に0を使った3桁数字のネーミングを商標登録していたので、901/902のネーミングは2桁目の0を1に変更しなければならなくなり、「911」が誕生しました。ちなみに901はそのままコードネームとして採用されました。

 

初代ポルシェの馬力は!? 歴代モデルが活躍している秘密を探れ!

また、初代モデルには911シリーズで唯一の4気筒エンジン搭載モデルである「912」が1965年から1968年の3年間生産されました。

901と912は「ナローポルシェ」とも呼ばれ、ナロー(Narrow)とは「狭い、タイト」を意味し、901が356よりも車幅が狭いがために、そのような愛称がつけられました。

 

ターボ仕様登場で一気に人気に火がついた930

ポルシェは1974年に911の初フルモデルチェンジを行い、901から「930」へと変わりました。

930はアメリカの安全基準をクリアするため、衝突事故を起こしても車体が破損しない大きなフロントバンパー(通称:5マイルバンパー)が装着されたため、「ビッグバンパー」という愛称で呼ばれました

 

930には、NA(自然吸気)エンジンとターボエンジンの2つがリリースされ、最初に登場したターボモデルの930ターボ。NAはターボから3年遅れて1977年に発売されました。

ターボを手に入れた930は、ボルグワーナー製のタービンを装着し、最高出力260PS/5,500rpm、最大トルク35.0kgm/4,500rpmを発揮し、最高速は280km/hにまで達し、フェラーリやランボルギーニのライバルとされるほどの速さを誇りました。

930が登場したとき日本ではスーパーカーブームであり、週刊ジャンプには930ターボが登場する「サーキットの狼」が連載され、日本での認知度は高まり、最近では漫画「湾岸ミッドナイト」のブラックバードとして登場したことで、新車販売当時を知らない世代でも知られる911シリーズの中でも伝説とされるモデルです。

 

911初の4WDとティプロニックが登場した964

930の次に登場した「964」では、911シリーズで初めての4WDモデル「カレラ4」やポルシェ独自のトルクコンバーター式オートマチックトランスミッション「ティプトロニックAT」が登場したモデルでした。

革新的な技術を搭載して930に続く大ヒットが期待されましたが、1987年に世界的な株価大暴落が起こったりしたことから、930ほど販売数を伸ばすことができず、発売からわずか4年で993へモデルチェンジとなりました。

 

空冷エンジン搭載の最終型だった993

「993」は964よりもなだらかな曲線とヘッドライトもコンパクトで傾斜をつけることで空力を改善に努めたモデルです。

全長は964とほぼ同等ですが、全幅は8センチ延長、全高は1センチ短縮させ、ボディ全体がワイド&ローとなりました。911シリーズは901から空冷水平対向6気筒SOHCエンジンを採用していましたが、993が空冷エンジン最後のモデルとなり、空冷911で最も完成されたモデルとして非常に価値のあるモデルです。

 

911シリーズ初の水冷エンジン搭載となった996

「996」は歴代911のなかで一番の転換期となったモデルです。排ガスや騒音など問題点を解消するため、エンジンを空冷から水冷へ変更し、排ガスのクリーン化と消音化、耐久性向上を実現。

 

1990年代前半にポルシェ社は経営難になってた時期でしたが、起死回生に送り出したリーズナブルなオープンカーモデル「ボクスター」が大ヒットし経営難を乗り越えますが、当時のポルシェにとって量産車のコスト削減もしなければならず、911のフロント周りはボクスターと同じものが搭載されました。

それによりヘッドランプは従来の丸目から涙目と呼ばれる形状に変更されましたが、それまでの911ユーザーから不満の声が多数押し寄せ、一部の911ファンを失うこともなります。

しかし、耐久性を向上させ室内空間も広げたことにより実用性を飛躍的に向上したことで、911は高性能スポーツカーでありながら普段の移動でも使える乗用車として乗ることを可能としたことで、生産台数は歴代911シリーズで最高の175,262台を記録しました。

 

ディズニー映画「カーズ」では上の「前期型996」ではなく「後期型996」がサリー・カレラというキャラクター名で登場していましたね。

 

涙目から丸目ヘッドランプに戻した997

「997」は996で不評だった涙目のヘッドランプを丸目に戻し、フォルムは996と区別しにくいですが80%以上の部品が一新されました。

また、生産は2004年から2011年までの7年間行われ、2008年6月のマイナーチェンジではオートマトランスミッションが5速ティプロニックからPDKに変更されました。

PDKとは「Porsche-doppel kupplung(ポルシェ・ドッペルクップルング)」の頭文字からきており、ポルシェにおけるトルクコンバータ付のデュアルクラッチ式オートマチックトランスミッションのことです。

PDKはティプロニック同様にクラッチペダルを踏むことなくシフト操作が可能ですが、シフトチェンジスピードを短縮させ、滑らかなシフト操作により燃費性能でも優れたトランスミッションです。

 

全モデルがターボエンジン化された991

「991」は外観上997と区別が難しく、アイドリングストップが追加されたり、パーキングブレーキがレバー式から電動式へと変更されました。

最大の変更点は2015年9月のマイナーチェンジを境に、GT3/GT3RSを除く全てのモデルがターボ化されました。

そのため、これまでのカレラとターボの区別が難しいように思えますが、エンジンの排気量はカレラ/カレラ4/カレラ4Sなどは3リッター、ターボ/ターボS/GT2RSは3.8リッターです。

 

テールランプに旧デザインを採用した現行モデル992

現行モデルとなる「992」は、開発を「タイムレス・マシン」をテーマとし、993を彷彿する一直線上にデザインされたテールランプが採用されました。

それ以外では外観上の区別が難しいですが、シャシーはVWと共同開発した新世代MMBプラットフォームの採用やスチール使用率を33%少なくすることで、ホワイトボディで250kgもの軽量化を実現しています。

 

新型ポルシェ911が理想的過ぎる!そうそう、こういうのでいいんだよ

日本仕様のトランスミッションは、MTが消滅し8速PDKだけの設定となりましたが、クラッチを油圧式から電動式にしたことで伝達対応トルクを10%アップ、ドライビングモードにウェットモード追加など、ハイテク技術が詰め込まれたモデルとなりました。

 

まとめ

901から992までを振り返ると、伝統を守りながらも新しい技術も取り入れ、その丁度いいバランスが世界最高峰のスポーツカーが生み出されています。「911」のコード名は若干ややこしいところはありますが、歴代モデルを一台ずつ見ていくとそれぞれ強烈な個性と速さを常に手にしていることには驚かされます。

池田勇生

池田勇生

バイク・クルマ・モータースポーツをさまざまな視点で執筆活動をしているフリーライター。特に80~90年代の旧車や2ストロークバイクが得意です。