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二輪・四輪ともに各メーカーを象徴するデザインや構造などがあります。例えばイタリアのバイクメーカーであるビモータが1990年に発売を開始したテージシリーズは、フロントサスペンションにスイングアーム式を採用した最初の市販車として知られる一台です。
そのテージシリーズと同じフロントスイングアーム式を採用したバイクがかつてヤマハにありました。それが1993−1999年まで製造されたGTS1000。今回ご紹介するカスタムバイクのベースでもあります。
手掛けたのはイタリアのアンコラにあるFMW Motorcycles。ダンパーやスイングアームに YZF-R6やVFRなどのパーツが採用されていたりと、他バイクの流用が取り入れられた1台となっています。
レッドとブラックの攻めたカラーリング
レッドとブラックの2色をメインのボディカラーに採用しています。ブラックの外装部品縁あたりにはホワイトとレッドのラインを加えてクールなイメージと少し明るいイメージを折衷させているところがポイントです。イタリア国旗のマークがカウルに載せられていることも重なって、イタリアンバイクのような雰囲気も感じさせられます。
こちらが元のヤマハGTS1000。ベース車を見れば見るほど、どこをどうしたらあんなにカッコよくなるのかわからなくなりますね。カラーリングの変更やカウルの取り外し、ホイール変更くらいはわかりますが、それだけとは思えません。
当時も注目を集めたサスペンション機構
見ての通り、フロントフォークはどこにも見当たりません。代わりにあるのが、リアサスペンションで見られるようなスイングアームとモノサス。フロント周りの機構のメカメカしさがたまりません。前後に伸びるスイングアームのインパクトも絶大。左右対称なヴィジュアルが個性を際立たせています。
フロントには純正のスイングアームとヤマハ YZF-R6のリアサスを、そしてリアにはホンダ VFRのスイングアームとビューエル サイクロンM2のショーワ製リアサスをチョイス。いろいろなバイクのパーツを流用した、いわゆるサンコイチの足回りになっているのは面白いですね。
燃料タンクからキャブレターが見える
燃料タンクからシート後方にかけて流れるようなフォルムが作り出されています。燃料タンクを上から見ると軸の太さも感じさせられて、例えるなら筋肉モリモリのスーパーマンの上半身のようなゴツさです。
そして燃料タンクからは一昔前のバイクに見られた燃料噴射装置、キャブレターを目にすることができます。タンク右側部分に設けられたU字スペースから覗くラッパのようなファンネルは衝撃的。この他にも、燃料タンク左側下方にもあります。
本来GTS1000ではキャブレターではなく電子制御式の燃料噴射装置、EFIが使われています。わざわざ安定感を捨ててまで、キャブレター独特の勇ましいサウンドやスロットルレスポンスの良さを選んだビルダーの好みが窺えるようです。
過去と未来のマリアージュ
あえてキャブレターのような過去の技術を採用し、ビモータの新型テージと言われても違和感のない未来派デザインでパッケージしたビルダーのこだわりには、ロマンを感じずにはいられません。まさに過去と未来のマリアージュ(フランス語だけど雰囲気でご容赦!)。一度でいいからこんなバイクに乗ってみたいですね。