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宅配ビジネスで大活躍しているホンダの原付三輪スクーター「ジャイロX」と「ジャイロキャノピー」が、一部仕様を変更されるとの発表がありました。
初代「ジャイロ」発売は1982年。なので今年はめでたい35周年なのですが、誰からも祝福されることなく今日も働く健気な「ジャイロ」……今回は、そんな同車を復習してみましょう!
初代の前に”スリーター”の第1弾モデルがあった!
現在ホンダが販売する三輪スクーターは「ジャイロ」シリーズのみですが、実はその初代登場の前年となる1981年、”スリーター”の第1弾として華々しくデビューしたモデルがありました。それがコチラ!
2サイクル50cc新エンジンを搭載した三輪スクーター「ストリーム」でした。
「ストリーム」は、これまでの乗りものに見られない独創的で漸新なスタイルをもち、フロントホイールと駆動するリアホイールとの連結部にナイトハルト機構を採用したことにより、コーナリングでフロントボディが左右自在にスイング、新しい感覚の走りを実現していました。
リア2車輪の駆動軸にデファレンシャル・クラッチを装備、このため思い通りのコーナリングが得られる、とされていました。
それに加えて、小径ホイールの採用とロングホイールベースとにより、広いフットスペースを確保。乗用車感覚ののびのびとしたライディングポジションとゆったりした乗り心地を確保していました。
これらにより「ストリーム」は、2輪車に比べ、より超低速走行時の直進安定性に勝れ、それでいて2輪車の軽快な乗り味を有しており、さらに乗用車の快適性を合わせ持つ、ユニークな乗りもの”スリーター”と定義されていたのです。
“スリーター”第2弾「ジャイロX」は不整地&雪道向けだった!?
さて、「ストリーム」登場の翌年となる1982年に”スリーター”第2弾としてリリースされたのが、今回の主役である「ジャイロ」の初代モデル。当時のリリースを読み返してみると、今からは想像し難いのですが、意外にもビジネス用途をメインとしていなかったことが分かります。
リリースの冒頭は、こんな感じ。
本田技研工業(株)は、スリーホイールの新感覚な乗りもの〈スリーター〉の第2弾として、不整地や雪道での走りを可能にした「ホンダ ジャイロX」を10月14日から発売する。
ですので、そのエクステリアはオフロード・モデルや、後に登場した「モトラ」にも通じる、アウトドアギア風のテイストを押し出していました。
ノンスリップデフ機構ばかりでなく、ワイルドパターンの低圧ワイドタイヤを装備しており、不整地や雪道、坂道などでの優れた走破性能をウリにしていたのです。
確かに現在でも、それに近い乗り方をする人も稀に見掛けますが、今では基本的にはピザ屋御用達車両の「ジャイロX」に、そんな出自だったとは……。
2017年、平成28年排出ガス規制に適合してマイチェン!
さて、最後にご紹介するのは最新の「ジャイロX」。今回、平成28年排出ガス規制対応として燃料蒸発ガス抑制装置や、排出ガスの異常を警告する車載故障診断装置を装着。
新たにリアフェンダーの左側にエンジンオイルの点検・交換時に役立つ開閉式の点検窓を設置して、オイルレベルゲージの延長とあいまってメンテナンス性を向上させています。
ところで現在の「ジャイロX」は、ウインドシールドと車体前・後にキャリアを装着したスタンダードタイプと、ウインドシールドとリアキャリアを廃したベーシックタイプの2タイプを設定しています。
また、現在最も良く見掛けるコチラ!「ジャイロキャノピー」は、雨や埃など天候の影響を受けにくい大型フロントスクリーンとルーフを装着しながら、開放感のある運転スペースと良好な視界を確保。
宅配ビジネスや出張修理サービスなど、多様化するビジネス用途の要望に対応できるものとしています。
今回の変更より前、「ジャイロX」シリーズは既に、電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)や触媒装置(デュアルコアキャタライザー)による環境性能や経済性に優れた水冷4ストロークOHC4バルブ総排気量50ccエンジンを搭載。走行安定性の高い車体には、前・後輪にアルミ製ホイールやチューブレスタイヤ、大径ドラムブレーキを装備していました。
こうして未来に向けてアップデートされた最新スリーター「ジャイロX」シリーズは、9月22日に発売が開始されます。その車両本体価格(消費税込み)は……
- ジャイロX ベーシック:39万7,440円
ジャイロX スタンダード:41万9,040円
ジャイロキャノピー:56万0,520円
です。
その歩みを知ると、親しみも湧いてきますね。今まで以上に街行く「ジャイロ」をジックリ眺めてしまいそうな筆者です。