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ハーレー本社が新エンジン「Milwaukee-Eight(ミルウォーキーエイト)」を発表しましたね! 新エンジン搭載モデルの動向も気になるところですが、ついでに過去のハーレー・エンジンについて、本社の公式写真を眺めつつ、駆け足で学んでみましょう!
ミルウォーキーエイトの概要
タイトル画像が新型エンジンである「ミルウォーキーエイト」。単体で見るとコンパクトなエンジンに見えますが、車両に搭載すると、このように見えます。
エアクリーナーのデザイン処理により現代っぽい感じがしますが、45度Vツインであることは今まで通り。
以前のモデルに比べ、ピークトルクが約10%向上し、4バルブシリンダーを採用しており、吸排気効率の向上を果たしています。またカウンターバランサーの装備により、一次振動(アイドリング時)を75%相殺します。
Milwaukee-Eightには、幾つかのバリエーションが作られるとのこと。
- “Milwaukee-Eight 107″は1,750cc、油冷シリンダーヘッドを採用。Street Glide®/Street Glide® Special、Road Glide®/Road Glide Special®、Electra Glide® Ultra Classic®、Road King®、それにFreewheeler®に採用されます。
- “Twin-Cooled™ Milwaukee-Eight 107″は1,750cc、水冷シリンダーヘッドを採用。Ultra Limited/Ultra Limited Low、Road Glide® Ultra and Tri Glide® に採用されます。
- “Twin-Cooled Milwaukee-Eight 114″は1,870cc、水冷シリンダーヘッドを採用。CVO™ Limited と CVO™ Street Glide®に採用予定です。
バルブ数が増え、バランサーを装備し、水冷化され…と、洗練されて行くにつれて、荒々しいフィーリングが失われてしまう懸念はあります。でも、これも時代の流れ。ピークトルクが約10%向上するとのことですので、スムーズな吹け上がりが期待できそうです。
ツインカムではアウドリングが約1,000回転だったのに対し、ミルウォーキーエイトでは850回転と、さらに低回転化したのは、ユーザーにとっても嬉しい限りですが、しかし、ツインプラグ化はいかがなものでしょうか…。
また、カム数に由来する「ツインカム」で培った技術を一切捨て、再びシングルカムに戻っています。ウィークポイントだったからなのかもしれませんが、なんでやねん!とツッコミを入れたくなります。普通にツインカム+ギアカム化されれば良かったのではないでしょうか。(そうするとS社あたりが文句を言い出し…自重。)
さて仕切り直して、ここからは歴代ハーレー製エンジンを、本社の公式写真を元に駆け足で振り返りますよ。
1909年:初めてのVツインエンジン
1909年にハーレー・ダビッドソンが初めて製造したVツインエンジンがコチラ。「モデル5-D」に搭載されたVツインエンジンです。
それまでの単気筒エンジンから、高出力化を目的として製造されました。それがアメリカン・モーターサイクルのアイコンとなるとは、当のハーレー本社も予想していなかったことでしょう。
1929年:フラットヘッド
750ccモデルを中心に採用されていたフラットヘッド。フラットヘッドとは、ハーレーのサイドバル駆動エンジンの愛称です。吸排気バルブがシリンダー横に配置されているため、シリンダーヘッドが独特のシンプルな形状をしていたことから、そのように呼ばれました。
1929年に製造が開始され、「モデルD」に搭載されました。耐久性・信頼性が高かったため、その改良版エンジンは1972年まで製造されました。写真は1933年式です。
1936年:ナックルヘッド
OHVを採用したのが、1936年に”EL”に搭載されたエンジン”ナックルヘッド”。シリンダーヘッドに置かれているロッカーボックスの形状が拳骨に似ていることから付けられた愛称です。
クランクケースからシリンダーヘッドに伸びるオイルパイプから、このナックルヘッドが時代に即したオイル循環システムを新たに装備したこともわかります。次世代以降のハーレー・エンジンの基礎を築いたとエンジンと言われる由縁です。
いかがでしたか? 今回は、ハーレー新型エンジン「Milwaukee Eight」の登場をキッカケに、ハーレーVツインエンジンの源流からナックルヘッドまでの歴史をざっくりとご紹介いたしました。後編では、パンヘッドからレボリューション2までをご紹介しますので、そちらもご覧くださいね。