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ヤマハ「XSR700」といえば、軽量な車体コンパクトな車体と、高耐久性を誇る並列2気筒エンジン、それに手ごろなお値段もあり、特にヨーロッパでは売れに売れているスタンダードなモーターサイクルであります。
ご存知の通り、そのお姿はこんな感じ。至ってシンプルですが、とても良くまとまっていて、美しいの一言です。がしかし、やはり愛車を俺色に染めてみたい!と考えるのがライダーの性。そんなライダーの夢を形にするお手伝いをすべく、ヤマハ(欧州)はヤードビルドという活動を行っています。技術やセンスに定評のある知名度の高いビルダーさんに、ヤマハ製品をベースにカスタムして貰うから参考にしてね!というプロジェクトです。
今回ご紹介するのは、その成果として発表された1台。実に個性的なのです!
「XSR700」カスタムのビルダーはフランス人!
その1台というのが、こちらのカスタムバイク。ご覧のようにTWのような極太リヤタイヤが最大の特徴。現代のロードスポーツモデルが、見事に80年代のオフロードバイクに変身しております!
制作したのはフランスのカスタムビルダー、Sur Les Chapeaux De Roues(SLCDR)のマヌエル・ファンさん。モーターサイクルビルダーのみならずボイラーの技術者の資格も保有する、根っからの機械好きです。
2013年以来、彼のワークショップでは、様々なクラスの、多様なスタイルを持つカスタムバイクを30台以上製作した実績があり、その金属加工技術は高く評価されています。
極物のリヤタイヤは、アノ珍車へのオマージュ!
さてさて、この見事なカスタムバイクですが、既にお伝えしましたように、最大の特徴は極太のリヤタイヤにあります。そう……このカスタムバイクは「XSR700 BW Tribute」と名付けられておりまして……
80年代にヤマハが発売していたユニークなオフロードモデル(というかファンバイク)、「BW200」へのオマージュとして製作されたのでした!
TWブーム全盛期に、あえてこのBW200に乗っているアパレル関連の方がいて、よく原宿の竹下通り付近に停まっていたものです。(どうでもいい話ですが…)
外装類のディテールも完璧な仕上がり!
閑話休題、「XSR700 BW Tribute」はヤードビルドの作品ですから、エンジンとフレームはフルストック。ですから、その他の注目ポイントは自ずと外装類になるわけですが……
その仕上がりはご覧の通り! ファンさんお得意の金属加工技術を活かしたオリジナルのVMX風ガソリンタンク(スチール製)と、ホリゾンタルかと思いきやちょっと段付きセミダブルシートは、あえて「BW」テイストを踏襲しないあたりに作り手の妙を感じます。
フレームを避けたタンクの形状は特に秀逸で、「タンクはなるべくローマウントにセットしたいが、かなり上まで張り出したフレームが邪魔だ…」そんな葛藤が見てとれます。少し気になるのは、タンクマウント(ステー)が少し華奢なのでクラックが心配です。
フロントフェンダーは、フェンダーステーとミニキャリアを兼ねたような形状。ここにレザーのツールバッグをくくりつけたら、さらに良い雰囲気になりそうですね!
アルミ製の前後フェンダーはアップ仕様ながらもショートタイプに。ここもあえて「BW200」の雰囲気に寄せていないところが、現代版スクランブラーカスタムのテイストを醸し出しています。
また、シートに埋め込まれた超ミニLEDテールライトや、シート下に潜り込ませたウィンカーは、車両全体のフォルムを崩すことなく必要最低限の機能を備えています。
これまたオリジナルのアップタイプのエグゾーストですが、サイレンサーにはアクラポヴィッチ製が装着されています。
エキパイの取り回しは少々荒く、ワイルドな雰囲気といえばそうなのですが、乗車時に内膝&ふくらはぎへの熱が心配です…。
ということで、「XSR700 BW Tribute」は「BW200」へのオマージュとして極太リヤタイヤを装備することで車両全体のイメージは「BW200」に寄せていますが、カスタムバイクとしてのオリジナリティをシッカリ持たせていると、そういうことなんですね。
筆者はなかなかに良い出来だと思いましたが、皆さんは、どう感じましたか?