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アメリカンバイクといって、真っ先に思いつくのはやっぱりハーレーダビットソンですよね。日本において輸入が行われ始めたのも1933年頃となんと100年近く前。日本人にとっても馴染みあるブランドです。
そして1970年代に入ると、映画「イージーライダー」をきっかけに、アメリカンバイクブームが訪れます。その盛り上がりは日本まで飛び火し、国内メーカーもこぞって生産に乗り出しました。そんないわゆるジャメリカン(国産アメリカン)を代表するモデルの一つが1990年にカワサキから販売された「バルカン400」シリーズです。
筆者もそのカッコよさに魅せられて所有したバイカーのひとり。今では手放してしまいましたが、本当にいいモデルでした。バルカンが辿った軌跡とともに、その魅力を振り返ります。
大型に匹敵する存在感を放つカワサキ「バルカン400」
バルカンはもともと800ccのエンジンを積載する設計がベースだったこともあり、その車体サイズは大型バイクに匹敵します。アメリカンの伝統を忠実に再現したドコドコと重低音を響かせるエンジンの鼓動感もハーレー顔負け。さらにメーター周りやエンジンカバーなどメッキパーツを多用することで高級感を演出。所有欲も満たしてくれます。
これだけ存在感抜群なのに、意外や意外、燃費は60km/h巡航で45km/Lと比較的燃費がいいところもポイント。アメリカンらしい足つきの良さも相まって実はかなりフレンドリーなモデルなんです。
さらにうれしいのが、カスタムを前提とした車体となっていること。パーツをばらしていくのも非常にカンタンですし、フレームは一本なのでカンタンなスムージングでいろいろなタンクを流用できてしまいます。汎用品なら大概はOKというくらいで、純正が一番といわんばかりの現行モデルとは一線を画しています。
実際、中古車市場をみると前オーナーの趣味を多いに反映したカスタムバルカンがずらり。ボバーやチョッパーなど写真を見ているだけでも楽しいですよ。
ちなみに筆者が購入したのは「バルカンクラシック」というバリエーションモデル。フロントタイヤサイズが21インチから16インチと小径化したことに加えて、前後の深いフェンダーがより”アメリカン”な雰囲気を醸し出しています。
消えていったカワサキ400アメリカンの軌跡
こうして当時のカスタムシーンの盛り上がりもあり、人気を博したバルカン400でしたが、1998年でスタンダードはラインアップから消えてしまいました。
入れ替わるように翌1999年には、前後16インチのクラシックをベースにした派生モデル「バルカンドリフター」が登場。ホイールの半分を覆うくらいディープなフェンダー、砲弾型のヘッドライト、サドルシートといった1940年代風のデザインで、新たなユーザー層への訴えかけを行いました。
しかし、時代はヤマハ「TW200」をはじめとしたストリートバイクブームの真っ只中。ドリフターは2002年モデルで、クラシックは2003年モデルで終了し、カワサキ400ccクラスのアメリカンは姿を消してしまったのです。
まとめ:古き良きジャメリカンは今が買い時
ヤマハやホンダで、小排気量のアメリカンモデルがあるとはいえ、当時のような古き良きアメリカンを求める方であれば、バルカン400はいい選択肢となることでしょう。もはや20年近く前の旧車に分類されますし、メッキパーツが多用されていることもあってキレイで調子のいい個体を探すのは至難の業ですが、まだメーカーから部品がそこそこ供給されているので、修理もまだなんとかなります。
前述したようにクールなカスタムが施された個体も多いですし、スタイリングにビビッと来てしまった方は今が買い時ですよ!これから先は、値上がりが見込めますし、なにより安心して乗れる最後の時期かもしれませんからね。