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ツーリングに出かけて最初のうちはいいものの、時間がたつに従って襲ってくるズキズキやキリキリ・・・・・・。ヘルメットを被っているうちに、頭痛に悩まされてくるバイカーは少なくありません。
痛みに気をとられてしまうと、せっかくのツーリングを楽しめないだけでなく、注意力が散漫になってしまっての見落としや、思うように身体を動かせないといった危険にも直結してしまいます。いったい何が原因なんでしょうか。
ヘルメット頭痛の原因は3つある!
ヘルメットを被ることからくる頭痛は、圧迫による血行不良(頭部各部の筋肉の凝り)や、重さによる首・肩の凝りによるものです。なぜこれらが起こるかというと、主に3つの要因が関わっています。
サイズが合っていない
まずはサイズです。通販でカタログ値のみを目安に買ったという場合はいうまでもありませんが、きちんと試着した場合でも、その時の環境(空調状態や髪型)や体調で間違ったサイズをよしとして買ってしまうことは靴でも同様であるように、意外とありがちです。
また、インナーキャップや通気用パッドの使用・不使用でも影響が出ることがあります。
くわえて、内装のヘタりを考慮に入れてしまったがために、ある程度馴染んでくるまではキツイまま・・・・・・といったこともありますね。
頭の形に合っていない
サイズそのものとは似て非なるものですが、むしろ頭の形が合わないことが原因となる場合が多いです。
頭の形は人によって千差万別。頭囲を測っての数値(広義でのサイズ)がカタログ値と同じだとしても、実際の断面形状では円に近い人であったり楕円になる人、それに加えて頭の縦の長さやその比率等で違いが生じます。
ヘルメットメーカーもそのあたりはよく心得ていて、できるだけ多くの人をカバーできる形状になるように設計していますが、中にはその標準的な枠からはみ出してしまう人もいて、本来はそうでない箇所が当たったり締まったりしてしまいます。
昔からよく言われていた「アライ頭」「ショウエイ頭」(※)といった向き不向きの大別があり、今現在では両社やその他各社ともさらなるデータ収集や内装パーツの拡充により、フィッティングの面でも各段に幅広く進化しているとは思われますが、メーカー毎(特に欧米メーカー)での基本的な傾向は今でも多少はあるかもしれません。
(※)アライ頭:日本人に多い、断面形状が円に近く総じて縦長になる頭、判りやすい極端なキャラでいえばプレデターや福禄寿
ショウエイ頭:欧米人に多い、断面形状が幅が狭い楕円となり後頭部が長い頭、判りやすい極端なキャラでいえばエイリアンやルチ将軍(アラフィフ以上ネタ?)
広義でのサイズのみにとらわれず、自分の囲・丈・幅とそのバランス(円・楕円)を把握していれば、(特に欧米メーカー品が)サイズは合っているのに合わないという地雷を踏まずにすみます。
重すぎる
比較的安い価格帯のものは、小さいサイズのものでも一律で一番大きい帽体(アウターシェル)を使っていたり、近年ではインナーバイザーやシステムヘルメットのジョイントといった機構の追加で、ヘルメット本来の目的以上に重量が増えているケースがあります。
さらに前述の二点とも相関するのですが、メーカーの想定した頭の形状にヘルメットを乗せた場合での重心位置が外れてしまうと、ヘルメットの重量は同じであっても、よりいっそう重さを感じてしまう場合もあります。
こちらが楽なように気遣ってくれるしらふの人を背負うには楽でも、前後不覚になった酔っ払いを背負うのはしんどいのと同じ理屈ですね。
コスパを最大にする対策法
それなりに値の張るものですので、できれば即買い替えというのも、買い替えして結果が同じというのも避けたいところ。コスパの良い方法を考えてみましょう。
まずは現品で試行錯誤してみる
これは新調したヘルメットで出かけた際に頭痛に遭遇した場合でも有効です。
ヘルメットを被った状態で、頬の部分を両手で持って前後左右上下に動かしてみてキツい部分・緩い部分を把握し、緩い部分に何か詰めてみることによって
- キツい部分が楽になる位置に移動するかどうか
- 直立または乗車姿勢をとった場合に首・肩が楽(重量を感じにくい重心位置)になるか
を試してみましょう。
「何か」はタオルハンカチやガーゼを折りたたんで試行してみて、具合が良いようであれば後日同じ厚みになるウレタンスポンジを内装裏に貼り付ければよいでしょう。
そうやって手持ちのヘルメットと自身の頭の大きさと形状に、どういった乖離があるのか把握できたら、各メーカーから販売されているサイズ違いの内装や調整用パッドを部分的に使ってみるのもよいですね。
プロのフィッティングサービスを受ける
アライ・ショウエイ・OGKカブトといった大手では、量販店を定期的に巡回したり、専任のフィッターを常駐させていることもあります。
基本的にはそのメーカーのもの(およびその店で買ったもの?)しか診てもらえないとは思いますし、場合によっては内装の全てまたは一部交換で有料にもなりますが、前述の「頭の形問題」については的確に解決してくれるはずです。
もちろんメーカーに関係なくフィッティングに精通したスタッフのいる店もありますので、こればかりはいくら通販のほうが安くとも優位とはなり得ないところですね。
掟破りの?
これは絶対に広くは勧められない、あくまでかつて見かけたことのある古の野蛮な手段のひとつですが。
キツい部分を特定できる場合に、内装を外して緩衝材(発泡スチロール)にパンチをめり込ませて窪ませたり削ったり・・・・・・
当然それに起因した不具合には一切の補償は効かなくなりますので、個人輸入した「装飾用ヘルメット」扱いのものを割り切って好んで被っている人が自己責任でやる場合を除いて、決してやらないほうがよいでしょう。
実はフィッティング以外に原因があることも
ここまでヘルメットのフィッティングを原因としてヘルメット頭痛の対策としてきましたが、実はフィッティング以外の原因で頭痛を引き起こすこともあります。
重心のずれ
前髪が潰れるのを気にするあまりに前頭部を浅く被っていたり、正しく被ってはいても極端にアゴを突き出すような運転姿勢であったりすると正しい重心位置とならず、首・肩に負担が増します。
むっちゃ寒い
筆者だけのたまたまかもしれませんが、厳冬期にヘルメットのベンチレーションを開けていると、ピンポイントでツボ?を冷やされて頭痛がしてくる場合があります。
出発から帰着まで走行中は常に身に着けているものだけに、頭痛に気を取られていると、事故や転倒などの思わぬトラブルに繋がる可能性が高くなります。
頭が痛くなってしまって、手持ちの詰め物では解決できなかった場合は、決して無理せず休憩サイクルを短くするか、思い切って引き返してしまいしょう!自分にあったヘルメットはバイカーのマストアイテムです。