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9代目となるハーレーエンジン「Milwaukee-Eight」が登場したのは記憶に新しいと思います。高年式の車両もいいですが、ビンテージと呼ばれる旧車も味わい深いもの。
そこで、主にビンテージハーレーを取り扱っているバイクショップ「鼓動館」の藤岡氏に、「ショベル・EVO・ツインカムの決定的な違い」について聞いてみた。
EVO以前とツインカム以降のエンジンの違いは?
EVOまでのハーレーダビッドソンが何故面白いのか、ツインカムと何が違うのかをわかりやすく説明しましょう!
- 底から突き上げられるようなトルクがあるのか?
- 5速(ショベル4速)で最低40キロまで落としても走り、そこから加速してくれるエンジンなのか?
- ポテコンポテコンと綺麗な三拍子を奏でるのか?
- 上り坂でドコドコとシフトダウンしなくても力強く登ってくれるのか?
- 追い越しを掛ける際にシフトダウンしなくてもアクセルだけで楽々と追い越せるのか?
- 心地よい進藤があるのか?
これらをトータルして、乗り味が「面白い!」ってなるんです。
ハーレーダビッドソンは、1999年までEVOエンジンでした。クリントン大統領政権当時、トラック物流を早く動かしアメリカの経済効果を上げる為、今までのフリーウェイの制限速度65マイル(104キロ)を80マイル(128キロ)に引き上げ、規制緩和を行いました。
規制緩和に伴い、今までのEVOやショベルでは128キロだと振動が激しくなるので、ハーレーダビッドソンは振動を抑えた高回転型のエンジン開発に迫られました。そして生まれたエンジンがツインカムです。128キロで走っても振動がなく、スムーズなエンジンになりました。
実はハーレーのエンジンはナックルからほとんど変わらず、OHVのエンジン構造はほとんど同じなんです。
では、何が大きく変わったのか?
一番大きな変化がフライホイールです。ハーレーダビッドソンのエンジンの目的は、この鉄アレイの様な重たいフライホイールを回す為にピストンがある!と言っても過言ではありません。ただ、この重たいフライホイールは高回転型のエンジンではなく、あくまでも65マイル(104キロ)で心地よいトルクを重視したエンジンでした。
対してツインカムはフライホイールを軽量化し、振動を抑えてカムを2本にして高回転型にして80マイル(128キロ)でも快適なエンジンとなりました。
比較してみると、薄くなったのが一目瞭然ですね。
ちなみに、数年前までは本国のハーレーダビッドソン博物館で、その動きが解りやすい展示物がありました。
三拍子はおまけ
ちなみに、アメリカでは三拍子を「Potato」と言います。三拍子はあくまでも「おまけ」です。ハーレーダビッドソンが三拍子を出す為に重たいフライホイールを開発した訳ではありません。この重たいフライホイールは回転時の惰性が強く、低回転でも止まらない状態に起こるのが三拍子なのです。
逆に軽いフライホイールだと粘りがなくなり、低回転にするとエンジンが止まってしまうため、三拍子は出ません。
いかがだったでしょうか。藤岡氏の説明によって、ハーレーエンジンの大まかな違いが解りましたね。
この記事を通して、少しでもビンテージハーレーに興味を持って欲しいと思う筆者でした。