ドイツ伝説の美術学校100周年記念作品はバイク!? モチーフはかの有名な「パイプチェア」

世界中に様々なカスタムバイクが存在しますが、この「バウハウス100」ほど”アートな”モデルは存在しないのではないでしょうか。1920年代にドイツにあった有名な芸術学校「バウハウス」の創立100周年記念に作られたこのバイクは、パイプ椅子をモチーフに作られたものですが、その椅子がまた只者ではないんです。

 

なにせ世界的な名作と呼ばれている「ワシリーラウンジチェア」という、スチール製のパイプ椅子をバイクで再現しちゃったんですから。

そんな突拍子もない発想でデザインされ、それを忠実に具現化した超個性的な1台を紹介しましょう。

 

有名建築家ブロイヤーの作品がモチーフ

このバイクは、BMWの2輪部門BMWモトラッドが、2019年にバウハウスの創立100周年を記念し、ドイツの有名カスタムショップ「Krautmotors(クラウトモーターズ)」に依頼して製作されたもの。つまり、メーカー公認のカスタムバイクなのです。

 

バウハウスは、第一次世界大戦が終戦した直後の1919年に、当時ドイツの共和制国家だったワイマール共和国の統治下で設立された建築系の美術学校になります。

1933年に、ナチスが台頭しヒトラー政権ができるまでのたった14年間しか存在しなかった今や伝説の学校です。その歴史は短いものの、功績はとても大きく、世界中の建築や製品などに大きな影響を与えるモダンデザインの基礎を築いたことで知られています。

また、多くの有名な建築家や家具デザイナーを排出したことでも有名で、このバイクのモチーフとなったパイプ椅子は、バウハウス出身の建築家・家具デザイナーであるマルセル・ブロイヤーが残した作品を再現したものです。

 

そのブロイヤーが、1925年にバウハウス内の家具工房で製作したのが、前述した「ワシリーラウンジチェア」です。この椅子の成り立ちもまたユニークで、実はデザインのインスピレーションは自転車のハンドルバーからというから驚きです。

そんな椅子をモチーフとしたこのカスタムバイクは、「2輪車(自転車)」を元にデザインされた「椅子」を再び「2輪車(バイク)」で再現したという、ちょっと先祖帰り的な由来を持つという意味で、とても興味深い作品だといえます。

 

ビンテージバイクに最新エンジンを搭載

さて、このバイクの話に戻りましょう。
まず、ベースとなったのは、BMWのアドベンチャーモデルF850 GSです。人気のGSシリーズ中で中核をなす最新モデルで、最高出力95psを発揮する853cc・水冷4ストローク並列2気筒エンジンを搭載しています。
フロントに21インチタイヤを装備していることをはじめ、オフロードでの高い走破性を実現するほか、最新の電子制御システムなどでオンロードでも快適な走りが楽しめるのが魅力です。

 

BMW F850GS

このカスタムバイクでは、このF850GSに搭載されている最新型のエンジンを採用し、オリジナルのショートマフラーを装備しています。

ただし、フレームはF850 GS用のままだとイメージするデザインに合わないため、また別のバイクから流用されています。それは1970年代に作られた、599ccの並列2気筒、BMW伝統のボクサーツインを搭載したミドルサイズのスポーツモデルBMW R60/6です。

 

「バウハウス100」は、その美しいスチールパイプフレームの後端をカットして、新たにスイングアームも兼ねたデザインとしたオリジナルフレームを追加。また、タンクやシートもワンオフ製作で、これらも「ワシリーラウンジチェア」をオマージュしてデザインされたものです。

 

フロントフォークのデザインも独特

さらに、フロントフォークには、1950年代のバイクによく使われていたガーターフォークを採用しています。2本のパイプをリンク2箇所で繋げた形式で、スプリングはステム下に1本を搭載。フォークを側面から見た形状が松の葉に似ていることから松葉フォークとも呼ばれるサスペンションです。

 

ハーレーのカスタムによくある、フロントフォークをあえて長くしたチョッパースタイルに使われる形式で、ビンテージ感が演出できるのが特徴です。そこにフロント19インチ、リヤ18インチのディッシュタイプホイールを組み合わせることで、デザインの元になった椅子に使用されているスチールのような、独特のマテリアル感も演出しています。

 

カスタム史に残る名作、もはや美術作品

そして、完成したのがこのカスタムバイク。フレームなどの細部に、あえて溶接跡を残すことをはじめとした工夫で、オリジナルの名作”パイプ椅子”の雰囲気を忠実に再現している手の入れようです。
これをカッコイイと思うか否かは、見る人の好みで大きく分かれそうですが、むちゃくちゃ”アート”しているという意味では、かなり突出した1台であることは間違いありません。

Krautmotors

公式サイト

平塚直樹

平塚直樹

クルマやバイクの新車やお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジー、カスタム車など幅広く記事を執筆中。バイクやクルマ系雑誌の編集者を経て、フリーライターに。愛車はCBR650R、猫好き。