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それなりにバイク歴が長い人であれば、サムネイルと「スズキGT380」の組み合わせに違和感を抱いたに違いないでしょう。
それもそのはず。なんせGT380といったらスズキが1972年にリリースした、レトロな見た目の2スト3気筒4本マフラーのアイツだからです。
今回はそんなノスタルジックなストリートバイクを、ゴリゴリのハイテク仕様に魔改造したカスタムをご紹介いたします。
Suzuki GT380カスタム
フロントからリアまで滑らかにつながったボディライン、武骨で凶暴さまで感じる3連マフラー、ところどころ覗くゴールド×ブラックのツートンカラー……
GT380ってなんやねん!とつっこみたい衝動をはるかに超える、ロマンというものがあるとは思いませんか?
足回りはゴツくリワークされ、唯一原形を保っているであろうエンジンもオリジナルデザインのフェアリングとエンジンカバーで覆われています。まさに原型クラッシャー。
オリジナルデザインと特注部品
このカスタムバイクを作り上げたのは、ニューヨークに拠点を構える「Motoworks」です。
ビルダーのセアン氏は主要部品の必要スペースと折り合いをつけながら、コロラド州の工業デザイナーであるジェレミー・レイシー氏とデザインスケッチを作成。それをもとにCADでフレームワークやフェアリングの本設計をしました。
メインタンクから伸びるようにオリジナルのメインフレームとサブフレームを設置。フェアリングはグラスファイバー製、シートはNew Church Motoというカスタムバイクシートを手掛けるショップに製作を依頼しています。
エンジニア達によるガチの設計
CADを使用することで個人カスタムにありがちな行き当たりばったりの手直しを避け、作業時間を大幅に削減したこちらのカスタムバイク。フェアリングやフレームワークなどの見た目にばかり目が行きがちですが、実は中身もすごいんです。
MOTAという2ストエンジン用のシミュレーションプログラムを用いて、ゴリゴリにモダナイズされたGT380のエンジンをテストし、パフォーマンスをばっちり調整。
機械設計用のCADソフトであるSolidWorksを用いて部品間のクリアランスを確認し、がっつり長距離走行しても問題が無いようにチェックしています。
フォークはGSX600から移植。セパハンにはBremboのマスターシリンダとグリップ先端型LEDシグナルが付けられています。
モノアイっぽいHIDヘッドライトをフェアリングに埋め込むようにエンクロージャーが覆いかぶさっています。愛嬌があっていいですね。
乗り心地は「超軽いCBR600」!? まさに最高の仕上がり
後出しになってしまいましたが、 今回のカスタムのコンセプトは「パフォーマンス・スポーツ」だったそうで、完成品の乗り心地は抜群だったとセアン氏は語ります。
曰く、めちゃめちゃ軽いCBR600に、瞬発力のあるブレーキングとシームレスな加速感を加えた感じだそうです。コーナリングでの食いつきもよく、バイクとしては非常に満足な仕上がりになっているそうです。
以上、職人によって内外ともに魔改造されたGT380のご紹介でした。近年まれにみる最高水準のカスタムでしたね。Motoworksによる作品はまだまだ少ないですが、これからの活躍にも注目したいです。