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ハーレー乗りの間で、いつの時代も人気を集めているショベルヘッド。特にリジッドフレームに搭載された…通称”ショベリジ”などは現在でも注目度が高いカスタムの一つである。 しかし、実際ショベルヘッドについて、どれだけのことが知られているだろうか。ここではおさらいの意味も込めて、ショベルヘッドのあれこれを歴史を交えながら語っていこう。
日本車勢に押されてショベルヘッドをビッグツインに採用
60年代のハーレーは、当時の日本のホンダやカワサキの安値かつ高性能なバイクに押され、売り上げが低迷していた。そこで1957年からスポーツスターに採用し、成功を収めていたショベルヘッドをビッグツインにも採用することで不況を乗り切ろうと決断。そして、1966年。パンヘッドのクランクケースを残したまま腰上をショベルヘッドとした、通称「アーリーショベル」をリリースした。
「キング・オブ・ハーレー」とも呼ばれるショベルヘッド
1970年になるとクランクケースも一新され、ナックルヘッド、パンヘッドに続く完全なるハーレーの第三世代OHVエンジンが完成した。その荒々しいフィーリングはハーレー至上、最も強烈と言われ、”キング・オブ・ハーレー”の名称を与えられるに相応しいとの声も聞こえてくるほどだった。しかし、強烈な振動ゆえに、エンジントラブルやオイル漏れ、はたまたオーバーヒートなど、さまざまな面でのデメリットも共存した。
登場当事の排気量は1200ccだったが、1978年からはエボリューションと同じ1340ccにアップされた。その理由は、1979年に発売されたカワサキ「KZ1300」よりも大きい排気量にし、世界一の大排気量バイクの偉業を守る為だった…嘘か誠か、そんなウワサ話もあるほどだ。
現在ではカスタムマシンのベースエンジンとしても高い人気を博し、熱狂的なファンも多い。苦悩の時代を乗り切ったハーレーを支えたショベルヘッド。絶版になっているにもかかわらず、人気が衰えないのも頷ける。
スコップのシャベルではなく採掘機のシャベルが由来だ
ちなみに、普段の生活の中ではなかなか見ることはできないが、油田にある採掘機の一種の「シャベル(ショベル)」にロッカーカバーが似ていることからアメリカでそう呼ばれるようになった。スコップ状の”シャベル”と勘違いされがちだが、実は採掘機が由来なのだ。また、発音的には「シャベル」なのだが、日本では「ショベル」と呼ばれている。
‘76 FLH
リアボック、サイドボックス、フェアリングなどなど、まさに「ハーレーといったらコレ!」的な、威風堂々としたスタイリングが特徴のFLH。現在のツーリングファミリーに通じるラインナップであった。
‘77 FXS
低く構えたスタイリングから「ローライダー」という名で親しまれた超人気モデル。コレクターがいるくらい有名な一台だ。また、昨今、リバイバルモデルが発売されるなど、今尚その人気は薄れない。
’80 FXWG
フレイムスパターンや21インチフロントホイール。さらにプルバックバーなど、チョッパーを意識した仕様で当時脚光を浴びた名車。 ファクトリーカスタムの元祖と呼べる、ハーレー史に名を残す一台である。