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【平成の名車を振り返る】として「ゼファー」「マジェスティ」、そして「隼」を取り上げて来ましたが、今回は再び地味路線に戻って、ホンダ「CB400 Super Four」で行ってみまっす!
ホンダ「CB400 Super Four」は1992年に登場した!
「CB400 Super Four」が登場したのは1992年のこと。大人気モデルとなっていたカワサキ「ゼファー」の登場から3年を遅れての発売となりました。今ぼんやり眺めると、400ccクラスのネイキッド、くらいにしか思わないのではありますが、そもそも「CB400 Super Four」って、何を目指して開発されたモデルだったのか、覚えていらっしゃいますでしょうか?本稿では、それをササっと復習して行きます。
さてさて、平成生まれのホンダの400ccクラスのネイキッドとしては、実は「CB-1」というモデルがありました。「ゼファー」がネイキッドブームの立役者なら、「CB-1」はネイキッドブームに乗り損なった残念な1台であります。その敗因については色々言われていますから今更の言及は避けますが……未だホンダがこのクラスのポイントを押さえていなかった、という点に尽きると思います。
フレームを新造しただけあり、外観は良い感じですが、ちょっとレーサーレプリカからカウルを取り払った感が拭えません。ハンドルは低過ぎますし、ステップも後ろ過ぎる。全体的にホンダの本気が感じられないのでした。
そこで本気を出して開発したのが「CB400 Super Four」。当時の資料を読み返してみますと、半端ない気合の入り方が伝わってきます。以下、抜粋して転載しておきます。
「CB400 SUPER FOUR」は、“次代をになうホンダのネイキッド・ロードスポーツはどうあるべきか”をテーマに徹底的に追求し、バイク本来の普遍的な魅力を全面に押し出し、セクシー&ワイルドなフォルムと機能的なスタイルを融和させ、基本に忠実なマテリアルを次代にふさわしい設計思想で磨き上げたネイキッド・ロードスポーツバイクです。
そして1991年、“次代をになうホンダのネイキッド・ロードスポーツモデルはどうあるべきか”という将来を見据えたテーマに取り組み、これを徹底追求しました。 この結果
- 走る、曲がる、止まるの3要素にとどまらないサムシングが必要な時代であること。
- 美しいスタイリングのみにとどまらず、使い勝手を考慮したユーティリティも備えていること。
- 基本に忠実なマテリアルを最新技術で磨きあげていること。
などが、基本思想としてあげられました。
そして、このフィロソフィーと方向性を見極める具体的な展開方法を〔PROJECT BIG-1〕と名付け、開発に着手した訳なのです。
抜粋をもう少し続けます。
具体的には
- 心臓部には、水冷・4サイクル・DOHC・直列4気筒エンジンを搭載。
- その体躯はあくまでもセクシー&ワイルドであること。
- 走る者の心を魅了する感動性能を有すること。
など、単に性能や機能にとどまらないモーターサイクルの普遍的な魅力を具現化し、第29回東京モーターショーに「CB1000 SUPER FOUR」を参考出品いたしました。 そして「CB400 SUPER FOUR」は、これらの基本要件はそのままに、奇をてらわずマシン全体が醸し出す力強さや、安らぎを感じさせるモーターサイクルの奥深い魅力を追求したネイキッド・ロードスポーツバイクとして開発いたしました。
水冷4気筒エンジンを搭載して、乗る人がグッと来ちゃう感性を刺激する性能を持ち、それでいて王道を行くバイクをちゃったよと、こう言っているのです。凄いでしょう!
そうして生まれたのが「CB400 Super Four」。直列4気筒エンジンの持つスムーズで力強い出力特性を活かして、市街地走行から効外のワインディングロードまで素直な走り味が楽しめ、しかも迫力ある個性的なフォルムと機能的なスタイルを融合させたネイキッド・ロードスポーツバイクした。
ホンダ「CB400 Super Four」1992年モデルのスペック
- 全長×全幅×全高:2,085×735×1,080mm
- ホイールベース:1,455mm
- シート高:770mm
- 車両重量:192kg・172kg(乾燥)
- エンジン種類 / 弁方式:水冷4ストローク直列4気筒 / DOHC4バルブ
- 総排気量:399cc
- 内径×行程:55.0×42.0mm
- 圧縮比:11.3
- 最高出力:53PS / 11,000rpm
- 最大トルク:3.7kgf・m / 10,000rpm
1995年にはビキニカウルを装備した”Version R”が追加!
1995年には、精悍さを強調したビキニカウルの装着にくわえ、エンジンの吸・排気系などを変更することで高回転域での走行フィーリングの向上を図った「CB400 Super Four バージョンR」をタイプ追加しています。サラっとエンジンの吸・排気系と書いていますけど、ハイカムが採用されていたりと、かなりな変更が施されていました。
ちなみにこの時、標準モデルの方も、エンジン外観と足回りがリファインされています。
翌1996年には、上掲のVersion Rからビキニカウルを取り外したような、Version Sが追加されています。
コチラも見てくれだけでなく、フロントブレーキキャリパーが対向4ポットキャリパーに変更されていたりと、走りの方向でシッカリと仕上げてきていました。
1998年には、この「CB400 Super Four バージョンS」はホンダの創立50周年記念を祝う1台に選ばれ、50thアニバーサリースペシャルとして限定500台が発売されています。
続々と改良が加えられた「CB400 Super Four」の系譜はまだまだ続きます。
2000年には「CB400 Super Four」にHYPER VTECエンジン搭載!
2000年モデルには、新たにHYPER VTECエンジンを搭載しました。このHYPER VTECというのは、四輪のVTECとは違った機構。途中までは2バルブで回っているのですが、一定の回転数になると4バルブ化されるものです。
このHYPER VTECエンジンも時を経てリファインされて行くのですが、その全てを書いてしまうと日が暮れてしまうので、省略させて頂きます……それ程ホンダは「CB400 Super Four」をしっかり仕上げている、という証明であります。
2005年にはハーフカウル搭載モデルが追加!
続いての大きなトピックは2005年。標準モデルのフロントフォークに、走行条件に合わせた幅広いセッティングを可能にする無段階調節が可能なプリロードアジャスター機構が採用されました。また、シートクッションに高密度ウレタン素材を採用し、乗り心地を向上させています。
そして、タイプ追加されたのがコチラ!「CB400 SUPER BOL D’OR」。新設計のハーフカウルを装備することで、高速走行時の風圧の軽減と、走行安定性の向上を実現。また角型マルチリフレクターヘッドライトの採用で夜間の視認性を向上させるとともに、スモークスクリーンの採用により昼間時のメーター類に対する視認性を向上させています。カウル内側には左右で約1Lの収納スペースを確保しており、高速道路二人乗り解禁に合わせた長距離走行に適した仕様とされています。
微に入り細に入り、時代のニーズにも合わせているのであります。
2007年にはインジェクション化された!
そして2007年、遂に「CB400 Super Four」にも電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)が採用されました。また自慢のHYPER VTEC機構は更なる進化を遂げ、HYPER VTEC Revo(レボ)として新たに搭載されています。ギアポジションとエンジン回転数に加え、今回新たにスロットル開度を検知・演算するシステムを追加することで、作動するバルブ数をより緻密に制御。これにより巡航走行時などスロットル開度が小さい時には燃費効率の良い2バルブを維持し、加速時などスロットル開度が大きい場合には4バルブに切り換わり、爽快で伸びのある走りを実現しています。
また安全技術においては、前・後輪連動ブレーキシステムCBS(コンバインド・ブレーキシステム)に、急制動時などの車輪ロックを回避するABS(アンチロック・ブレーキシステム)を併用した、Combined ABSを400ccクラスのネイキッドロードスポーツとして初めて搭載してタイプ設定していました。安全面でもNo.1であり続けるホンダの姿勢の表れと言えましょう。
2014年の「CB400 SUPER BOL D’OR」からライトがLED化!
さて、最後にご紹介するのは2014年モデルの「CB400 SUPER BOL D’OR」。ヘッドライトがLED化されたモデルです。
ホンダ「CB400 Super Four」は新しいスタンダードを構築した!
ということで今回は、ホンダの「CB400 Super Four」と、その派生モデルをご紹介しました。ホンダが本モデルにどれ程力を入れて来たか、良く分かりますね。妥協することなく適宜時代に合わせて細かく改良され続けているのです。
ベテランライダーの方なんかは「面白くない!」とか言いますが、それは完成度が恐ろしく高いことを表しているのです。ニュアンスが伝わるか分かりませんが、400ccクラスの「スーパーカブ」みたいなものでしょう。絶対的なスタンダードを構築したモデル。それが「CB400 Super Four」なのであります。