近い将来、中～大排気量区分のモーターサイクルは趣味の乗り物としてガソリンまたは代替燃料によって存続し、小型のモーターサイクル=シティコミューターは電動化が見込まれています。ヨーロッパの都市部ではコミューターの電動化とともに自転車を活用することで、都市部への自動車の進入を限定する動きもあります。

こうした潮流を背景に、トヨタのフランス法人が自転車メーカーとコラボレーションして、電動カーゴバイク「DOUZE Cycles × Toyota Mobility」を2023年9月から発売すると発表したのです。

カーゴバイクは商用&子育てファミリー向けの働く自転車！

こちらが今回発表された電動カーゴバイク「DOUZE Cycles x Toyota Mobility」です。

カーゴバイクというのは自転車のなかの一つのジャンルであり、自転車王国オランダが発祥。本車両のようにロングホイールベース化した2輪タイプと、前2輪+後1輪の3輪が存在しています。近年は“ロングテール”といってリアフレームを延長することで運転者の後部の積載能力を高めたタイプも人気を博しています。

エコで実用的かつスタイリッシュな移動手段として、カーゴバイクはヨーロッパに広く根付いた自転車のジャンルなのです。

そのため都市部の個人店や小規模事業者向けの商用としてのみならず、現在ではご覧のようなボックスを搭載することで子乗せ自転車となり、生誕の地オランダを飛び出してヨーロッパ全土で広く活用されています。

カーゴバイクの近年の動向としては、やはり電動化があげられます。一般的なカーゴバイクの平均積載能力は100kg前後にもなりますが、誕生の地オランダは平地が多い土地柄、それほど移動能力を求められませんでした。ところが、ヨーロッパ全土に普及すると、100kgの荷物を載せて人力で丘を越えるのはなかなかの苦行であったため、カーゴバイクは一気に電動化が進んだのです。

フランストヨタの狙いは「ラスト1マイルの移動を持続可能にすること」

では自動車メーカーであるフランストヨタがなぜ電動カーゴバイクの販売を始めるのでしょうか？

それはラスト1マイルの移動を素早く効率的に、そしてクリーンにするためだと言います。本車両も一般的なカーゴバイクと同じく、都市部での配達や子乗せを想定しており、電動カーゴバイクの普及は自動車販売を阻害しないという考えがあるのです。

「DOUZE Cycles × Toyota Mobility」のディテール

ここからは「DOUZE Cycles × Toyota Mobility」の見て行きましょう。まずは車体サイズですが、言わずもがな非常に大きい！全長は2,750mmを誇ります。ホイールベースは2,160mmあり、荷台長は850mm、最大積載量は100kgです。

上記専用ボックスを搭載すれば、最大3名の子どもを運ぶこともできます。子乗せ自転車として活用する際は、アルミフレーム+発泡ポリプロピレン専用ボックスを使用します。

マグネット式バックルを採用したハーネスベルトは実用的。また自動車用チャイルドシートを思わせる通気性の良い生地の背もたれとシート、高さ調節可能なシート&ベルト、搭乗を容易にするステップを装備するなど、快適性と利便性も配慮されています。

搭載する500Whのバッテリーは、一般的な電動アシスト自転車と同様に取り外しが可能で、約4時間(家庭用コンセント)で満充電になります。使用状況にもよりますが1回の満充電で最大100km航続することができます。

定格出力250Wの高性能なヤマハ製電動モーターを装備。これがグイグイとアシストしてくれるわけです。

本車両が素晴らしいのは、操舵の電子制御を実現している点です。

一般的にロングホイールベース化されたカーゴバイクの操舵は、フレーム下にリンクを介することで行います。しかし、このリンクを介した操舵は耐久性やメンテナンス性にやや難を抱えています。そこで本車両の開発&生産者である「Douze Cycles」は、操舵の電子制御化を実現したのです。これで外観もスッキリし、耐久性&整備性の懸念も払拭されました。

「DOUZE Cycles × Toyota Mobility」はフランストヨタの販売店で買える！

ということで今回は、フランストヨタが2023年9月より販売を開始するという電動カーゴバイクについてご紹介しました。フランスのトヨタネットワークを活用して、300店舗もの販売店で購入することができるとのことですが、個人的にとても興味のある筆者としては羨ましい限りです！