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家具デザイナーでありカスタムバイクビルダーとして金属や木材の加工を得意とするフランス人アーティストGeorge Woodman(ジョージ・ウッドマン)氏が、ベルギーの銃器メーカーとして当時はバイクメーカーでもあったFN(Fabrique Nationale de Herstal)から発売されていた世にも珍しいバイクをベースに、ビンテージカフェレーサースタイルへとモディファイしました。
ベルギーの銘バイクとフランス人のセンスが融合した、ハイセンスなカスタムバイクをご覧ください。
オートバイメーカーとしても活躍していたFN
FN(fabrique nationale de herstal)は1989年にベルギーで設立された銃器メーカーです。モデルガンなど銃器が好きな方であればご存知の方も多いのではないでしょうか。(今となってはもっぱらバイクよりも銃の方が有名ですね。)
そんなFNが、1901年から1967年にかけてバイクを製造していたことはご存知でしょうか?初めは133ccの小さなエンジンでしたが、後に世界初となる4気筒バイクの製造をし、当時行われていた数々のオートバイレースに出場してはその名を轟かせていたほど。
最も名をあげた出来事といえば、北アフリカにある4,000マイル(6,400kmほど)の砂漠を横断したことで一躍有名になり、「サハラ」の愛称で親しまれました。
そして今回紹介するカスタムバイクのベース車両は、1927年に製造された500ccモデルの「M70」の排気量を350ccにボアダウンさせた「M70B」を用いたものになります。戦間期に最も生産されたバイクとしても有名ですね。
それでは、ジョージ・ウッドマンが製作した、洗練された美しいカスタムバイクを見ていきましょう。
Smoking Black Fish
愛好家であれば原型のまま美しく保管したいと考えるほどに希少価値の高いモデルですが、ジョージ・ウッドマンは東フランスで売りに出されている「M70B」を一目見たときにリビルトすることを決意。
自身が得意とする木工と金属加工技術を活かし、唯一無二のカスタムバイクを製作することになりました。
やる気を感じさせる、低く垂れ下がったハンドルバーは、ビンテージ感を演出するために加工が施され、レザーグリップが巻かれています。
ハンドシェイプによる木製シートカウルの滑らかな造形美は流石の一言に尽きます。
LEDヘッドライトが埋め込まれたフロントカウルや、チェーンガード兼ベロシティスタック用(ファンネル)プロテクタープレートなども木製となっており、温かみのある流線形を描いています。また、配線は新たに引き直され、LEDなどの保安部品に対応すべく、リチウムイオンバッテリーが搭載されています。
最新技術を取り入れつつ、あくまでもビンテージルックを崩さぬカスタムに、ビルダーのセンスが感じられますね!
ビルダー曰く、こちらのシートユニットが見所で、アルミ素材をベースに挟み込む様に木材が用いられ、タックロール調のレザーシートが綺麗にセットされています。このあたりの技法は、家具職人でもある同氏の技量によるもの。この形状の椅子が欲しいくらいです!
また、シートカウル側面に配置されたスプリングは純正シートスプリングを再利用したもの。
圧倒的機械美を放つエンジンの造形もさることながら、黒く塗装しエイジング処理が施された純正のフィッシュテールマフラーにもご注目ください。そう、スモーキングブラックフィッシュと名付けられた理由は、こちらの愛嬌のあるマフラーからきたものです。ユーモラスな顔つきがなんとも愛らしい。
なにより、ここまで手を加えていながらも、シャシーへの変更は最小限にとどめており、フレームタブのマウント位置などはすべて純正のままなのでいつでも元通りにすることが可能というのだから驚きです。これなら愛好家も納得ですね!
もはや芸術作品といっても過言ではないほど綺麗にまとめ上げ、極限までブラッシュアップされた珠玉のカフェレーサーカスタムでしたね。興味のある方は、ぜひ下記の動画もご覧ください。