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世間的にゼロエミッション化が叫ばれている今日ですが、それに伴いEVや電池開発も世界中で行われています。e-スポーツとは関係ありませんが、「フォーミュラE」「Moto-E」といった「E(Electic)」を冠するレースが新しくグランプリ級に追加されたりと、電動モビリティのある暮らしが急接近しているのが実感できますよね。
さて、そんなご時世ですが日本の自動車メーカーは完全電動化されたラインナップは少なく、電動バイクに至っては小排気量クラス相当の電動スクーターくらいしか送り出せていません。世界的大手メーカーが集う日本ですが、何かが歯止めをかけているようです。
そして反面、中国からは近年続々と電動バイクメーカーが世界マーケット進出を成し遂げています。今日はどのメーカーの、どのような電動バイクが、どの市場に進出しているのかをご紹介していきます。
Evoke社のURBANシリーズ
現在すでにアメリカ市場に名を連ねているEvoke社。どちらかというとテスラ社のような若い企業ですが、2020年からはなんとオーストラリアにも手を伸ばして市場開拓をするそうです。
Evoke社のメインセラーはURBANとURBAN Sの2種類で、2020年版マイナーチェンジを経たモデルを海外に輸出しています。オーストラリアではQueenslandのChreter Australiaという販売代理店から取り扱いを始めるようです。
中国製品アレルギーの方もいらっしゃるかもしれませんが、製造はApple社iPhoneのサプライヤーでもあるFoxconn社と提携を結ぶことで、高品質を確保しています。
ネイキッドバイクな風貌をしているURBAN シリーズのスペックは以下の通りです。
最高速度:130km/h
最大出力:19kW
最大トルク:116Nm
重量:169kg
航続距離:200㎞
充電性能:交流120V / 240V 90分で80%充電が可能
小売価格:7,900USドル(約87万円)
最高速度が遅いと感じるかもしれませんが、街乗りを前提として開発されているため超高速で爆走することはコンセプトに入っていません。高速運用をコンセプトから削ることで製造コストをグッと抑え、電動バイク市場では珍しい驚異的な安さを実現しています。
NIU社のRQi-GT
NASDAQ上場企業であるNIU社は中国でも代表的な電動バイクメーカーで、CES 2020でもブースを出展している最先端企業です。
NIU社はCES2020にてアメリカ市場向けシティコミューターの「RQi-GT」をお披露目。標準的な性能だけでなく、5G 回線での連携を見据えたIoTが組み込まれており、スマホと接続することで車両診断やロック/ロック解除/エンジン起動ができるそうです。
アメリカ市場向けの生産は2020年後半からで、実際に消費者の手元に届くのは2020年Q4あたりになると言われています。以下が詳細スペックとなります。
最高速度:160㎞/h
最大出力:30kW
最大トルク:???
重量:???
航続距離:129㎞
充電性能:???
小売価格:???
こちらもシティコミューターらしいスペックに落ち着いていますが、海外での高速道路利用も見据えた最高速度設定になっています。
性能面ではZero MotorcyclesのFXSと近いですが、Evoke社のURBANシリーズと同様、Made & Built in Chinaを実現できるため、車両価格は電動バイク市場でもかなり安い100万円以下になるのではないかと考えられています。
Sur Ron社がアメリカ向けに開発中
セグウェイ社が注目する中国の電動バイクメーカーSur Ron社は、電動オフロードバイクをメインコンテンツとしていますが、近年アメリカ市場に参入するための高速運用が可能なモデルを発表する予定であると明言しました。
Sur Ron社は現状、軽量モデルの「Light Bee(中国名:軽蜂)」と、今春発表予定の「Storm Bee(中国名:暴蜂)」の2モデルをラインナップに抱えていますが、さらに高速道路での運用が可能なオンロードモデルが追加されるのではないかと推測されます。
ちなみに現在販売されているLight Beeのスペック情報は以下の通りです。
最大速度:73㎞/h
最大出力:6kW
最大トルク:200Nm
重量:50㎏
航続距離:100㎞
充電性能:交流60V 3時間でフル充電
小売価格:3,475USドル(38万円)
Sur Ron社のLight Beeベースのレース向けマシンである「Sur Ron X」はなんと無差別級オフロードレースにて、ガスガスなどの代表的なガソリン車をぶっちぎっての1位を獲得する高スペックを秘めており、そのパフォーマンスと品質は折り紙付きです。
アメリカの企業であるセグウェイがパートナーに選んだ理由もなんとなくわかりますよね。
Sur Ron社は日本でも私有地利用向けで販売するそうで、現時点では電気用品安全法(PSEマーク)をクリアするための審査待ちで、認証が下りるのが2020年春なのだそうです。
電動オフロードバイクとして既に世界で販売台数を伸ばしているSur Ron社ですが、この流れに乗ってオンロードバイクまでラインナップに追加したら脅威的ですね……!
HONDA CB400SFと比較してみた
こうして並べてみると、意外とガソリン車と謙遜ないスペックですね。出力が抑え目なのも、重量が少なくトルクがあるからあまり必要としていないように見受けられます。
最終的にネックになってくるのはやはり航続距離と充電時間ですが、充電に関しては交換式バッテリーが実現すれば解決できますし、ガソリン車と電動車の入れ替わりは時間の問題ですね……。
以上、世界進出をバリバリこなしていく中国電動バイクメーカーをご紹介いたしました!日本は海外から「意外とEVが少ないんだね」と言われるくらいには電動モビリティの開発・販売が遅れているようで、次世代の市場に乗り遅れているのではないかと危ぶまれます。