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バイク需要が高まり続けるインド。実はスクーターでは日本のホンダ、スポーツバイクではオーストリアのKTMも随分と幅を利かせていて、インドの国産車よりも多く見るほどです。
しかしクルーザーに関してはインドの国産車が他の追随を許しません。そのメーカーこそが今回ピックアップする、「ロイヤルエンフィールド」です。
現存する最古のバイクメーカー「ロイヤルエンフィールド」
ロイヤルエンフィールドは現存するバイクメーカーの中では最も歴史が長く、始まりはインドではなくイギリスでした。前身となる会社ができたのは1851年のこと。
その後、1901年にバイクの製造を開始し、1955年にはインドに子会社を設立しました。ところが1971年にはイギリスの本社が先に倒産してしまい、残った子会社はインドの大手企業に買収される形で存続することに。そうしてロイヤルエンフィールドは実質インドのバイクとしての歩みを始めたのです。
筆者が現在滞在している南インドでも、歴史を感じさせるさまざまなモデルが日常の風景に紛れています。
レトロな雰囲気が漂うイエローの「350」
恐らく1970〜80年代のものと思われる350ccモデル。塗装は剥がれ、タンクも凹んでいるものの、クラシックなイエローのカラーリングは雰囲気があります。
ところで、ほとんどのロイヤルエンフィールドに共通して付いている、シート下に位置する三角のパーツってなんだかご存知ですか?あれはサイドボックスというもので、片側がエアフィルターケース、片側がツールボックスになっているんです。基本、ここにモデル名が書いてあるんですが、こちらはほとんど見えなくなってしまっていてはっきりしないですね……。
見た目によらずニューフェイスな「ThunderBird」
こちらのThunder Birdはどうやらここ南インドまでネパールからはるばるやってきたと見えます。なぜわかるかというと、ハンドル間に付いているカラフルな飾りがその証拠。ネパール仏教徒の旗で「タルチョ」というものなんです。
古そうな見かけによらず実はこれ、2000年以降のモデルです。ロイヤルエンフィールドは新旧モデルで見た目にあまり変化がないので、年式の判別が難しいのですが、2000年辺りを境に古いものはフットブレーキが車体左側でギアが右側に、新しいものはそれぞれ逆になっているので見分けがつきます。
バトルグリーンが渋い「Classic 350」
積載能力が高い旅仕様のClassic 350。二人乗りしやすいタンデムシートには、事務椅子用にも見える大きめの背もたれがついています。
フロントフェンダーに付いているプレートは、レトロな雰囲気を引き立てる定番のアクセサリーですね。
実はロイヤルエンフィールドはインド軍が採用していることでも知られていて、こちらの350のようにバトルグリーンの専用カラーを身にまとっています。
スタンダードモデルも味がある!「Bullet 350」
Bullet350は製造が始まった当初からレイアウトを50年以上ほとんど変更せずに販売を続けられており、ロイヤルエンフィールドが「走るシーラカンス」と呼ばれるゆえんとなったモデルです。
ここまでご紹介した他の車両と比べると遥かに近代化したように見えますが、ロイヤルエンフィールドの歴史あるモデルらしい堂々としたいでたち。そしてフロントフェンダーの光沢のあるシルバーが渋いさをプラスしています。
リアル化石!1969年モデルの「Bullet350」
おそらく筆者の滞在先近隣では、ロイヤルエンフィールドで一番古いと思われるのがこちらの1969年式「Bullet350」。しかもこれ廃車とかではなくて、現役で走るんです。そろそろ外観のレストアもした方が……という気もしますが、友人のインド人に写真を見せたところ「これが良いんだ」とのこと。たしかにとんでもなく玄人な雰囲気は漂ってますし、好きな人は好きなのかも。シート下のバネが特徴的です。
近所では少し有名なバイクで、乗っているのがこれまた化石のようなシブいおじいちゃん。体の一部のように取り回す姿からして、超長期のワンオーナーらしい相棒感が見て取れます。まさに「タフ」という言葉が似合う一台です。
インドの国民車「ロイヤルエンフィールド」
いかがでしたか?インドでハーレーが売れない理由はロイヤルエンフィールドがあるからだといわれているくらい、国民に愛されているのが見て取れますね。クラシックなスタイルで独自の道を突き進むロイヤルエンフィールドは、インドの国産車として在り続けるでしょう。
ちなみにロイヤルエンフィールドのバイクは日本でも購入可能で、今秋には新たなモデルも発表されるとか。興味のある方はぜひチェックしてみてください!