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カフェレーサーを語るうえで、欠かすことのできないムーブメントといえるロッカーズ。今回の記事ではファッション・スタイルとしてのロッカーズの隆盛と、それらに大きな影響を与えたといわれるマーロン・ブランドについて調べてみました。
実のところ筆者もそれほど詳しいわけではないので、調べて書き連ねながら知識の再整理をした感じです。21世紀の現在も「俺はまだまだ現役のロッカーズだぜ!」なんて人がいたら、是非補足修正等あればお願いします。
ロッカーズとカフェレーサー
現代においてカフェレーサーとはなんぞや?といったときに、簡単に言えば「1950年代後半~1960年代後半のイギリスで、24時間営業のカフェに屯するライダー達が公道レースのために愛車を改造したスタイル、ひいてはそれをオマージュしたスタイルのバイク」ということになるでしょう。
数々のカスタムビルダーが様々に凝りまくった「カフェレーサー」を生み出していることから何か特別なもののように感じたりもしますが、もともとは当時のレーシングマシンを手本として、ストリートユースに用いたというものに過ぎません。(典型としてシングルシート、バックステップ、低いハンドル、軽量化等)
そのカフェレーサーを駆っていたのが「ロッカーズ」と呼ばれていた若者達ということになります。
ロッカーズ前夜(The Hollister Riot)
1940年代後半。第1次大戦やベトナム戦争でもそうであったように第二次大戦終結にあたっても同様で、ヨーロッパやアジアの戦地から帰還した元兵士たちの一部は戦場での生活に適応し過ぎたあまり、平穏な日常の生活を送ることにむしろ苦痛を感じたといわれています。
そういった彼らにとってスピードとスリルによる興奮が恰好の戦闘の代替行為となったり、当時大量にあった軍の払い下げ品であれば若者にも買えること、軍隊で学んだ運転や整備の技術等もあわせて、空前のバイクブームとなっていきます。
そんな中で発生したのがホリスターの騒動で、アメリカのカリフォルニア州ホリスターという人口4,500人ほどの小さな街で1947年7月3日から行われたバイクイベントをきっかけとして、街のキャパを大きく超えた4,000人ほどのバイカーが押し寄せて往来を占拠し、逮捕者60名程度を出しながら3日に渡って騒ぎを起こした…… というものです。
この事件を題材としたものが、映画「The Wild One(邦題:乱暴者)」です。
映画「The Wild One(邦題:乱暴者あばれもの)」1953年
前項で述べたホリスターの騒動を題材として、架空の町での出来事の体裁で制作された映画で、主演のマーロン・ブランドのファッションが、その後のライダー / バイカーに大きな影響を与えました。
が、正直なところ今見返してみても、映画の筋書きそのものはたいして面白いとは思えませんでしたので割愛します(笑)
「反社会的である」としてイギリスでの公開は1968年になってからなので、ファッション・スタイルとしての伝播は映画の直接の影響よりも、イギリスの気候と目的(街道レース)に合致していた必然と口コミからという見方もあります。
マーロン・ブランド
リアルタイムの記憶では、甲高い嗄れ声でボソボソと喋るマフィアのドンや、密林深くに巣食った脱走兵の親玉を演じたハリウッドの大物ぐらいにしか印象がなかったのですが、調べてみるとこれがなかなかおもしろい!
- 軍学校でさえ扱いきれず放校されてしまうほどの反抗癖
- 舞台や画面では判り易いようにやや大げさに振る舞うそれまでのものと違った、場合によっては聞き取りにくかったり判りにくかったりすることを許容した、よりリアルな演技法の確立→20世紀最高の俳優との評価
- それまで下着とされていたTシャツを見せる着こなしの始祖(ジェームス・ディーンやプレスリーも追随)
- 駆け出し→売れっ子→トップスター→ギャラ高騰&問題行動でお呼びがかからなくなる→没落→B級映画にも多数出演して糊口をしのぐ→「ラストタンゴ・イン・パリ」と「ゴッドファーザー」で完全復活
- ソフィア・ローレンに「口がくせぇ」と言い放った
- ゴッドファーザーでのヴィト・コルレオーネ役(53歳 – 63歳)は、当時48歳で挑んだ老け役
後年ロバート・デ・ニーロが「アンタッチャブル」でアル・カポネを演じるにあたって25kgの体重増と生え際の後退(脱毛)をしたのも、「ゴッドファーザー」でのマーロン・ブランドを倣ってのことと言われており、「ゴッドファーザーPart2」では、本来ブランドがオファーされながらも蹴ったヴィトの若かりし日を、ブランドを意識して演じるデ・ニーロの名演を見ることもできます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
由来をまとめていくうちに後半は少々映画に傾きすぎてしまいましたが、次回はロッカーズに関してのもう少し直接的なあれこれに触れてみたいと思います。