この記事の目次
磨き(鏡面仕上げ)とは、
- 作業効率を気にせず使える時間と、単調かつそこそこ力のいる作業を厭わない気力体力があって
- そういった地道な作業が苦にならない性格で
- (基本的に)根性さえあればメカ知識のない素人でもそれなりになんとかなる
- 同じピカピカでも、出来合いのクロームメッキの硬質な輝きとは違う、なんともいえない温もりのある輝き
と、効果的なモディファイをしながらも、コストは最低限を狙うこともできてサイコーのヒマつぶしができるDIY向き作業です!こだわりの磨き達人級になれれば、時間効率を考えざるを得ないプロの仕事を上回ることも決して不可能ではありません!
今回の記事では筆者が過去に手掛けたものを例としながら、簡単に手順等をご紹介します。
対象となるパーツ
クランクケースカバー・ヘッドカバー・スイングアーム・フォークアウター・フレーム・BCレバーといった、主に未塗装のアルミ面となります。塗装してあるものやアルマイト処理がされているものは、磨きの本作業前に塗装の剥離や被膜層の削り落としが必要です。
鉄やステンレス部品を鏡面まで磨くこともできますが、鉄の光らせたいような部分はもともとクロムメッキがかかっていたり、磨いた後の世話(サビ対策)が大変なことや、素材そのものが硬くて磨きにくいこともあって、あまりDIYでの加工例を聞いたことはありません。
筆者のSRV250は純正でバフ仕上げされた上からクリア塗装されているのですが、入手した時点で17年オチの経年劣化で、クリアが剥げたりヒビ割れたりしたところから白サビが発生して斑なミミズ模様になっていて、かなりみすぼらしい姿でした。
ペイントリムーバーは超強力な溶剤であるからして、好ましくない部分(シールやガスケット等その他ゴム・プラ部品)に付着したり垂れてしまわないよう、分解して金属パーツ単体にして行うのが鉄則です。
SRV250では、もともと純正でバフがけされてことと電動工具を使用したため、白サビが浮いた部分を均しただけで、いきなり青棒での仕上げ磨きが可能だったのですが、ザラザラの鋳肌から磨く場合の手順を以下に示します。
手順
ザラザラの鋳肌を処理するところからの場合を、ロードスターのインマニ&ヘッドカバーでお見せします。
私はディスクサンダー、ベルトサンダー、リューターといった各種の電動切削工具を使用していますが、時間をかければ完全手作業でも決して無理ではありません。
標準的な電動工具での作業例
- 鋳肌と余分なパーティングライン等の削り落とし
ディスクグラインダー、ベルトサンダー、リューター等で大まかに整形し、~600番までの耐水ペーパーで研磨
(手作業では金ヤスリ、糸ノコ等で、気の遠くなりそうな時間をかけて) - 前作業での切削・研磨傷を効率よく消していくように800~1000番の耐水ペーパーで順次研磨
(手作業では1500番くらいまで処理して、液体コンパウンドに移行) - ディスクグラインダー、リューター等に青棒+フェルトディスク / ホイールで仕上げ磨き
- 必要に応じてピカール等の液体コンパウンドで仕上げ
一番手間のかかる、広い面の鋳肌の削り落としにはコレが効果的です。
ただ、慣れない初心者が電動工具を使うと、意図せず深い切削傷をつけてしまったり、仕上げ磨きで過熱・変色させてしまっての手戻り作業も多くなってしまいがちですので、ある程度慣れてくるまで、パーツ形状や大きさによっては、完全手作業のほうが効率的なものもあったりします。
以下は敢えて手作業をした番手別の様子です。
ずいぶん昔の写真で画素が粗いのとピントが合いきっていないのはご勘弁を。
同様にペーパーで白サビ部をおおまかに均したあと、一気に機械仕上げをしたSRV250は下の画像のような状態になりました。
こだわりの磨き
冒頭で「根性さえあれば素人でも」と書きましたが、仕上がりにこだわるならばより知識と手間が必要なのは当然です。今までエラそうに書いてはいますが、私なんぞパーツ磨き界では戦闘力100にも満たない雑魚でしょう。
実際それほど志も高くはないですし、仕上がりを見ると当て木の使い方が悪くて面がうねってても大して気にしてもいませんし(笑)
世に並み居る磨きの大家たちの作業を見る限り、まるで真似をしようとする気にすらならない高レベルです。
たとえば方眼のプリントされた作業台(カッターマット等)に載せて、方眼の写り込みが歪まないようにチェックしながら研磨していくことによって、うねりや歪みのない本当に均質な鏡面を実現されていたりします。
このレベルになると、その道のプロが時間単価と折り合いをつけながらの請負仕事を上回る結果となることさえあります。そういった方々が揃って言ってることが「仕上がりは下地が8割」とか類似したことで、わかっちゃいるんですが実現できた試しがありません……
まとめ
正直な所、基本ものぐさで冒頭に書いた素養にはまったく当たらない筆者は鏡面にしたことを後悔しているところもあります。一度鏡面にしてしまうと、耐熱ワックス等をかけていても、定期的な磨きなおしは必須になるからです。
(筆者の場合で月1~2程度の油磨きと、年4程度のフル磨きなおし)
とはいえ、クリア塗装してしまうと、部分的に劣化しはじめると余計に見苦しく、補修にも手間がかかってしまいます。
割り切ってアルミ地ガビガビのまま乗ってしまうか、塗装してしまうか、磨きの修羅の道に突撃するかの分かれ道では、自分の性格とよくよく相談しましょう。
それでも、ピカールと紙やすり・ボロ布の何枚かだけの格安でも始められることでありながら。他人の同じバイクと差をつけるという点と、バイク愛をひけらかして素人から玄人までを唸らせるという点では、これほど効果的なカスタマイズは他にないことだけは確かです。