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オフロードで主流とはいえ、オンロードモデルではめっきりみなくなったスポークホイール。高精度なものが安価に作られるようになったこともあり、鋳造や鍛造ホイールが一般的ですし、いまや雰囲気重視のクラシカルなヘリテージモデルと、乗り心地重視のクルーザーモデルくらいでしか採用されなくなってきました。
スポークホイールならではの悩み
それ故、クラシックな趣が魅力のスポークホイールですが、キレイに保つにはその入り組んだ構造からすると非常に面倒くさい!
しかも、いったんサボってサビが浮いてくると、その先ちょっとやそっとがんばっても完全回復できなかったりと維持が難しい面があります。
最近では効果的な錆落としやコーティングのケミカルも増えてはいるのですが、根本的には毎週レベルで一本一本油磨きをするか、割り切って塗装してしまうか、新品交換してしまうかといったところに行きついてしまいます。
新品交換はやはり工賃がネック
スポークを新品交換する場合、スポークそのものは比較的安いのですが、問題となってくるのが工賃です。
単純にスポークの交換作業だけではなく、交換後の調整(振れとり)、車体からのタイヤホイールの脱着、ホイールからのタイヤの脱着といった時間や手間のかかる付随作業が多数発生してしまうのです。
ホイール一本あたり、安いところで5,000円強から、高いところでは2万円でも珍しくはありません。パーツ代とあわせると前後で5万円に達する場合もあり、ちょっとしたサビの処理方法としては手を出しにくくガマンしている方も多いことでしょう。
一番効果的(あたりまえ)ではあるんですけどね。
DIYでもなんとかなるのか?
ならばと真っ先に思いつくのが、DIYです。車体からのホイールの脱着と、ホイールからタイヤを脱着できることが前提になりますが、チャレンジしてみる価値は十分あります。
まずは万一の場合の保険を確保
もし手をつけてみたはいいものの太刀打ちできなかった場合の保険に、尻を拭いてくれそうな人や店に当たりをつけておきましょう(笑)。スポークホイールに関しては、バイク屋に持ち込むよりも自転車屋のほうが安くて早い仕事をしてくれるという話も聞きます。
ただ、手戻り作業の多くなる素人仕事の後始末を嫌がるプロ職人がいるのも事実ですので、一定の注意や気遣いは必要です。
筆者の場合、取り合えず組みあがったらチェックしてもらう……ということで頼んでいましたが、思いのほかすんなり納得のいくところまで精度を追い込むことができたため省略しました。
バラす前に必ずすべきこと
スポークホイールを分解する前に、しつこいくらいに現状の写真を様々な向きと角度から撮っておきましょう。
至極複雑に絡み合っているように見えるスポークも、左右2本ずつ×2の4本一組が規則正しく組み合わさっているだけなので、どう締めれば(緩めれば)リムが上下左右どちらに寄るかという理解の助けになりますし、組み立て時に行き詰った際の明確な道しるべとなります。
組み立てに関しては、最終的に組めるようにしか組めないのであまり心配することはないかもしれません。
最大の難関「振れとり」
スポーク交換を自分でやってみようという場合に、壁として立ちはだかるのが振れとり作業です。最近の自転車ブームもあってか、Webで調べると様々な「こだわり」が目についてしまうだけに、難しく考えがちです。
しかし、前出のスポークのそれぞれの向きとテンションがどう働くかを理解したうえで、サービスマニュアル記載の許容範囲に収める程度であれば、フォーク / スイングアームを振れ取り台として使い、新しく用意するのは使いやすいニップルレンチ程度で十分です。
何を成すべきかが明確であれば、自分の納得いくところまで自由に時間をかけられる……ことこそがDIYの醍醐味でもありますし。
ミュージシャンとしての側面もある筆者はいちおう絶対音感があるのですが、スポークを叩いて張り具合をチェックしていく上で、時間短縮に大いに役立ったような気はします。
ただ、今回筆者が使ったスポークもリムも日本製のものだったためか、ほぼ組んだだけでわりとすんなり精度を追い込んでいくことができましたが、海外の品質のバラつきの大きいものはそううまくいかないことも多いです。あちらを立てるとあちらが立たずといった堂々巡りで「きぃぃぃぃぃ」といった状況におちいることもあります。
まとめ:DIYでもどうにかなった
とはいえ、ここで詳細な指南ができるほどのボリュームも割けませんし、誰彼かまわず薦められる作業ではないのも事実です。
「お金」は大きな理由ではありますが、こうやって本業以外の謎スキルが増えていくのがうれしくて楽しくて……といった方はぜひチャレンジしてみてください。