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みんなはセル派?キック派?比較しながらキックスターターの絶滅危惧に迫る

みんなはセル派?キック派?比較しながらキックスターターの絶滅危惧に迫る

キーをオンにして、キックペダルを開き、軽く踏みこんで上死点手前を探り、アクセルちょい開けで、一気に踏み下ろす・・・・・・

そんな儀式的手順が必要なキックスターターですが、街中や路傍で思わず脳裏に「♪キック~、キック~、キックの鬼だぁ~」と浮かんでくるような熱いシーンに出会うことは最近ではとんとなくなりました。

 

筆者が原付を除いて最後にキックペダルを踏んだのは、250cc2サイクルエンジン搭載のヤマハR1-Zの最終型に乗っていた2010年ごろだと記憶しています。2007年に施行された排ガス規制で2サイクル車が壊滅していなければ、まだキックスターターを装備した現行車も数多く残っていたかもしれません。

現在主流のセルの方がもちろん便利ですが、キックにも根強い愛好者がいることも事実。今回はそれぞれの良さを比較してみようと思います。

 

とにかく楽チンなセル

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正しく呼ぶなら「セルフスターター」の良さですが、それはもう比べるまでもなく楽チンなところでしょう。きちんと整備されているバイクなら、座ったままでボタン一発。

ちょっとご機嫌ナナメなバイクでも、根本的な不具合がない限りはカンタン確実に始動できます。キックや押しがけなら汗だくで疲労困憊するような場面であってもです。林道をわざと外れての、七転八倒獣道ツーリングでの足場の悪い場面でもセルは心強い味方です。

そもそも支えていないと滑り落ちてしまったり、自分の足で立っているだけでも少々厳しい場所で、それほど足つきの良くないオフ車ともなれば、再始動はラクな方がいいに決まっています。

 

儀式めいたカッコよさのキック

みんなはセル派?キック派?比較しながらキックスターターの絶滅危惧に迫る

「キックスターター」の良さといえば、そりゃぁもちろん冒頭に書いたような一連のシーケンスによる、儀式めいたカッコ良さに尽きるでしょう。実際には車種や状態によりデコンプ(圧縮抜き)やチョークといった操作も必要だったりもします。

あれを思わず「カッコいい!」と思ってしまうのは、排気量が大きかったり、圧縮キツかったりで「そんじょそこらの人間には始動だけでも困難で面倒なものを、俺は難なくこなせて乗れるんだけどね」といったバイカー諸氏にありがちのナルな男の子思考への共感といったものはあるかもしれません(笑)。

 

ちょっと真面目に付け加えると、エンジンの始動時以外は余計な重量でしかないセルモーターそのものや、それを駆動するための大容量バッテリーが不要で、そのぶん軽量コンパクトにできて、電気に頼らない単純な機構そのものは(ほぼ)トラブルフリーといった点もキックスターターの利点ですね。

特に4サイクル車よりも総じて圧縮比が低くフリクションが少ない(キックの踏み込みが軽い)、着火のチャンスが同回転あたりで2倍となる2サイクル車とキックスターターは相性が良く、より小型軽量にまとめるための要素でもありました。

 

それでも残っているキックスターター車

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そんな絶滅危惧なキックスターター装備車ですが、ちゃんと現行モデルも存在しています。主にクラシカルなイメージを大切にするモデルに採用されており、ヤマハ SR400やロイヤルエンフィールドのブリット500などが代表的です。もっとも後者はセル併用モデルですが。

ちなみにKTMには純正のオプションパーツとして、キックスターターの後付けキットが用意されていたりもします。

 

序文では2サイクル車の絶滅をキックスターター装備車が減った要因としてあげていますが、4サイクル車でもフューエルインジェクション(FI)が主流となった影響でバッテリーの搭載が必須に。じゃあついでにセルもつけとけば?となってきたのかもしれません。

現行SR400がFIでもキックなのは、ポルシェが本格スポーツとして不利を承知でリアエンジンの911を造り続けているのと同じことかもしれません。そのモデルについたイメージをユーザーが潜在的に求めてしまうわけですから。

 

筆者は間違いなくセル派

これだけキックスターターの良さを伝えている筆者ですが、やっぱりセル派です。デコンプがついているほどの大排気量4サイクルのキックは未だしたことがないくらい。ウワサに聞くケッチン(※)は原付や小排気量車でも経験はありませんが、やっぱり怖いですし(笑)。

今となってはよっぽどノスタルジーに浸りたいわけでもなければ、セルにしておいたほうが無難でしょうね。

(※)中途半端に踏み込んだペダルが逆回転して勢いよく跳ね上ってくる現象。大排気量車だと踏んだまま宙に飛ばされたり、骨折や腱断裂することもある・・・・・・と2世代くらい上の爺さんライダー連中が散々自慢げに話していた。
Writer: Kenn

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