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カスタムバイクにもコーヒーやワインと同じく「産地」というものがあり、作られる地域によってデザインの傾向が大きく異なり、おおまかに分類するとヨーロッパ系、アメリカ系、アジア系の3つに分けられます。今回注目するのはアジア、しかも普段あまり耳にしないインドのカスタムビルダーが手掛けた作品をご紹介いたします。
KTM 390 DUKE by Rajputana Custom
こちらはインド・ジャイプールに拠点を置くカスタムビルダー、Rajputana Custom Motorcycles(以下RCM)が今年完成させた2015年型KTM DUKE 390のカスタムバイク。近年インド国内でのKTMバイク流通量が逓増しているのもあり、タイムリーなカスタムとも言えます。
RCMはアジア系カスタムビルダーのなかでも有名どころで、かつてハーレーダビッドソンが「ストリート」を発売した際に、RMCに公認ストリートカスタムバイクを作ってほしいとお声がかかるほどの実力を持っています。
ドナー車両とビフォーアフター比較してみるとこんな感じ。パッと見、ヤマハベースのカスタムかな?と思ってしまうくらい、もとのKTM特有の雰囲気をいい意味で払拭されています。
目指したのは「KTMらしさ」の排除
このKTMらしくなさはパーツ選びや魔改造によって意図的に演出されたもの。例えばKTMが一切使用しない小口径かつスポークホイールを採用(トライアンフ・ボンネビルから拝借)し、さらにむっちりとしたスリックタイヤを履かせることで、足回りに異質感をまとわせています。
リアのサブフレームはオリジナルでデザインし、KTMならではのエッフェル塔のような格子ではなく有機的なデザインに一新。テール周りもスッキリさせ、より前傾姿勢にすることでカフェレーサーというコンセプトを前面に押し出しています。
オリジナルのビキニカウルはアシンメトリー・デザインになっており、片側にメッシュのアクセントが施されています。特に機能面でのアドオンはありませんが、正面からの見た目にいかつさを追加してくれていますね。
タンクもビキニカウルと同じくオリジナルで作成したもので、2007年型のヤマハ・YZF-R1からインスピレーションを受けています。サイドに貼られたタンクパッドからは実用性と職人の腕前が感じられます。
まさか、と思った方もいらっしゃると思いますがタンクの横についたコイツはヘッドライトです。「ヘッド」ではなくなりましたがちゃんと機能します。
アクリル板を複数枚切り出してLEDライトと組み合わせるとことで、近未来的なテールライトを実現しています。これめちゃくちゃかっこいいですよね、今後市販車もこういうデザインにならないかなあ……。
ありきたりな黒からの卒業
そういえばカフェレーサーって大体真っ黒になりがちなんですが、RCMは今回あえてそのありきたりな黒づくめを避けています。きめ細やかなパーティクルが輝くしっとりとした金属色で統一され、ライティングによってまるでその柔らかな曲線が際立つようになっています。
また、よくよく見るとアクセントとしてゴールドが随所にちりばめられています。このマフラー先端部分だけでなく、エンジンのデカールやスポーク、フォークやナットなどもさりげなくゴージャスです。
まとめ
正面から見たこのカスタムバイクを「KTMデュークだ!」と言い当てられる人間はおそらくいないでしょう。見事KTMらしさを払拭し、コンパクトでクールな小排気量カフェレーサーを完成させたRCMに、惜しみない拍手を送りたいです。
Rajputana Custom Motorcycles
17, Civil Lines Rd, Shivaji Nagar, Suraj Nagar, Civil Lines, Jaipur, Rajasthan 302006 インド