ヤマハの70年代バイクがまるでカスタムハーレーに!シンプルさとビンテージ感がたまらない

カスタムバイクのスタイルは、通常ベースモデルによってある程度決まります。
ところが、ここで紹介するヤマハの名車XS650がベースの「ESG652」は、元々がビンテージ感満点のスポーツモデルであるにも関わらず、ハーレーなどアメリカンバイクで王道のボバースタイルに仕上げたという意外性満点の1台。しかも、違和感が全くない自然な作りが目からウロコ!「カスタムは自由な発想が命」といわんばかりの1台です。

 

1970年代に人気を博した空冷2気筒マシン

ポーランドのカスタムバイクショップ、Eastern Spirit Garageが製作したのがこの「ESG652」。ベース車は、1970年に登場したXS650です。
ヤマハが初めて製作したバイク用4ストロークエンジンを搭載したことで有名なこのモデル。元々2ストロークエンジンだけを作っていたヤマハは、トヨタと共同で作った4輪スポーツカーのトヨタ2000GTのノウハウを活かし、バイク用に653cc・空冷直立2気筒を製作。その記念すべきエンジンを心臓部に持つスポーツバイクがXS650なのです。

 

ヤマハ XS650”スペシャル”(1978)。ベースはスタンダードなネイキッドスポーツだったが、最後期には和製アメリカンバイクのはしりともいえるこのようなモデルも存在した。

当時の日本では、ホンダCB750Fourなど4気筒のナナハン(750ccバイクに付いた愛称)車が人気だったため、XS650は国内市場であまり人気は出ませんでした。ところが、アメリカなど海外では、高い走行性能などで大きな人気を獲得。現行モデルであるXSRシリーズのスタイルは、このXS650が元ネタになっているといっても過言ではありません。実際、XSR700のプロモーションにXS650の海外仕様XS-1が使われました。

 

フレーム後部をカットしシートも新設

このカスタムバイクはそのXS650をベースに、前述の通り、アメリカンバイクで人気のカスタムであるボバースタイルに大変身させたことが大きな注目点です。ちなみに、ボバーとは1930〜1940年代にアメリカなどで流行したダートトラックレースで活躍したバイクをイメージしたカスタム手法です。

主な特徴は、レーサーさながらに、走行に最低限必要な部品以外は極力取り外してシンプルさを追求すること。特に、前後フェンダーは短くカット、もしくは全く外してしまうのが王道です。なお、ボバーの語源は、そのフェンダー形状が、短くカットしたヘアスタイルのショートボブをイメージさせることから来ているといわれています。

 

「ESG652」も、ボバーのそういったカスタムの文脈が源流となっています。部品をできるだけ外すことはもちろん、大胆にもフレーム後部をカットするなどで大がかりなモディファイを敢行。そして新たにスイングアームを新設し、フローティングタイプのシングルシート、クリップオンタイプのセパレートハンドルなどをワンオフで製作しセットしています。

 

 

ショート仕様のフロントフォーク

フロントフォークは角度を寝かせたショート仕様とし、全体的に低いフォルムを実現。ホイールは、アフターマーケットで販売されれているハーレーダビッドソン・ファットボーイ用16インチのディッシュタイプで、ブラックとオレンジのカスタムペイントに極太タイヤが、レーシーさと迫力満点のスタイルを演出しています。

 

さらに、ハーレーのスポーツスターに装備されているようなピーナッツ型の燃料タンクは、ヤマハ製アメリカンバイクのビラーゴ用を流用し、見事にマッチング。グロスブラックにゴールドのピンストライプのカラーリングが、精悍なイメージも醸し出しています

そのほか、左右出しのショートタイプマフラーやステップなどもワンオフで製作。これらにより、シンプルさとビンテージ感を合わせ持つ個性的なスタイルを実現しています。

 

ヤマハの古い名車が、まるでハーレーカスタムのような驚きの姿に変身を遂げたこの1台。ジャンルを超えたトランスフォーマーともいえる「ESG652」は、「このバイクにはこのスタイル」といったコンサバティブな流儀やルールにとらわれない、「自由な発想」がカスタムにとって最も重要なファクターであることを再認識させられるバイクなのです。

Eastern Spirit Garage

公式サイト

ヤマハ発動機株式会社

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平塚直樹

平塚直樹

クルマやバイクの新車やお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジー、カスタム車など幅広く記事を執筆中。バイクやクルマ系雑誌の編集者を経て、フリーライターに。愛車はCBR650R、猫好き。