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寒さが厳しくなってくると、シーズン明けまで保管を試みることもしばしば。でもただ置いておくだけだと、春先には「ぜんぜん動かない!」なんてこともあります。
ではどうしたらいいんでしょう?冬はどうやっても乗れない、北海道在住の筆者が培ってきた保管術をご紹介します。
長時間放置すると劣化するパーツを探れ!
まず押さえておきたいのが、機械部品の劣化。なにもせずに放置するだけだと、付着した油分のせいで部品と部品の間を繋いでいるゴムがひび割れてしまったり、箇所によっては金属パーツがサビやすくなってしまいます。
バッテリーはつけてるだけで放電!?
バッテリーはバイクにつけているだけで少しずつ放電しています。もっとも走っている間は充電されるので大丈夫ですが、保管時ともなればそうはいきません。いつかはバッテリーが上がってしまいます。
さらにバッテリーの性質として一度でも上がるとそのクセがついてしまうことも。最悪の場合、バイクに乗るたびに充電が必要になってしまいます。
バッテリー交換を行えば再び元気に動いてくれますが、毎シーズン購入となるとコストもかかりますし、避けたいところです。
ガソリンタンクは内部のサビで穴が開くことも!
ガソリンタンクの劣化は気づきにくいですが、重大な事故に繋がりかねない部分です。内部が錆びてくるとそこから腐食が始まり、進行すればタンクに穴が空いてガソリンが漏れだすなんていう危険も。
実は、長期間の放置はこうした事態を招きやすいのです。頻繁に走らせている間はバイクを動かすことによってガソリンが揺れ、タンク内部が常にコーティングされた状態となり、サビの原因となる空気中の水分を防いでくれます。しかし、動かさなくなればそうした油膜も落ちてしまい、空気と接触。サビが発生しやすくなってしまうのです。
またサビがタンク内部に落ちてしまって、ガソリンの通り道を詰まらせてしまうといったトラブルにもつながってきます。
丈夫そうに見えるタイヤも、動かさなければ劣化を早める
タイヤには常にバイクから地面に押し付ける力がかかっています。そのため、長期間放置すると、タイヤは常に同じ面でバイクを支えることになるのです。
一定の圧力を同じ方向にかけられているわけですから、地面に接している部分のゴムは他の部分と比較して硬く劣化しやすくなります。
さらに柔らかめのタイヤの場合、若干変形してしまうことも。そうなると、グリップ力が低下したり、場合によってはパンクする場合もあるので注意が必要です。
むき出しのパーツはサビに要注意
フルカウルのバイクであっても、むき出しの金属パーツは数多くあります。これらが長期間雨や雪に晒されると金属パーツはサビつくことになりかねません。
一度錆びてしまったパーツはどんどん劣化が進み、最終的には破損に繋がります。パーツが折れてしまったり、部品を外すためのネジが回らなくなったりと、バイクの寿命を短くする原因につながるのです。
豪雪地帯では道路に融雪剤が散布される地域もありますが、その成分は塩化カルシウムであることが大半。これはサビを促進する作用もあるので、空気に乗って流れてくるそれをなるべく避けることも重要です。
バイクを劣化させない4つの対策
バイクを長期間動かさないことによって起こる劣化ポイントを押さえたところで、劣化させないために行うべき対策方法を見ていきましょう。
バッテリーはバイクから外しておく。できれば充電も
長期保管する前には、まずバッテリーを外しましょう。バッテリーがどこについているかはバイクによって様々ですが、多くの場合はシート下に設置されています。
赤いコードのプラス端子と黒いコードのマイナス端子がありますが、必ず黒い方から外しましょう。赤い方から外してしまうとショートの原因となり、コードが燃えたり、場合によっては感電してしまうことも。必ず、この手順は守りましょう。
さらに万全を期すなら、充電もしておきたいところ。実はバッテリー単体でも少しずつ放電しているのです。最近では、バッテリー充電器も3000円程度で購入できるようになりましたし、月に一度ほど充電しながら春先のツーリングを思い描くのも良いかもしれません。
ガソリンタンクの保護にはスタンドで「満タンお願いします!」
ガソリンタンクのサビ対策は、ガソリン満タンでOKです。油膜が切れることによってサビが促進されるわけですから、油膜が切れにくくなるくらいガソリンを入れておけばいいというワケ。
ただし規定量以上の給油は行わないようにしましょう。バイクが倒れた際にガソリンが漏れて、引火する原因ともなりますから。
メンテナンススタンドでバイクの重さからパーツを守る!
バイクの重みを常に支えているタイヤへの負荷を減らすためには、メンテナンススタンドでタイヤを浮かせることが一番です。無用な圧力がかからないので、変形する心配だってありません。メンテナンススタンドがない場合は、センタースタンドを利用することも手です。
どちらもない場合、一ヶ月に一度はエンジンをかけずに少し取り回してみるようにしてみましょう。動かすことで異なる面に圧力がかかるので、動かさないよりはいくらかマシになります。
外装を守るにはガレージ保管。無理ならバイクカバーをかける
夏場でも同様のことがいえますが、外に放置したままだとパーツがサビてしまいます。豪雪地帯では風で飛んでくる融雪剤も脅威です。
対策として最も有効なのは、やはり屋内で保管することです。ガレージに保管していれば外装を守れるだけでなく、冬の間にメンテナンスを楽しめるというメリットもあります。
もしガレージがない場合は最低限バイクカバーを被せることを徹底しましょう。普段は駐輪場のような屋根がある場所に停めている方でも、冬場の大敵は融雪剤なので風が吹き込むと劣化は進行してしまいます。
バイクカバーは水や紫外線からバイクを守ってくれる役割もありますし、チェーンロックを通す穴が空いていて、防犯にも役立ちます。一枚持っておいて損はないですよ。
越冬対策でバイクの劣化を最小限に!
地域によってオフシーズンの長さは異なりますが、1ヶ月以上バイクを動かさない場合は長期保管に向けた準備が必要です。
ちょっとした手間に感じられるかもしれませんが対策を行うか行わないかで、春を迎えたときバイクの状態は大きく変わってきます。バイクの寿命にも直接関係してくるので、忘れずに対策しておきましょう。