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ホンダ「ベンリィ」といえば、現在ではビジネススクーターのモデル名として有名ですが、それ以前は小排気量車(150cc以下)のシリーズ名として親しまれていました。車両名としてはCやCB、CL、CD、SLなど数多くの歴代小排気量モデルが半世紀以上にわたってベンリイ(ベンリィ)のペットネームで発売されていたため、ベンリィと聞いて各年代のライダーが想起するモデルがバラバラになってしまうほどでした。
それでは、ベンリイというペットネームが付与された「CA95(C95)」という154ccツインモデルはご存知ですか?(おそらく30代前半の方は知らない方が多いはず。)一部のフリークやベテランライダーであれば、懐かしさが感じられる銘バイクと言えましょう。
今回は、カリフォルニアのZEROモーターサイクルでシニアデザイナーとしても活躍する、MOTO MUCCI代表のデビッド・ムッチ氏が制作した、極上のホンダ「CA95ベンリイ」カスタムをご紹介します!
懐かしの銘車 ホンダ「CA95(C95)」がベース
ベースになったCA95は1959年〜1965年にかけて製造されたバイクで、1958年に登場したC90のエンジン内径を5mm拡大することで、排気量が154ccまで拡大されたものになります。また、日本での表記はC95ですが海外ではCA95と表記されており、CA72及びCA77ドリームとスタイルが類似していたことから、海外では「ベビードリーム」とも呼ばれています。
世界中のコレクターから人気を集めているクラシックバイクであり、現存する台数も少ないことから現在では高値で取引されています。
純正のクラシカルなスタイリングを残しつつ美しくまとめ上げられたこちらのカスタムマシン「DreamONE50」は、レストアをベースとしつつカスタムパーツをワンオフして再構築されています。カスタムパーツと純正パーツが絶妙にマッチしたデザインは、当時の新車ラインアップに並んでいたのではないかと思ってしまうほどの仕上がり。
完成までに約1年ほどかかったというDreamONE50の見所は様々ありますが、まずは落ち着いたグレー塗装で統一された気品溢れる外装に目を奪われることでしょう。デビッド・ムッチ氏はカラーリングに強いこだわりがあり、所々にアクセントカラーとしてレッドが散りばめられています。
DreamONE50のディテール
タンクニーパッドはシートやグリップと同一のキャメルブラウンのレザーを採用。真鍮製のホンダロゴと相まってクラシカルなデザインに仕上がっています。
NGKスパークプラグやキャブレターの各パーツには赤色のアクセントカラーが落とし込まれています。
純正エアクリーナーボックスはK&N製のフィルターに換装され、空いたスペースを有効活用するために電装系を移設するとともにバッテリーは12Vへと変更されています。また、両サイドにはオリジナルのサイドバックが装着され、中には様々な電子機器の充電が可能となるUSBケーブルが収納されています。
フレームやリアフェンダーのラインにあわせて制作された滑らかな曲線が美しいワンオフシートの上には、ユーザビリティの高い脱着可能なキャリアが設けられています。
また、ウィンカー兼テールランプの役割を果たすPrismMotoCo.製LEDランプを左右対称に装着。シンプルなデザインが車両の雰囲気とマッチしていますね。
一流デザイナーならではの洗練されたバイク
エンジンはフルオーバーホールされ、前後サスペンションはハイパフォーマンスなモノにアップグレードされるなど、外装だけではなく内燃機や乗り心地に至るまで徹底的にデザインされています。
約60年前のモデルがベースとは思えないほど綺麗にカスタム&リビルトされたカスタムマシンは、時を忘れるほど見惚れてしまいますね。
なお、DreamONE50は完成後に海外のカスタムショーに出展しており特別賞も獲得していますが、誰もが納得の結果と言えましょう。