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今回は陸上自衛隊の偵察用オートバイをご紹介しましょう。一人の趣味人(=こんちゃねさん)が、自衛隊の払下げ車両をベースにしてオリジナルに極めて近い状態に仕上げた一台です。それでは製作工程をじっくりご覧いただきましょう。
ベースはカワサキ「KLX250」
引き取った時の状態。自衛隊が使用する偵察用オートバイのベースはカワサキ「KLX250」。その払下げ品をネットオークションを通じて購入しました。
車体番号が打刻されているフレームのヘッド部分は、払下げ車両では必ず溶断されているそうです。再度登録できないようにする処理です。
そこでこんちゃねさんは書類付の市販用KLX250フレームを入手。各部を移植することで、オリジナル度の高い車両に仕上げることにしました。
フレームは主に2ヶ所が市販品と異なる
フレームは主に2ヶ所が民生品と異なります。偵察用オートバイ独自パーツを搭載するためのステーと、補強パーツが装着されているのです。この2点はベース車両から市販フレームへと移植しました。
極力オリジナル車両のパーツを使用
完成したフレームはオリーブドラブに自家塗装。塗装業者に出してピカピカにせず、あえて使用感を出しているところに好感が持てます。エンジンはそのまま戻し、フロントフォークはオイル漏れを修理しました。
細部へのコダワリが最終的な完成度を左右するのは、一般的なカスタムも偵察用オートバイも同じ。極力、オリジナル車両に装着されていたパーツを使うのがマニアの性というもの。そのコダワリが作業をより困難にしたとしても、マニアたるもの、その労力は厭わないのです。
例えば、偵察用オートバイの肝となるフロントガードと灯火管制用ライトも、このような状態。それでもオリジナルを修理して搭載しました。
プラスチック製のツールボックスとナックルガードはデットストック品を投入。ナックルガードは白に塗装されているのではなく、オリーブドラブで成型されているそうです(自衛隊車両でも白にペイントした物を装着している場合もあるとのこと)。
見事にリビルドされた灯火管制スイッチ。数字の書かれた金属製プレートと金属製スイッチレバーのみ別のスイッチから移植しています。
オリジナル度85%の完成車
そうして完成したのがコチラ。筆者のような一般人から見れば偵察用オートバイその物ですが、こんちゃねさん曰く、オリジナリティ85%だそうです。マニア恐るべし…。
ナックルガード、エンジンガード、ヘッドライトガードなど、どれも苦心の作ばかりです。お見事!
あの灯火管制ライトもご覧のとおり。割れていたガラスの代わりにアクリル板で補修しました。
これがリアビュー。市販のKLX250をベースにしたとは思えない完成度の高さに脱帽です。
いかがでしたか? 筆者は自衛隊車両に特別な愛着はありませんが、同じバイク好き・乗り物好きとして、徹底的にオリジナルにこだわる姿勢に共感を覚えました。今回の記事で快く転載をお許しくださったマニア、こんちゃねさんさんのブログに、ベース車両に偶然含まれていた「専用工具、タイヤチェーン、空気入れ」に狂喜乱舞しつつ、こう記されていました。
払下げに興味のない人から見れば、「こんなゴミを有難いと思うなんて…変態ですか?」と言われてしまいそうですが、こんなゴミでも私達にとっては宝物なんです! 家族にはそこのところをマジで理解してもらいたいものである。
この苦悩…乗り物好きならおわかりいただけると思います。今後、こんちゃねさんの趣味が家族に理解を得られることを祈りつつ、筆を置きたいと思います。