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昨今Youtubeなどの動画サイトで、ライダーを中心にバイクのレストア動画が人気を集めていますが、なかにはバイクのエンジンを一から製作する猛者もいるほど。
今回ご紹介するチェコ共和国のマレク・フォルティス氏もまた、好きが高じて驚くべき高度なカスタムバイクを生み出した凄腕プライベートビルダーです。
それではマレク氏が作り上げた2stエンジン10基合体の「Bistella 500」をご覧ください!
ベース車両は1958年モデルの「JAWA18」
「Bistella 500」に使用されたベース車両は、1958年式のJAWA製350ccモデル「JAWA18」です。
JAWA(ヤワ)とは、連邦解体前のチェコスロバキアで創立されたバイクメーカーで、1929年に倒産したドイツのヴァンダラー社からバイクの権利を買い取り、社名のヤナチェック・ヴァンドラー(Janacek・Wanderer)を短縮してJAWAと名付けられました。
「Bistella 500」のラフスケッチ
ビルダーのマレク・フォルティス氏によるラフスケッチがこちらです。
一見するとごく普通のバイクに思えますが、エンジン部をよく見ると衝撃的な構造になっていますね。
Bistella 500のプロジェクトがスタート
こちらが「Bistella 500」プロジェクトの最重要ポイントとなるエンジンの完成予想図です。
シリンダーは航空機で用いられる星型エンジン機構を採用し放射状に配列したもの。このレイアウトに到達するまで、8、10、12気筒と、さまざまな案が出されましたが、フレームをカットせず収めるために2列の10気筒のレイアウトで決定しました。
完全にいちから造形されたシリンダーに取り付けられた2stエンジンは1基あたり50ccなので、10基結合させて500ccという計算になります。
エンジンケースやクランクシャフトをはじめとするほとんどのパーツは、マレク・フォルティス氏による完全ワンオフ製作によるものです。
当然ですが、2st50ccエンジンを10基合体させるためのテンプレートはこの世に存在しないため、複雑な計算式をはじめ、トライアンドエラーを繰り返したとのこと。
トランスミッションは古いJAWAのパーツから流用し、信頼性のある純正パーツを用いて可能な限りベターなセットアップで製作されました。また、ピストンと燃焼室は過度な加熱を防止するためにセラミックコーティングが施されています。
完成当初はキャブレターも別々で取り付けられていましたが、調整の大変さや燃料漏れが多発したため、インテークマニホールドを作成して1つにまとめることで問題を解消させました。
エンジンが組み上がってから今までに5回のトラブルと何度かの火災に見舞われましたが、不屈の精神で取り組むマレク・フォルティス氏の努力によって、ついに不可能を可能にしました。
残念ながら欧州の規制によって出力を落とさねばならず、キャブレターを一回り小さいモデルへ変更することで解決しましたが、本来であれば最高出力120hp/10,000rpm、最高速度は約220km/hという驚愕のハイスペックでした。
内燃機関も仕上がり、いよいよ最終工程のペイント作業です。もちろん塗装も全てマレク・フォルティス氏が手掛けました。
純正の外装カラーリングもビンテージ感が漂っていて素敵でしたが、果たしてどのように生まれ変わったのでしょうか。
ついに「Bistella 500」が完成!
2年半もの歳月を費やして完成した姿がこちらです。もはやプライベートビルダーが製作したとは思えないほど非常に高い完成度ですね。いや、むしろ世界的に見てもかなりハイレベルな技術と知識であることは一目瞭然でしょう。
なにより、目標に向かって決して諦めないマレク・フォルティス氏の不屈の精神だからこそ成し遂げることができた渾身の力作ではないでしょうか。願わくば、是非とも実車を拝見したいものです。
ベース車両 | ジャワ18(1953年) |
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排気量 | 10×50cc = 500cc |
最高出力 | 60hp /6,500rpm |
変速機 | 4スピード |
車両重量 | 155kg |
最高速度 | 110km/h |