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ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

ついにハーレーダビッドソンに排気量400cc以下のモデルが「X350」がラインアップされました。同タイミングで「X500」というモデルとの同時発表で、クルーザーのイメージが強いハーレーにおいて意外なレーサースタイルであることも大きな話題となっています。そんなX350にfor Ride編集部が試乗、実際の感想をお届けします。

前屈姿勢で乗るハーレー

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

このスタイリングを見て、ハーレーと結びつけられる人はそう多くないでしょう。文字どおりアメリカンスタイルのバイクを手がけているイメージが強いハーレーが、シャープなシルエットのレーサーバイクを作るとは想像しにくいはず。しかも排気量は350ccというミドルクラスのモデルで、お察しのとおり普通自動二輪免許(中型免許)で乗れるバイクなのです。

大排気量のクルーザーが多くラインアップするハーレーは2019年、中国のバイクメーカー「銭江モーター」と生産委託契約を結び、新たなマシンの製造に着手。このX350は銭江モーターが作成したイタリアのバイクブランド「ベネリ」のS302と同型のエンジンやフレームといったマシンを用いており、ハーレーがデザインしたボディパーツが用いられている構造です。

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

ハーレーとのイメージが合わないこのスタイリング、実はハーレーの歴史において欠かせないフラットトラックレーサー「XR750」をインスパイアしたものなのです。ラウンド型ヘッドライトに鋭く跳ね上がったリアエンド、シャープなボディラインはXR750そのもの。

今回お借りした車両はパールホワイトですが、別カラーのダイナミックオレンジになると往年のハーレー乗りはXR750と見紛うことでしょう。

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

如実に違うのは、ハーレー伝統のVツインエンジンではなく直列2気筒のパラレルツインエンジンである点でしょう。この構造を採用したことでボディそのものがコンパクトにまとまり、旋回性や取り回しやすさが担保されています。

Vツインエンジンだと車体の全長やホイールベースが長くなり、小回りに差が出てしまいます。その点、X350は現代のロードシーンに合った設計のバイクだと言えるでしょう。

ハーレーだが、ハーレーじゃない

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

実車を手押ししただけでわかる軽さ。車重は195kgと、200kgオーバー、モデルによっては300kgや400kgを超えるバイクが並ぶハーレーを思うと、感動的でさえあります。ハーレーのロゴがなければ、国産モデルのバイクと区別がつかないほどです。

それは実際に走り出しての印象も同様です。スロットルを捻ってからのレスポンスもクイックで、もたつくことなく街中を駆け抜けていけます。旋回性も高いので、少し窮屈なコーナリングでもスポーティに走れてしまいます。中国のメーカーが手がけたことも起因するのか、ライディングポジションも日本人体型に合っているよう。バイクとして見たら実に優れていると思います。

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

本当に、国産の中型モデルに試乗しているような錯覚を覚えるバイクです。そういう意味では、ハーレーダビッドソンの名を冠してはいますが、ハーレーとは違う文脈のモデルと言えるX350。とはいえ「ハーレーはこう」という先入観はもはや不要、新しい時代の象徴として生み出された時代の寵児とも言えます。

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

インプレッションライダーとして今後に向けた改善をお願いしたいのが、シートです。ちょうど太ももの内側に干渉するシートのラインが角張っていて、信号待ちなどで足を着く際はこの角がずっと太ももの内側に食い込んできていました。海外バイクメーカーのシートあるあるで、特にフラットトラッカーであるXR750をインスパイアしたのであれば、シートの股間部分は丸みを帯びておいてほしいところ。主なライドシーンはストリートで、ロングツーリングを楽しむ仕様ではないのでオフロードバイクのような細身仕様にしていただければ足つきもグッと良くなります。

現在、いろんなカスタムパーツメーカーがX350用のパーツを開発中とのことなので、弱点を改善したX350用のシートをドロップしてくるかもしれませんね。

身近な存在になったハーレーをとことん楽しめ

ハーレーは大型だけじゃない!中排気量モデルのX350に試乗

かつてスポーツスターXL883が88万3,000円(税込)で販売されていた時代もありましたが、このX350の販売価格は69万9,800円(税込)と実にリーズナブル。国産メーカーの同クラスモデルの価格と遜色ありません。ハーレーのブランド力も相まって、生産初年度にはX500とともに初期生産1,000台が決まったほど。日本の免許制度も考慮され、ますますお求めやすくなったハーレーダビッドソン。その急先鋒となるX350からハーレーダビッドソンの世界に触れ、そこから深く深く踏み込んでいってみてはどうでしょうか。

X350のスペック

エンジン形式水冷 4ストローク 並列2気筒 DOHC
排気量353cc
最高出力36.7PS / rpm
最大トルク3.16㎏-m / 7,000rpm
車両重量195kg
燃料タンク容量13.5L
全長2,110mm
シート高817mm
ホイールベース1,410mm
タイヤサイズF:120/70ZR17、R:160/60ZR17
カラーバリエーションダイナミックオレンジ、ドラマティックブラック、スーパーソニックシルバー、パールホワイト
価格(税込)69万9,800円
Writer: 田中 宏亮

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