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もうすっかり定着している「GORE TEX®(ゴアテックス)」という名称。しかし、「GORE TEX®(ゴアテックス)」について、あまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか?
「要は防水で空気は通すんでしょ」と思っている方は、だいぶ誤認しています。今からでも遅くないので、正しい知識を持ってゴアテックス製品を選びましょう。
「GORE TEX®(ゴアテックス)」とは画期的な素材だった
「GORE TEX®(ゴアテックス)」とは、防水透湿性素材のパイオニア的存在です。
ゴアテックスの登場以前は登山用のレインウエアは、これといったアイテムがなく、ゴム素材などの完全防水だが透湿性はゼロという素材のレインウェアを使うか、ポンチョなど、通気性を確保した形態のものを組み合わせて使う以外にありませんでした。
「完全防水のもの=透湿性ゼロ」のウェアは蒸れてしまい、軽微な動きでも内側がべったり濡れてしまうほどでした。なのでゴアテックスの登場以前は、身体を濡れから守る、または濡れても身体を冷えから守る化学繊維のアンダーウエアがなく、夏山でも雨をしのげる場所がない場合は極めて危険な状況に陥っていました。
このことから、「GORE TEX®(ゴアテックス)」は登山に関わる多くの人の命を救った発明といっても過言ではありません。
「GORE TEX®(ゴアテックス)」について基礎から学ぶ!
防水透湿性という言葉について、誤解している方々も多いと思うので、ここであらためてご説明いたします。
まず、「GORE TEX®(ゴアテックス)」は、「水は通さないが水蒸気は通す」素材で、よく誤解されているのが「雨は通さないが汗は通す」や、「水は通さないが空気は通す」です。汗は液体なので当然通しません。また「空気を通す」というのも、「通気性」という意味なら間違っています。
登山用のアンダーウェアには、汗を吸い取って拡散し、ウエア表面に水蒸気として放出する機能を持っているので、ここで「GORE TEX®(ゴアテックス)」の機能が最大限に発揮されるのです。もうお分りでしょうが、アンダーウェアとして着るものをきちんと選択してこその「GORE TEX®(ゴアテックス)」なのです。
「GORE TEX®(ゴアテックス)」ってナイロン生地のこと?
実は「GORE TEX®(ゴアテックス)」とは「水分子より小さく水蒸気分子より大きな穴が無数に開いた膜」のことなのです。
「GORE TEX®(ゴアテックス)」のロゴが表記されたウェアをみて、ナイロンっぽい生地だと思っていた方、それは、ナイロンにラミネートのような形で貼りつけられている製品ということなのです。
また、通常ゴアテックス製品は、表裏に生地をラミネートした3層構造(3レイヤー)になっているものが最も一般的です。パッと見た感じで1枚ナイロンに見えても、実際は3層構造だったりします。
現在では、「GORE TEX®(ゴアテックス)」以外にも、様々なメーカーから似たような機能を持った素材が開発されています。
しかし、登山に関わる多くの人の命を救った発明であり、防水透湿性素材のパイオニア的存在であることは間違いありません。そんな世紀の大発明であるということに思いを馳せながら、あらためて「GORE TEX®(ゴアテックス)」と向き合ってみてはいかがでしょうか。