この記事の目次
フォード「GT40」というクルマをご存知でしょうか? アメリカのフォードが開発した、スポーツタイプのレーシングカーのことです。今回は、アメリカ発のスーパーカー「GT40」についてご紹介しましょう。
打倒フェラーリのために作られたマシン
1960年代、フォードはモータースポーツの分野で活躍すべく、当時、無敵を誇っていたフェラーリのレーシングチーム、スクーデリア・フェラーリの買収を試みますが、交渉に失敗しました。
そこでフォードはイギリスのローラカーズ社と提携し、ローラ「GT」をベースとし、シャーシ製作にはアビーパネルズ社、ボディ設計にスペシャライズドモールディング社といった具合に、それぞれを依頼し、フェラーリを打倒できるレーシングカーを開発する計画を立てました。これが「GT40」の始まりになります。
「GT40」は通称で正式名称は「GT」!?
1964年、第1号車となる「マーク1」が完成し、フォード「GT」という名前で発表されました。ちなみにフォードでは「GT40」という名前を一度も使っていません。「GT40」とは、車高が40インチ(101.6 cm)ということに驚いた記者が付けた通称が、今に至るまで使われているということです。
アルミ製の4.7リッターV8・OHVをミッドシップに搭載
「マーク1」は、スチール製モノコックシャーシに、軽量のファイバーボディをかぶせた、まさにレーシングカーといった作りとなりました。ベースとなったローラ「GT」のフォルムは受け継いでいますが、全体的に精悍なデザインとなっています。エンジンはインディカー用に開発されていた、アルミ製の4.7リッターV8・OHVをミッドシップに搭載。350psを誇ったエンジンに加え、軽量のボディ、空力性能などと相まって、最高時速330km/hを叩き出しました。
「GT40マーク1」はリタイヤ続きの不名誉な結果に
満を持してデビューを果たした「GT40マーク1」ですが、ニュルブルクリンク1,000km、ル・マン24時間レースと、ラップレコードなどは記録するものの、どちらもリタイヤに終わるという不名誉な結果となりました。
「GT40マーク2」の登場でフェラーリ・イーターの名前を独占
そこで、「マーク1」のシャーシを強化し、エンジンをシェルビー製の7.0Lへ変更した「マーク2」が登場します。結果、1966年のル・マン24時間レースでは、1〜3位を「GT40」が独占するという快挙となりました。打倒フェラーリがなった瞬間ですね。
「GT40マーク4」
続く1967年のル・マンでは、新型シャーシを採用し、出力が530psに強化されたエンジンを搭載した「マーク4」が優勝し、2連覇を達成しました。
しかし、このシリーズ終了後、レギュレーションの大幅な変更に伴い、フォードはワークス活動から撤退することとなります。
「GT40」の伝説はまだ続いた
ワークスが撤退した後も「GT40」の活躍は止まらず、1968年、1969年と続いてル・マン24時間レースの優勝を果たしました。1970年にポルシェ「917」に破られるまで、4連覇を達成することとなったのです。
落札予想価格は325万〜375万ドル!?
そして話は「GT40マーク1」に戻ります。こちらの1966年製GT40マーク1」ですが、見ての通り、完璧にレストアを施されたコンクールコンディションの車両です。こちらが現在、有名なサザビーズオークションに出品される予定となっています。レースで実際に活躍したのは「マーク2」「マーク4」ですが、伝説の始まりとなった「GT40マーク1」も魅力あふれる一台となっていますよね。
ちなみに落札予想価格は325万〜375万ドル(約3億4,000万〜3億9,200万円)とのことです! いやはや、とんでもない金額になっていますが、伝説のクルマですし妥当な金額なのかもしれませんね。
Sports Prototypes 1969 (Joe Honda Sportscar Spectacles by HIRO No.6)