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信号待ちや駐車などでバイクを停止させるとき、バイクにまたがろうとしたとき、様々なシチュエーションで起こりうる立ちゴケ。
もちろん筆者も経験あります。幸いなことに、いずれもブレーキレバーとステップが曲がり車体が少し傷ついたくらいで済みましたけれど、コケた場所は道路のど真ん中。状況のわからない数台後ろのクルマにクラクションを鳴らされ続け、焦りまくりました。
立ちゴケは誰にでも起こりえます。冷静に対処できれば、安全の確保はもちろん、周りに迷惑をかけることもなくなるので、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
まずは安全の確保。そしてエンジン停止と周囲の確認
立ちゴケは駐車場で起こることが多いと思いがちですが、実は圧倒的に公道上の方が起こりやすいんです。そのため、「うわ、やってしまった!どこまで傷ついたかな」「修理費いくらかかるんだろう」と思う前に、下記のような安全の確保がなにより重要となっています。
キルスイッチでエンジンを停止する
まず、スイッチボックスの赤いボタン「キルスイッチ」をオンにしてエンジンを停止させましょう。
なぜかといえば、バイクを引き起こすときはハンドルを掴みますよね。そのときエンジンが動いたままだと、グイッと右手でアクセルを回してしまうこともあり、キケンなのです。
もっとも、多くのバイクは倒れるとエンジンが停止するのが普通。そのため本来はキルスイッチは触らなくていいのですが、筆者はどんな状況でもオフにしています。エンジンが止まっているかどうかを判断するという一手間を省くことで、焦っている状態でも正しい対処をしやすくなりますから。
後続車に身振り手振りでバイクの転倒を伝える
キルスイッチでバイクを確実に停止させたら、次は後続車に倒れたバイクの存在を知らせます。クルマと違いバイクは小さいので、後続車の運転手に気づかれにくく、突っ込まれてしまう可能性が高いです。
伝える方法はなんでも大丈夫。大きく手を降って身振り手振りで伝えるのもアリですが、夜間は見えにくいのでLEDの非常信号灯を使うといいですよ。念のためにバイクに積んでおくと安心です。
引き起こしは体全体を使う
ここまでできたら、あとは冷静にバイクを引き起こすだけです。もう安全は確保できているので、焦る必要はありません。教習場で習った内容を思い出してください。手順は下記のとおりです。
- キルスイッチのオフを確認する
- (可能なら)ギアをニュートラル以外に入れる
- ハンドルとシート下のフレームを掴む
- 体全体を使って、下から押すように起こす
引き起こしたら、クラッチを切りつつバイクを安全なところまで押していきます。
実はここでつまづくこともあるんです。実際、筆者もクラッチを切るのをすっかり忘れていたことがあり、バイクを全然押し引きできないなんてはめに陥りました。近くにいた方に「クラッチ!クラッチ切らなきゃ!」といわるまで気づかなかったくらいです。
この時点で、バイクに乗り始めてすでに3年。慣れたつもりでも、焦るとこんな簡単なミスをしてしまうという典型例ですね。
エンジンがかからなくなったら確認したい3つのポイント
路肩やコンビニなど安全な場所までバイクを押していったら被害の確認をしましょう。ウインカーやレバー、ステップなど出っ張ったパーツは折れたり曲がったりしがちですし、ミラーの角度もしっかり直しておきたいところです。
ガソリンが漏れていないかも確認し、問題がないようであればエンジンをかけてみます。万が一、かからないときは以下の点を確認してみてください。
キルスイッチをオフにする
一番やりがちなのがキルスイッチをオンのままにしていること。オフにして再びセルを回してみてください。
それでもエンジンがかからない場合は次の項目を試してみましょう。キャブ車とインジェクション車で対応が若干違うので、ご自分のバイクに適した方を見てください。
キャブ車の場合:キルスイッチとキーをオフにして、30分ほど待つ
キャブ車を倒すとガスが燃料室に入り込み、燃えきらなかった油分でスパークプラグが濡れて火花が飛びにくくなります。いわゆる「プラグがかぶった」状態になってしまっているのです。
そこで、プラグが乾くまで30分ほど待ちましょう。そうすればエンジンが再始動する可能性は高まります。
インジェクション車の場合:キルスイッチとキーをオフにして再びオンにする
インジェクション車は構造上、転倒でのプラグかぶりは少なくなっています。逆にいうと本来なら、転倒したくらいではエンジンが止まりません。そのため角度センサーが内蔵されており、転倒を検知すると、エンジンを停止させるようになっています。
この角度センサーが悪さをすることも。いつまでも転倒を認識したままになってしまうことがあるんです。そんなときは、キルスイッチとキーをオフにしてリセットを試しましょう。その後、両者をオンにすれば、エンジンがかかるはずです。それでもだめなときは、他の電気系統に問題が発生している可能性があります。
最終手段はレッカー
それでもエンジンがかからないのなら、加入している保険会社やJAFに電話して助けを呼びましょう。無理にセルを回し続けても復活する望みはほぼありませんし、諦めて呼んだ方が早くて確実です。
誰もが経験するトラブル。冷静に乗り越えよう。
初心者バイカーは注意して乗っているので、立ちゴケは少ないかもしれません。それでも、どんな物事にもいえることですが、ちょっと慣れたぐらいが一番危険です。筆者も初めての立ちゴケは免許取得後3年経ったときでした。
いざ経験してみると焦りや悲しみ、やるせなさ……などさまざまな感情が押し寄せてきますが、仕方ないと思い直して冷静に乗り越えていきましょう!