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普段バイクに乗っていて、いきなりブレーキが全く効かなくなることは悪意をもって悪戯されたりしない限りは、あまりないケースとは思われますが、なんだか最近効きが甘くなってきたなぁ…… といった機会は多いかと思います。
それでも効かないわけじゃないんだし、バイク屋に行く時間もお金もないやと放置してしまうのはライダー失格です。
今回の記事では、チョイチョイっで済む簡単なものから、初級整備とはいえそれなりに本腰を据えてかからないといけないものまで、トラブルシュートとその原因解消についてご紹介します。
症状からのトラブルシュート
様々な症状から原因を推測し、現物を確認して解決すべき不具合を特定しましょう。複数の原因が重なっていることもありますので注意です。
ブレーキレバー・ペダルのタッチ(感触)は変わらない場合
ブレーキレバーとペダルを引いた(踏んだ)時の感触に変化がない場合はどんなことが予想できるでしょうか?
ストローク(握りしろ、踏みしろ)が増えた
- なんらかの原因でアジャストボルトが緩んで、レバー・ペダルの遊びが増えてしまい、効き始めるのにタイムラグが発生しています。
→レバー、ペダルのアジャストボルト(ナット)で正常範囲に調整します。
- ブレーキ・シュー/ドラム(機械式ドラムブレーキの場合)の摩耗で正常作動範囲を超えてしまい、効き始めるのにタイムラグが発生したり、最大効力まで効かせられなくなっています(油圧式ドラム、ディスクブレーキは通常摩耗分は自動調整されます)。
→機械式のものではブレーキロッドのアジャストナットで正常範囲に調整し、機械式 / 油圧式ともドラム・シュー / ディスク・パッドの使用限度を超えた摩耗のものは交換します。
ストローク(握りしろ、踏みしろ)は増えていない
- ブレーキ・シュー/ドラム(ドラムブレーキの場合)、ブレーキ・パッド/ディスク(ディスクブレーキの場合)の表面への油分等の付着で摩擦による抵抗が減少しています。
→ブレーキクリーナー等でディスク面、パッド面の油分や汚れを拭き取ります。
- ブレーキキャリパー(ディスクブレーキの場合)が開いてしまって、パッドの押し付けが偏って制動有効面積が減少しています。
ブレーキキャリパーの交換またはアップグレードします。
ストローク(握りしろ、踏みしろ)が減った
- 制動面や、作動機構への異物の噛み込みで作動が阻害されています。
→各部のチェックと異物の取り除き、分解清掃をします。
ブレーキレバー・ペダルのタッチ(感触)が変わった場合
一般的にブレーキブースターはついていないバイクの場合に、タッチが硬くなって効かなくなるということは考えられませんので、タッチが柔らかくなった場合についてのみ記述します。
- 油圧ブレーキがフワついた感触でストロークが増えた場合は、ブレーキラインのいずれかでエアを噛んで圧力の伝達を阻害しています。
→ブレーキラインのエア抜きをします。
- 油圧ブレーキで握れば握っただけストロークが増えてしまう場合は、ブレーキラインのいずれかで液漏れが発生して圧力の伝達を阻害しています。
→ブレーキラインおよびピストンシールのチェックし、損傷個所の特定と交換をします。
まとめ
自分でできる修理・メンテナンスとして紹介しましたが、自他の生命の危険に直結する非常に重要な箇所です。
こうして文章に起こすと簡単にも思えますが、記事ボリュームの都合上大まかなところの抜粋のみであり、作業の詳細や車種毎での要領や注意点は紹介しきれずばっさり省略しているといった事情もあります。
初めてやってみるという場合には、可能な限り熟練者の監督下にて行い、作業後は作業確認と低速でのテストを必ず念入りに行ってください。