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クルマでは、省燃費と高出力化を狙ったダウンサイジングターボ・エンジンが増えて来ていますね!
ところが残念ながら、バイクにはそのようなエンジンがありません。
Impulse Drum Charger
そんな現代のモーターサイクル・エンジンに革命を起こす可能性を秘めた新商品が発表されましたので、ご紹介しましょう!
コチラがそれです。イタリアはローマのAlterEgo-Hardware社が開発しているボルトオンターボ・キット「Impulse Drum Charger」。ミラノショー2016で発表されました。
商品単体ではわかり難いですが、下記のように排気系に装着し、エンジンからの排気の脈動を利用するターボキットなのです!
「この円盤がターボ?」と思うのは当たり前。本製品には、一般的なターボにあるはずのタービン・コンプレッサーが存在しません。
裏面から見るとこんな感じ。右端のパイプがエキパイから繋がるターボへの吸入口で、手前が吸気側(ターボにとっては排気側)。ココから圧縮吸気をエアクリーナー・ボックスに送り出します。
横から見ると、こんな感じ。その内部構造は、次のような膜構造になっています。
オレンジ色の部分が肝心の膜。カーボンファイバー製の伸縮素材です。
緑色で表されているシェルの右側から排気ガスが入ってくると、膜が押されて圧縮空気を生み出します。エメラルドグリーンで表されているプレートには、グリーンとグレーのパーツがあり、これがリードバルブ的に作動して、新気の吸入と圧縮空気の一方通行を可能にしています。
Impulse Drum Charger 作動の仕組みと効果
動画で見ると一目瞭然ですね!
メーカー公表の実験結果では、全域に渡って15~25%の高出力化を果たせるそうです。簡易な後付けターボでこれだけ向上すれば文句なしでしょう!
Impulse Drum Charger の搭載例
「Impulse Drum Charger」の搭載例として、製造元では冒頭に掲載したKTM「RC390」のほか、スズキ「SV650」と、
ドゥカティ「スクランブラー」を公開しています。この3車両、どれも単気筒または2気筒エンジン搭載車であることに、気づきましたか?
本製品は圧縮空気を生み出すのに排気の脈動を利用するため、性能を発揮するには気筒ごとに装備が必要となります……つまり、4気筒エンジンには4つの本製品を装着せねばならず、現実的ではないのです。
実に夢のあるターボキット
シンプルな構造なので安価に提供できるターボキット「Impulse Drum Charger」。製造元では、アフターマーケット・パーツとしての供給ばかりでなく、車両メーカーへの純正採用を目指しているのだそうです。
まだまだ開発段階であり、商品化までの道程は遠いとは思いますが、もし実現すれば、自動車用エンジンのように、ダウンサイジングターボ・エンジンがバイクに搭載されるワケです。
バイクエンジンに革命を起こす可能性を秘めた「Impulse Drum Charger」、今後の進展を注視しておきたい新パーツです。