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愛犬とともに、風を感じながら旅をしたい…… たなびく犬耳を見てニヤニヤしたり、信号待ちの時に隣の車に乗ったこどもに手を振られてムフムフしたい…… そんな愛犬欲に満ちたライダーも少なくないと思います。
しかし、ただでさえ体が露出するバイクに愛犬を乗せていいものなのか。名探偵コナンに登場する鈴木財閥の次郎吉おじさんのように、サイドカーが必要なのだろうか。今回はそこら辺の悩みや疑問をビシっと解決していきましょう。
犬=積載物なので乗せるのはOK
ペット関係のトラブルについて調べたことがある方ならご存じかもしれませんが、法律上ペットは所有物に分類されます。そして、所有物を自動車に乗せればそれは積載物と呼ばれます。
つまりワンコ=積載物と捉えられるのです。道交法上、バイクにおける積載物の規定は、
原動機付自転車の場合
長さ:積載装置プラス30㎝まで
幅 :積載装置プラス左右15㎝まで
高さ:タイヤの接地面から2mまで
重さ:30kgまで普通/大型自動二輪車の場合
長さ:積載装置プラス30㎝まで
幅 :積載装置プラス左右15㎝まで
高さ:タイヤの接地面から2mまで
重さ:60kgまで
となっているため、グレートデーンやセントバーナードなどの超大型犬でもない限り、重さ的には大丈夫です。
落としたら刑事罰・民事責任?
さて、乗せるのがOKなのは想定内でしたが、ワンコは生き物です。考えたくもありませんが、走行中にはしゃいで路上に飛び出してしまう可能性もあります。
では、実際にそんなケースが起きてしまったら法律上どんな責任が生じるのか…… 簡潔にリストアップしてみました。
道路法第43条に違反
何人も道路に関し、(一部省略)掲げる行為をしてはならない。
一、みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。
二、みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。
罰則:一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金※第43条の2や第44条も類似の内容です。
道路交通法第81条の2に違反
警察署長は、道路に転落し、又は飛散した車両等の積載物(一部省略)について権限を有する者に対し(一部省略)道路における危険を防止し、又は交通の円滑を図るため必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
罰則:3ヶ月以下の懲役、若しくは5万円以下の罰金
他の車と衝突した場合、器物破損からの損害賠償
飛び出したペットが不幸にもほかの車と衝突し、なんらかの器物破損が発生した場合はその損害賠償が請求される場合があります。
バイクから飛び出してしまった時点で、積載物の固定に失敗したとみなされてしまうのでワンコを乗せる際には十分に気を付ける必要がありますね。
安全な乗せ方を考えてみた
陰鬱な内容はここまでにして、ここからは実際にどうやってワンコをバイクに乗せれば安全なのかを考えてみましょう!キュートなものから安全特化までリストアップしてみました。
顔出しタイプのリュック型キャリー
小型ペット用の顔出し窓のあるリュックであれば、プードルやチワワなどの小型犬などには対応できるのでオススメです。注意しなければいけないのが、顔出し窓の大きさ。あまりに広すぎると何かの拍子にずるりと逃げ出してしまう可能性があるので、肩幅と相談しながら選びましょう。
また、あまりにバッグの奥行きがなくてワンコが後ろ足立ちをしなければいけなくなると、長時間のツーリングではヘルニアを引き起こしかねません。サイズ選びにはご注意を。
タンデムで後ろの人に固定抱っこ
足出しタイプのハーネスリュックを前側にして、タンデムする人が抱っこしてあげるのもアリでしょう。
ハーネスなしだとワンコが暴れた際にスルリと手から抜け出してしまうので、抱っこオンリーは絶対にやめましょう。
鈴木治郎吉ばりのサイドカー
なかなかいないとは思いますが、サイドカーをお持ちの方もしくは購入予定の方はぜひサイドカーを活用しましょう。大型犬まで乗せられるようになるためワンコを選びません。
しかし、ただシートにおすわりさせるのではなく、ハーネスとシートベルトを組み合わせるなどしてどんなにワンコが暴れてもシートから飛び出せないようにする必要があります。拘束感が強いので、ある程度練習を積み重ねて慣れさせてあげてください。
荷台に固定するタイプのキャリー
安心感があるのは「Buddyrider」や「POW」のようなハードタイプのキャリーケースをバイクの後部に固定すること。二輪向けに開発されているため、小型犬から小さめの中型犬まではカバーできます。
水を差してしまいますが、どのキャリーを使おうともワンコは元気な生き物なので予想外の挙動をとることがあります。ワンコの安全はもちろん大事ですが、ワンコの行動に驚いてライダー自身がパニックに陥らないようにも十分注意しましょう。
犬も乗り物酔いする!? 安全と楽しみを忘れずに
見落としがちですが、ワンコも私たちと同じく乗り物酔いや乗り物疲れがあります。進行方向とは別の方向を常に見せられたり、強い振動に長くさらされると気持ち悪くなってしまうので十分配慮してあげましょう。雨の日なんてもってのほかです。
最後に、何事にも言えますがしっかりと安全対策を用意したうえで取り組みましょう。「いけるっしょ!」「なんとかなるっしょ!」ではなく、積載物を完璧に無傷で運ぶプロドライバーになった気持ちで、ワンコの命を守ってあげてください。
また、ワンコが怖がっていたりキャリーケースに嫌悪感を表したら、おとなしく諦めましょう。人間のエゴに付き合わせてしまうのは良くないですし、絆にひびが入ってしまうかもしれません。段階を分けてゆっくりと楽しみましょう。