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バイクでキャンプへ行くライダーにとって、テントのサイズや重量は非常に重要な要素です。そこで今回は、世界最高レベルのコンパクト性を兼ね備えたモンベルのULドームシェルター(2型)持ってキャンプツーリングへ行ってみました。
筆者は普段クロノスドーム(2型)を使っていますので、そちらとの違いもご紹介したいと思います。ちなみに車両は、オフロードテイストなスタイリングにDCTエンジンを組み合わせたHONDAの「XADV」を使用しました。
テント(クロノスドーム)とULドームシェルターの違い
はじめにテントとシェルターの違いから。大きな違いはその基本構造とコンセプトにあります。 下の写真はクロノスドーム2型の本体写真。
これだけだと防水性がないので、この上から防水処理が施されたフライシートをかけます。 壁が2重になるのでダブルウォールといいます。換気性能が高いため結露が発生しずらかったり、全室があったりと快適な居住空間をつくることができます。市販のテントは大体このタイプです。
次にU.Lドームシェルター2型。 こちらは防水性のある一枚の生地で構成されています。壁が一枚なのでシングルウォール。布が一枚少ない分収納サイズをコンパクトにでき、且つ軽量に。 加えて設営が早いのも特徴です。極限まで機能を削ぎ落としているので、快適な居住性というよりは、最低限の機能を備えた簡易テントと考えたほうがよいでしょう。
ULドームシェルターは3シーズン(春~秋)での使用を前提に設計されています。
収納時のサイズ感など
気になるサイズ感から。 先述の通りULドームシェルターはシングルウォールです。スタッフバッグに収めた状態の寸法は260×φ120mmとかなりコンパクト。XADVのメットインスペースはフルフェイス一個が入るか入らないかの大きさですが(普段使っているツアークロス3のLサイズは入らなかった)、このくらいのスぺースであれば本体は余裕で収まります。
また本体重量は820g。私が普段使っているクロノスドーム2型が2kgちょっとありますので半分以下の重さです。
ポールの素材は軽量で強度に優れる7001超々ジュラルミン。残念ながらXADVのメットインには入らなかったため、シートバックへ収納しました。
ちなみにドームシェルターは張り綱とペグが付属していないため別途用意する必要があります。
設営はとても簡単
早速組み立てスタート。
はじめに入り口を全開にした状態でシェルター本体を広げます。
次にポールを組み立てます。ショックコードが入っているから楽々です。
組み立てたポールを入り口から入れ、シェルター内の四隅に当てます。
先端があたる部分には当て布によって補強されているので確実に保持してくれます。
あとはシェルター内部に設けられたベルクロでポールを固定すればあっという間に自立します。
最後にペグダウンして完成。はじめての組み立てでしたが、拍子抜けするほど簡単でした。慣れれば10分もかからないで設営できるのではないでしょうか。まさにシングルウォールテントならではの早さだと思います。
室内は一人だったら十分な広さ
室内の広さを見てみましょう。
全長120cmのインフレーターマットと、ヘルメット・バックパック・シートバッグを入れた状態。2型はスペック上2人用なので荷物を入れても結構余裕があります。
クロノスドームの2型と比較すると高さが10cmほど低く、長辺が20cm短くなっています。
身長170cm、座高高めの私が胡坐をかいて座ってみると、内部の一番高いところまで10cmほどの余裕があります。クロノスドームよりコンパクトなのは実感しますが、圧迫感を感じるほどではありません。
入り口の上半分はメッシュ地と本体生地の2重構造になっているため、室温の調整に便利です。
ただ前室が無いため、万が一雨が降ってきた場合全開にはできません。タープと併用するなど対策が必要です。
シングルウォールならではのデメリットも
写真は目を覚ました6時頃のシェルター内部です。使う前から分かっていたことだったのですがかなり結露が発生しています。シングルウォールの場合、防水性を持たせた一枚の布で成り立っているため、外気温と室内との差が大きいとどうして発生してしまうのです。冬場窓ガラスに結露が出るのと同じ原理ですね。
ちなみにダブルウォールのテントでも結露は起こるのですが、本体とフライシートの間に空気の層ができるため内部には発生しずらいです。シングルウォールは構造上気密性が高いため、ベンチレーション(換気)が非常に大事になってきます。
結露の問題だけでなく低酸素状態になる可能性もあるためULドームシェルターはあえてベンチレーションが閉められない構造になっています。
まとめ
というわけで今回初めてシェルターというものを使ってみましたが、「一長一短なギア」というのが正直な感想です。キャンプツーリングでの使用を通し私が感じたことを簡潔にまとめてみると以下のようになります。
メリット
・軽量&コンパクト(積載量が限られるバイクにとってはメリット大)
・設営が早い(その分他の作業に当てられる、焚き火の準備など)
デメリット
・結露の発生(シュラフをはじめ中の荷物が濡れないよう、室温調整に気を使う必要あり)
・前室がない(泥の付いたブーツを中に入れなければならなかったり、雨天時に調理ができない)
収納サイズや設営の早さを一番にとるならシングルウォールのテント、快適性をとるならクロノスドームをはじめとするダブルウォールのテントといったところでしょうか。特に快適性に関しては普段使っているクロノスドームがいかに優れているかを実感しました。必要十分な性能にして手の出しやすい価格設定と、キャンプ場で頻繁に見かけるのも納得がいきます。シェルターが「簡易テント」というポジションであることから割り切って使う部分があるわけですが、無駄をそぎ落としたその機能性は別の見方をすれば工夫のしがいがあるともいえ、ミニマルを目指すキャンパーにとっては面白いギアになるかもしれません。
ヘリノックスの新作「チェアゼロ」もご紹介!
軽量なシェルターにあわせて持っていったのは、ヘリノックスから発売されて間もないチェアゼロ。その重さはなんと490g!スタッフバッグとあわせても510gと驚きの軽さ。これは500mlペットボトルとほぼ同じ重さです。
肉厚も薄くなっているというアルミフレーム部分。持ってみるとあまりの軽さにびっくりします。ショックコードが内蔵してあるため組み立ても一瞬です。
フラッグシップモデルのチェアワンと並べてみました。 基本構造は同じですが、チェアゼロのファブリックには「ポリエステル・リップストップ地」という強度に優れた素材が採用されており、 堅牢製を保ちながら軽量化されています。
身体を包み込むようなフィット感はチェアワン同様でした。ちなみに耐荷重(静荷重)は120kg。強度面でも申し分無しです。
スペック表を見ると収納サイズはあまり変わらないのですが、実物を手に取ると数値以上にコンパクトに感じます。軽量化されたことやスタッフバッグの作りがシンプルな巾着タイプに変わった点もその要因だと思います。
XADVのメットインにも余裕で収まるサイズ。優れた機能性を持ちながら収納サイズがコンパクトで、お値段は少々張りますがバイクでキャンプへ行くライダーには非常にお勧めです。
いかがだったでしょうか。今回は軽量・コンパクトを切り口にしたアイテムをご紹介してみました。
筆者も含めですが、はじめはあれこれと道具を持って行っていたのが、そのうち持ち物をそぎ落としよりミニマルになっていくことも少なくありません。同じような方の一助になれば幸いです。