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今の10代20代(30代も?)といった若い世代で、スティーブ・マックィーンと聞いてすぐに風貌と主要な作品が具体的に頭に浮かぶ人というのは、結構なレベルの映画ファンくらいではないでしょうか?
多くの人は名前や有名どころの作品のタイトルぐらいはなんとなく聞いたことはあるけど。という感じでは?
forRide
とはいえ、彼ほど「乗り物を軸としたライフスタイル」を標榜するフォーライドで紹介するにふさわしい生き様を貫いた人はそう滅多にいないでしょう。
クルマ・バイク・飛行機・銃器のいずれも俳優として私人として関わりと造詣が深く数々の逸話を残しており、それらのマニアを気取るには避けて通れないところでもあります。
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過去に関連記事が掲載されたことはありますが、いずれも直接本人や作品に触れているものはないので、今回は中でも特に乗り物が大きくフィーチャーされた作品やエピソードを紹介しようと思いますが……
ネタばれにならない程度に、涙をのんで当たり触りのみに抑えておきますので、興味をもった人はアマゾンプライム等のビデオオンデマンドサイトや、レンタルビデオ屋にGo!です。
来歴概略
両親が離婚、母親はアルコール依存症といった不安定な家庭で育ち、荒れた少年期を過ごしたようで、日本でいうところの感化院に相当するような寄宿学校に送られています。
そこで集団生活における規律と向かい合って更生し、規範生徒となって出所するのですが……
その後職を転々とした後で入隊した海兵隊では、当初は規律や命令に違反して度々の降格や営倉入りを経験してしまい、ここでも隊の規律と向かい合い考え直すことで軌道修正し、その後は抜群の働きで勲章を受けたり儀仗職についたりします。
海兵隊を名誉除隊した後は演劇の世界に向かいますが、すでにこのころから週末のレースに参戦しては結構な額の賞金(今の金額でおよそ10万円/週)を稼いでいたようです。
主な作品
「The Great Escape(邦題:大脱走)」1963年
見たことない、聞いたことないといった人でも、テーマ曲(The Great Escape March:大脱走のマーチ)はTVのバラエティ番組のアトラクション等のBGMで耳にしたことがあるのでは?
アクション俳優の草分けとして乗車シーンの大半は本人がこなしており、不整地でのトラクションのかけ方やギャップのいなし方といったマシンコントロールを見る限り、かなりの腕前であることがうかがえます。
もっとも、例の有名なシーンは本人は自分でやりたがったものの、保険会社の許可がおりず(その後も映画にレースにと長くタッグを組む)バイク仲間が代行したそうです。
「Bullitt(邦題:ブリット)」1968年
CGのない時代にすべて実写されたカーアクションの金字塔。封切り当時にリアルタイムで見た人は度肝を抜かれたことでしょう。
起伏の多いサンフランシスコの街中を縦横無尽に駆け巡るフォード・マスタングGTとダッヂ・チャージャー。この両車のファンはこの映画あってこそという人も多いですね。
大脱走と同様に多くのカーアクションシーンをマックィーン本人が担当しています。
「Le Mans(邦題:栄光のル・マン)」1971年
カメラを取り付けた車両をレースに参戦させて、実際のル・マン24時間のレース模様を撮影したシーンと映画用に撮影したシーンを織り交ぜて制作された、セミドキュメンタリーの体裁での作品。
人間ドラマ的なものを排してレースそのものの魅力を描きたかったマックィーンの思惑から、興行的にはまったく振るわずに彼の映画人としてのキャリアに傷をつける結果となるも、(彼の嗜好に連なるような)マニア層からは未だに高い支持を受けている作品です。
この作品で何度もル・マンのコースをレーシングスピードで走ってみて自信をつけたマックィーンは、実際のル・マン24時間への参戦を試みますが、映画制作事務所の強硬な反対により断念しています。
彼の愛したfor Rides
彼のコレクションとして有名どころとしては前項の大脱走でのトライアンフ・TR6や、栄光のル・マンでのポルシェ908 / 917Kやフェラーリ512SやフォードGT40などありますが、ブリットでのマスタングは撮影での損傷が激しすぎて廃車となり、唯一マックィーンが入手できなかったクルマとなったといわれています。
飛行機を所有するハリウッドのセレブというのは珍しくもないですが、その多くが効率的なスケジュールをこなしながら快適に安楽に過ごすためのものであるのとは正反対に、ボーイング・ステアマン、パイパー・カブ、ピトケアン・PA-8といった所有機のラインナップは、オフタイムに自らが操縦そのものを楽しむためであろうことがいかにもマックィーンらしいところです。
最後に
あくまで乗り物絡みのところに絞ってネタバレを避けながらの執筆になったため、ガチのマックィーンファンの方からは、「ふざけんじゃないよ!」というほどに薄味の内容となってしまいました(笑)
乗り物がらみでのマックィーンをとりあえずもっと読んでみたい方にまずオススメなのが、ホンダのWebサイトに掲載されている野澤隆彦氏のコラム「The Origin2」の「第5章 スティーブ、待ってくれ」です。
ホンダの開発・営業といった社史にも絡んじゃってるんですねこの人。
彼は肺がんにより50歳という若さで夭折してしまいますが、「荒野の七人」「砲艦サンパブロ」「ゲッタウェイ」「タワーリングインフェルノ」等々、今回の記事で挙げたような乗り物が大きくフィーチャーされた作品以外の名作も多数残しています。
この夏の余暇を、無理して汗みどろのツーリングに出かけずとも、リビングで快適に過ごすネタに是非いかがでしょうか?