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ここを読まれている方々は、大なり小なりバイクに興味のある方だと思いますが……。
それでも、ほとんどの人はオフロード車の存在や世界を知ってはいても、あまり積極的には触れたり関わったりしたことはないのではないでしょうか?
私はオフロード界の最底辺をウロウロしているレベルに過ぎませんが、その魅力の片鱗だけでもお伝えできればと思います。
競技としてのオフロード
オフロード、オフロード車と聞いて、どんなイメージを持たれているでしょうか?
多くの人はまず、土や泥を巻き上げ空高く舞い上がる、モトクロスやスーパークロスを思い浮かべるのではないでしょうか。
モトクロス、スーパークロス
主に人工的に造営された比較的短いコースを、10~20人が規定数周回して競う10分程度のスプリントレースです。
スタジアム等に土砂を搬入して、ショー的要素を強めたコースを造営するものは特にスーパークロスと呼ばれています。そのためのトレーニング積んでるとはいえ、この人たちに恐怖心とか躊躇というものはないのだろうか? と、いつ見ても思います。
エンデューロ
モトクロスが人工的なコースでのスプリントであるのに対して、エンデューロでは主に自然の地形を使った比較的長いコースでのエンデュランス(耐久)レースで、一度に100人ほどが60分や120分といった既定時間内での周回数を競います。
近年ではトライアル的要素を多く含んで、走破そのものが大変なコースでの耐久レースという「ハードエンデューロ」と呼ばれる大会が増えました。世界で最も過酷といわれるエルツブルグロデオは、口の悪い人たちからは(畏敬の念を込めて)キ●ガイ王決定戦と呼ばれていたりもします。
トライアル
自然・人工物で構成された、セクションと呼ばれるさまざまな障害コースを、いかに足つきやコースアウトすることなく正確に走りきるかを競うものです。
トップライダーの走りは、重力や摩擦係数といった物理法則を無視しているとしか思えません。
ダートトラック
フラットな土のオーバルコースのほぼ全域を全開ドリフト状態で、鉄のスリッパを履いて周回します。
このレース出身のオンロードの有名GPレーサーは多いですね。
と、主なところではこのあたりでしょうか。
気を付けないといけないのは、このあたりの競技の様子が一般人の目にまで触れるシーンのほとんどは、そのジャンルのスーパーエリートライダーによるものということです。
決してオフ車に乗りさえすれば、誰でもあんな走りができるようになるというわけではありません。
ビビリミッターを装備していない人や、効きの悪い自覚のある人は、決して安易に真似してみないよう肝に銘じておきましょう(笑)。
本当は結構ゆるい?オフロードツーリング
素人のツーリングでもゲロ道/ケモ道アタック等と呼称して、「それ絶対自分の足で歩いたほうがラクやろう!?」って場所で汗みどろの泥まみれでバイクと格闘するという、好んでハードなチャレンジをされている人たちもいますが、実際にはもっと敷居の低い場合が殆どであろうと思います(当社比)。
ハードなチャレンジをする場合には、それなりの計画したうえで上級者も含んだグループを組み、ロープや鋸まで含んだ装備を用意することも必要となり、思いつきや気まぐれでフラっとは行けませんし、そういったチャレンジの阿鼻叫喚のレポートを雑誌やネットで見るのは楽しいものですが、それらのせいで敷居が高くなってしまうことはあるかもしれません。
単独~少人数や初心者を含む場合では、比較的フラットでよく整備されたメジャーな林道等で、飛ばない、落ちない、嵌まらない、壊さない、ケガしない。で無事帰れることを第一に、無理をせず走る場合がほとんどです。
まぁ、自然災害の爪痕の迂回ルートがなかったり、スキーやスノボと同様に「だいじょうぶだいじょうぶ」と上級者に連れていかれた所で、涙目になりながら(時にパンツも濡らしつつ)走ることの1度や2度くらいはそのうちあるかもしれませんが。
なぜオフ車を勧めるか?
前項まで「オフ、オフ」と連呼しておりますが、私のバイクライフそのものはオンロードがメインですし、オフをメインで乗り、競技もしてるような人に比べれば嗜む程度でしょう。
そんなオフロード界の底辺レベルにありながらも、なぜこうまでオフ車を勧めるか?
それは、未舗装路をゆるゆる走っているだけでも、舗装路でのオン車の運転も格段に進歩できるからです。
はじめてオフ車を運転してみた時の感想は、足つきの良いセローであったこともあり「100km / h出せるママチャリ」でした。
オン車では全備で200kg〜ほどの車体を70~80km / h程度で走らせて初めて出てくるような挙動を、100kgちょっとの車体とせいぜい20~30km / hで、万一転んでも柔らかい路面で手軽に試して経験することができます。
また、それほどアグレッシヴな走りをしていなくとも。
ストロークが長く柔らかいサスとショートホイールベースで軽量な車体は、加減速と荷重抜重といった動きに、低速域からでも大げさにわかりやすく反応し、荷重移動とバイクコントロールのキモを掴みやすいです。
加えて、コースや山奥まで出かけずとも、許されるなら10m四方程度の空地とブロックやレンガの1個でもあれば、何通りもの練習メニューをかなりの時間をかけて楽しむことができます。
経済性
このようにライテク磨きに最適な存在でありながら、多くは車検のいらない軽二輪~原付クラスです。
燃費や維持費も比較的安上がりですし、125cc以下であればクルマのオマケ保険(ファミリーバイク特約)で任意保険をカバーすることさえでき、セカンドバイクには最適といえます。
まさかの時に?
万一、住居地やその付近が災害被災地となったとき。
移動と運搬の手段の確保、またそれを活かせるだけの腕前を磨いておけば、心強いことこの上なし?
ライダーとして知らなかった世界の拡がりと、ライテクの向上とコストパフォーマンスと万一の備え。
この記事が足を踏み入れてみるきっかけの一助となれば幸いです。