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軽い転倒をしてしまったときはもちろん、立ちゴケ程度でもついてしまうバイクへのキズ。あららー、やっちゃった!で済むレベルでも、しばらく放っておけば直るというものではありません。
とはいうものの、きっちりかっちりカンペキに治そうと思うと、交換にせよ補修にせよ「たったこれだけのキズにそんなに!?」というくらいのお金がかかってきます。
そんなときは、DIYにチャレンジしてみましょう!仕上がりソコソコなら比較的カンタンですし、安くすみますよ。代表的な方法を見ていきましょう。
タッチアップペイントは意外と難しい
キズ補修といった場合に、誰もが最初に思い浮かべるであろうタッチアップペイント。お手軽ですが、あんまり何も考えずに塗ってしまうと、場所や範囲によってはむしろキズのほうがよかったと思えるほどヒドイ仕上がりになることも。
キズというのは、言い換えれば平滑な面にできたデコボコです。それに沿ってただ色を乗せただけでは、光を乱反射してしまい、かえって悪目立ちしてしまうのです。
また、ソリッドカラーならまだマシですが、メタリックやパール系の塗色で広範囲をタッチアップしてしまうと最悪です!これらは純正状態ではキラキラ光る粒子を含んだ色を塗った上で、クリアを塗って保護しているため、単に色を乗せただけでは周囲の色と調和しないのです。バンパー角を縞模様で飾ってるクルマとかたまに見ますよね。
これらを避けるためには、ある程度キズを平滑化(均す・埋める)して塗料の濃度を調整して塗ったり、最終的に平滑になるよう厚く塗ってから削ったり、別途クリアを乗せるといった作業まで必要となり、決してお手軽とはいえません。
石跳ねのような点キズに、爪楊枝でちょんちょんと塗料を重ねていくような対応のみにしておけば、自信のない人でも比較的キレイに仕上げることができるでしょう。
「防錆のためだけでいいよ!」という人は、何も気にせず付属の筆でベッタリコテコテやっちゃってください。
軽いキズは磨いて落とす
がっつり削れているわけではない、塗膜表層の軽い線キズ。タンクにライジャケの金属ボタンが接触したり、タンクバッグのマグネットが擦れたり、砂埃がついたスポンジで洗車したものや、ボディーカバーがバタついての塗装の白ボケ・ツヤ引けといったものですね。
これらはコンパウンド、またはコンパウンドを含んだワックスやポリッシュケミカルで磨くことで、比較的目立たなくなるところまで簡単に落とすことができます。やや深いキズには1500番の紙やすりから始めて、2000番や3000番に番手を上げていき、コンパウンドで仕上げると時短になります。
ただし、塗装表面を「削る」ということですので、注意が必要かつ多様は禁物です。やりすぎると地金が出てしまったり、メタリックやパール塗装の場合は表層のクリアを剥いてしまうことになりかねません。
塗装の仕上がりは下地で8割が決まる!
タッチアップペイントの項でも書きましたが、仕上がり具合は塗装そのものよりもその土台に左右されます。いかに削れてなくなったものを上手く修復できたか否かということです。
一般的にバイクの塗装されている部品の下地は、鉄・アルミ・ABS(強化プラスチック)・FRP(繊維強化プラスチック)のいずれかとなります。いずれも削れた部分の役目(熱の有無)と材質や材質の特性、キズの深さにあったパテで埋めることになります。
- 金属パテ:クランクケースカバーやホイールの縁等、切削作業性やや悪
- ポリパテ:タンクの大きな凹みや、プラパーツの力のかからない部分、切削作業性良
- エポキシパテ、ファイバーパテ:FRPやプラパーツの力のかかる部分、切削作業性悪
- ラッカーパテ:ごく浅い(2mm程度までの)線キズや、上記各種パテの鬆(す)穴埋め、切削作業性良
これらを考慮せずに合わないものを使ってしまうと、ヒビ割れたり脱落したり、無駄に作業性が悪くなってしまいます。また、オフ車に多い無塗装ポリプロピレンのパーツには、基本的にパテは使えないのでご注意を。
塗料は純正系の用品メーカーや大手の補修用品メーカーから、純正色のスプレーが販売されていたり、通販やホームセンター等での調合サービスもありますから、こちらを利用すればよいでしょう。スプレーよりも品数の多いボトルタイプのタッチアップペイントを薄めてスプレー化する商品もあります。自分のバイクの「カラーコード」を調べておくと便利です。
もちろん、これを機に純正色以外でのカスタムカラーに変えてしまうのも、気分がアガっていいですよ!
カンタンお手軽で仕上がりソコソコな最終手段「シール」
とはいえ、タッチアップも塗装もちょっとテクニカルなのは確か。じゃあどうするのが初心者でも気軽かといえばずばり、シールの活用です!部位的に相応しい図柄や大きさのステッカーを用意しましょう。
ただ、擦りキズは通常張り出した部分にできるため、貼り方がどうにも不自然かつ突飛になりがちで・・・・・・キズはある程度隠れるにしても、事情は透けて見えてしまうかもしれません(笑)。
あまりスポーティなイメージにしたくないときは「フィルムシート」
塗装補修用の粘着フィルムシートの活用も比較的手軽な方法です。これも純正色スプレーと同様に、ソフト99やホルツ等の大手補修用品メーカーから発売されています。
残念ながら純正色が網羅されているわけではないので、近似色でガマンすることにはなってしまいますし、よくよく見ると貼り付けたフィルムのフチが見えてしまいますが、貼り方の工夫次第でヘタクソなタッチアップ補修よりははるかに良い仕上がりになりますよ。
どうしても純正色とかっちり合わなせたいときは「オーダーフィルムシート」
「タッチアップ シール」「塗装 補修 シール」といったキーで検索すると、オーダーでフィルムシートを作ってくれる業者を見つけることができます。純正色のカラーコードで通販してくれているところや、店に赴いて褪色具合まで見てもらったうえで調色してくれるところもあります。
メタリック・パール塗装にも同工程(色にクリアを重ねる)で、より近似色が作れたり、大手の出来あいのものよりも大きさの都合がつくのが有利な点です。
とはいえ、粘着フィルムを使った場合でも、あまりに広くヒドく削れた上にそのまま貼ってしまうと、下地のデコボコが表面に現れてしまいます。
大きな削れでできた曲面の中の平面はデザイン変更と割り切ってしまって、少なくともラッカーパテで埋められる範囲は平滑化してから貼りましょう。それでも塗装するよりは手間の面でもコストの面でもカンタンに済ませることができますよ。