この記事の目次
普段なにげなく走らせているバイク。アクセルをひねればグンと加速してスピードが出ますし、右手でレバーを引けばフロントブレーキがかかります。操作に対してリアクションがわかりやすくて、とっても単純ですよね。でもよくよく考えてみると二本のタイヤでうまくバランスして走っているなんてなんとも不思議。
実はこれ、車体を構成しているいろんな役割をもつパーツが相互に関連しあって初めて実現できていることなんです。構造を知れば自ずとバイクへの理解も深まってきますし、超ベーシックな部分だけでもこの機会に覚えておきましょう。トラブルが起きた際も、なんとなく原因が思い当たるようになりますよ。
バイクを形づくる「骨格」
バイクはとても多くの部品からできていますが、まずは骨格部分から押さえていきましょう。
各種パーツを乗せる土台:フレーム
フレームは剛性(粘り強さ)の高いアルミ合金で作られていることが多く、重いパーツをしっかりと支えつつもエンジンや地面からの衝撃を吸収するようできています。
フレームの形はメーカーやバイクの種類で異なる特徴があって面白いので、ぜひチェックしてみてください。例えばイタリアの名門バイクメーカー「ドゥカティ」。一部異なりますが、数本のパイプを組み合わせたトレリスフレームを採用していることで知られています。東京タワーやエッフェル塔でみられるような三角格子がトレードマークなので、すぐにそれとわかりますよ。同ブランドのスポーツネイキッド「モンスター」シリーズともなると、フレームが剥き出しなのでアイキャッチといってもいいくらいの存在感です。
ガソリンを安全に保管:燃料タンク
シートの前や下にあるガソリンを入れるタンクです。その多くは金属製ですが、軽量化やコストカットのために一部を樹脂製にしたものも存在します。その一例がヤマハのスポーツネイキッド「MT-07」です。
バイクの命「エンジンまわり」
骨格も大事ですが、バイクを動かすには3つのものが必要になってきます。
走る力を生むバイクの心臓部:エンジン
フレームによって設置方法は異なりますが、基本的にはタンクの下にあることが大半です。下記のインジェクションから送られてきたガソリンを空気と混ぜ合わせてピストンで圧縮。爆発させて推進力を作ります。
エンジンについてよく聞く「排気量」というのは、エンジンが吸い込めるガソリンと空気の量のことです。これが大きいほどその分生み出せるパワーも上がります。
燃料をエンジンに噴射する装置:インジェクション / キャブレター
ガソリンの噴出量を電子制御するものがインジェクションで、機械制御するものがキャブレターです。基本的に国内モデルなら、2000年代以降のバイクは前者、それ以前のバイクは後者が採用されています。
どちらも機能的には一緒ですが、キャブレターの場合注意が必要です。あまり放置しておくとキャブレター内部のガソリンが劣化してメインジェットやメインノズルという部品が詰まってしまうことも。エンジンがかからなくなることもあるので、定期的にエンジンをかけるクセをつけておきましょう。
エンジンの始動にも必要:バッテリー
電力が必要なのは、ライトやウインカーだけではありません。エンジン内に火花を飛ばすパーツ「プラグ」を作動させるためにも必要なのです。これがないとそもそもガソリンと空気の混合気が爆発しません。もしエンジンのかかりが悪かったら、バッテリーの劣化を疑ってみましょう。
環境汚染と騒音を防ぐ:マフラー
排気ガスを外に放出する装置で、排気ガスの清浄化と消音が主な役割です。走行中は高温になるので触らないように注意してください。
また、素材によって音質や見た目が大きく変わるカスタム向きのパーツです。特にチタン製のマフラーは使い込むと虹色に美しい色がつくこともあり、好んで交換するバイカーも多いです。
快適なライディングに直結する足回り
エンジンが駆動力を生んでも、それをうまく地面に伝えるものがなければバイクはどこへも行けません。
路面のショックを吸収:サスペンション
ホイールとフレームをつなぐ衝撃吸収装置です。フロントなら筒状で、リアならバネのような見た目で印象的な部品ですね。これらが伸び縮みすることで路面からのショックを吸収しつつ、タイヤをしっかりと地面に押し付ける働きをしています。
よく試乗記事なんかで見かける足回りが硬い/柔らかいというのは、サスペンションの伸縮性がどうかということを指していると考えてOKです。
足元のドレスアップにも:ホイール / タイヤ
ホイールはカスタムしない限り、ワイヤーが張り巡らされた「スポークホイール」と、鋳型で作られた「キャストホイール」の2種類に大別されます。前者は衝撃吸収性が高いのでオフロード系で、後者はデザインの幅が広いのでスポーツ系で使われる傾向があります。
タイヤも同様にいくつかの種類が。公道向けならオンロード、未舗装路がメインならオフロード、サーキット走行を前提とするならスリックといったように走行シーンやバイクの用途によって選択されています。
スピードに応じて使い分け:ギア / クラッチ
ギアは歯車のことです。バイクには大きさの違うギアが数枚ついており、スピードに合わせて適したものに切り替えて走行しています。その切り替えに使うのが、エンジンとギアをつなぐクラッチです。下記の順にクラッチを操作して滑らかなギアチェンジを実現させています。
- クラッチを切り離しエンジンからの動力を遮断する
- 現在のスピードに適したギアに切り替える
- クラッチを繋いで動力を復活させる
これがなくては止まれない:ブレーキ
ブレーキには、古いバイクに多いドラム式と現在一般的なバイクで採用されているディスク式の2種類があります。どちらも摩擦を使って推進力を減らすという目的は一緒です。その特性上、ブレーキシューやブレーキパッドがすり減っていくので、安全のためにも定期的にチェックしておきましょう。
バイカーが直接操作・確認するパーツ
もちろんバイクには人が乗って操ることで初めて走ることができます。そのためには、下記のパーツが必須です。
各種レバーとグリップで操作:ハンドルまわり
バイクを行きたい方向に進ませるための操舵を担っています。それだけではなく、右手のレバーが前輪ブレーキ、右手のグリップがアクセル、左手のレバーがクラッチを操作できるようになっています。
ハンドルには左右で別れている「セパレートハンドル」、一本のバーで接続された「バーハンドル」といった種類があります。前者は前傾姿勢になるためスポーツタイプに、後者は楽な姿勢になるためネイキッドタイプに装着される傾向にあります。
エンジンと走行状態が一目瞭然:メーター
バイクの速度やエンジンの回転数が確認できます。昔はアナログの針で数値を指し示すものが多かったですが、最近はデジタル表示が一般的になってきました。ギアポジションを表示する機能も現在では125ccクラスから採用されているほど、多機能化しています。
足でも操作:ステップ/ペダル
バイカーが足を載せる部分がステップです。その前には左右それぞれにペダルが用意されていて、右足で後輪ブレーキを左足でギアを操作します。スクーターをはじめとするATのバイクではギアは自動で切り替わりますし、ブレーキ操作は手元のレバーが担うことになるので、足は体とバイクのバランスをとるためだけに使うことになります。
駐車時のバランサー:センタースタンド / サイドスタンド
センタースタンドはバイクの真ん中に、サイドスタンドは左側についています。駐車する際にはどちらか一方を展開することでバイクを安定させます。最近のバイクではほとんどがサイドスタンドのみのことが多いです。センタースタンドの装備は稀ですが、メンテナンスにも便利なことからオプション扱いで用意されているケースもあります。
バイクの構造を知って、一層楽しいライディングをしよう
トラブルの上手な対処もライディングスキルのアップも、バイクの構造や機構への理解があってはじめてうまくいくものです。「なるほど」と思える部分が増えれば愛着もわき、ただの乗り物から旅の相棒へランクアップすることでしょう!