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電動モビリティの販売台数において4年間連続世界一を誇る電動モビリティ業界のトップランカー「YADEA(ヤディア)」と、はしごや脚立など足場関連製品を手掛け約70年の老舗メーカー「長谷川工業」の共同開発によって誕生した電動キックボード「KS5 PRO」。日本の公道を走行するために開発されたこのモデルは、2022年3月28日にクラウドファンディングのMakuake(マクアケ)で先行販売が行われ、目標金額を大きく上回る279%を達成したことでも話題を集めました。
同社は先日開催された「Sunday-E-Park」にも出展していたため、実際にKS5 PROを試乗させてもらいに行ってきました。
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MAKUAKEで先行販売された「KS5 PRO」
昨今、ニュースなどで何かとネガティブな取り上げられ方をすることの多い電動キックボードですが、YADEA「KS5 PRO」は日本の道路運送車両法の保安基準をクリアした公道走行が可能な電動キックボードです。原付一種の区分にカテゴライズされていますので、もちろん原付免許以上の運転免許証と、ヘルメットの装着が必要です。また、当然ながらナンバープレートの取り付け及び自賠責保険の加入も必要であるほか、軽自転車税(2,000円/年)の納税義務も生じます。
電動キックボードの事故で明るみになったことは、任意保険(ユーザー保険)はもとより自賠責保険にも加入していない、そもそもナンバープレートすら取得せずに乗っているといった衝撃的な事実でした。
長谷川工業ではしっかりと対策が設けられており、まず車両を届けるよりも先に、購入者のもとへ「スターターキット(手続きマニュアル)」を送付することで対応しています。この「スターターキット(手続きマニュアル)」とは、購入者自身でナンバープレートを取得する方法や、自賠責保険の手続き方法が書かれたマニュアルです。このマニュアル通りにナンバープレートを取得し、自賠責保険の加入を済ませ、それらを確認した後に納車されるという流れです。
これによって、しっかりと販売者責任を全うしながら、購入者の安全を最低限担保しながら違反リスクにも配慮されているわけです。
「KS5 PRO」のディテール
速度やバッテリー残量がひとめで確認できる埋め込み式の液晶ディスプレイを採用。電源ボタンやスピード切り替えボタンもここに集約されています。
最高速度が6km/hの「エコモード」、15km/hの「スタンダードモード」、35km/hの「スポーツモード」と3つのモードが用意されており、自由に切り替えることができます。
また、連続航続距離は60kmとスタミナがあり、15°までの登坂角度にも対応するパワフルさも兼ね備えています。
ハンドル右側には、親指で押し込むタイプのスロットル(サムスロットル)が設けられており、手首を捻るタイプのスロットルよりもシンプルで直感的に操縦することができます。
フロント側にはテレスコピック式のサスペンションフォークが採用されているので、段差などによる衝撃を吸収してくれます。また、空気の代わりにゴムが充填されたソリッドタイヤを装着しているので、パンクの心配も必要ありません。
YADEAのロゴがあしらわれたフットボードは広々としており、乗る人のスタンスに合わせて自由なポジションが選べます。
前輪はドラムブレーキ、後輪にはディスクブレーキ+電子ブレーキを搭載しており、安心のストッピングパワーを確保。
さらに、自動車などで用いられている回生ブレーキ(運動エネルギーを回収して再生する機能)により、環境に優しい省エネルギーモデルの電動キックボードに仕上がっています。
コンパクトに折りたためる
KS5 PROを折りたたむ際は、ハンドルのロックを解除し、レバーを引いて折りたたみ用フックに引っ掛けるだけ。わずか3ステップ(約5秒)で折りたたむことができます。また、重量は23kgなので比較的容易に持ち上げることができ、コンパクトなのでクルマに積むこともできます。
専用アプリでさまざまな設定が可能
電動モビリティならではの機能としては、Bluetoothを介してスマートフォンアプリとKS5 PROを連携させることで、車両の状態を常に確認することができます。それ以外にも、電子ロックの施錠/解錠がリモートで操作できたり、クルージングコントロールの切り替えなども設定可能です。
「KS5 PRO」に乗ってみた感想
KS5 PROは安全上の観点から、サムスロットルを押しただけでは発進しません。まず軽く足で地面を蹴り、少しスピードが出たらサムスロットルを押すことで進み出します。500Wのパワフルなモーターを搭載しているので、スムーズな加速はもちろん、数秒でトップスピードに到達します。
また、高強度アルミフレームが採用されているので、30km/hの速度や段差等でもブレることなく安定しており、フロントサスペンションが衝撃を適度に吸収してくれるので、物理的な安定感と心理的な安心感によって、しばらく乗っていても全く疲れませんでした。
ウィンカーやホーン、モード切り替えのボタン操作も簡単に操作することができ、肝心の静動力も充分な効き具合でした(フロントがドラムでリアがディスク、前転を防止することを目的としたパーツチョイスということでしょう)。何より、日本の保安基準に適合しているという点は、電動キックボードの購入を検討していたユーザーにとって最大の好材料なのではないでしょうか。
「KS5 PRO」のスペック
モーター | 定格出力 500W |
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バッテリー | 36V 15.6AH |
最大航続距離 | 約60km |
最高速度 | 35km/h |
登坂能力 | 15度 |
展開サイズ(mm) | 1,225×485×1,250 |
収納サイズ(mm) | 1,225×485×570 |
重量 | 23.0kg |
最大荷重 | 110kg |
充電時間 | 7.5時間 |
走行モード | 3モード設定可能(6 km/h、15 km/h、35 km/h) |
タイヤ |
10インチソリッドタイヤ |
価格(税込) | 18万2,600円 |