伝説のイギリス戦闘機をバイクで表現!? アルミむき出しボディの迫力たまらん!

第2次世界大戦で活躍した「スピットファイア」という戦闘機をご存じでしょうか?イギリス空軍が1940年代にドイツ空軍との防空戦で使用し、国を守ったことから「救国戦闘機」と呼ばれた高性能機です。

その伝説の戦闘機をオマージュして、スイスのカスタムビルダー「VTRカスタムズ(VTR Customs)」が製作したのがこのバイク、その名もまさに「スピットファイア」です。

 

アルミむき出しの楕円形ボディは、まさに戦闘機のスピットファイアが旋回性能を向上させるために採用した主翼を彷彿とさせるスタイルを実現。しかも、ただカッコイイだけじゃなく、欧州の人気ドラッグレースに、BMW公認のファクトリーマシンとして参戦するために製作された実力派なのです。

 

ベースはなんとBMW R1200R!

ぱっと見は正体不明のマシンですが、ちゃんとベース車は存在します。それは、BMWが2015年から2018年まで販売したネイキッドモデルのR1200R。つまりカスタムバイクなのです。

R1200Rをご存じの方なら、そのフォルムが全く違うことにお気づきでしょう。ちなみに、あまりよく知らない方のために、念のためR1200Rについて簡単に説明します。

 

BMW R1200R(2017)

エンジンは1169cc・空水冷4ストローク水平対向2気筒、シリンダーが左右に突き出たBMW伝統のボクサーツインを搭載します。最高出力125ps/7700rpm、最大トルク125Nm/6500rpmを誇ります。

ストリートファイター系の個性的デザインを持つこのバイクは、独自のトラクションコントロール機構DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)やクルーズコントロールなど、最新テクノロジーも採用。長距離ツーリングからワインディングまで、幅広い道で躍動感溢れる走りが楽しめるモデルです。

2019年のモデルチェンジで、排気量を1254ccにアップしたR1250Rにバトンタッチしますが、基本スタイルはほぼ変わらずそのまま。世界中で根強いファンを獲得しているという意味で、まさに“スタンダード”という言葉がピッタリのバイクなのです。

 

中身の仕上がりも大切なレース

さて、話をスピットファイアに戻しましょう。2018年に製作されたこのマシンは、BMWの2輪部門であるBMWモトラッドがスポンサードし、前述の通りドラッグレース用のマシンとして企画されました。

出場を狙ったのは、欧州の「Sultans of Sprint」というレース。決められた区間の直線タイムを競うドラッグレースのシリーズ戦で、現地ではかなり人気が高いことで知られています。特徴は、単に速さだけを競うのではなく、カスタムされた出場バイクの仕上がり具合やオリジナリティなども審査の対象になるというユニークなもの。

 

このバイクは、その中の「ファクトリークラス」用マシンとして開発。このクラスは、2輪メーカーが認定したカスタムビルダーが製作したマシンが出場するもので、スピットファイアはBMWのいわばワークスマシンという位置付けです。ちなみに、このクラスはほかにも、ハーレーダビッドソンやインディアン、ロイヤルエンフィールド、それに日本のヤマハなどの2輪メーカーも参戦しています。

 

ロー&ロングなスタイルを実現

スピットファイアのフォルムは、豊富な経験を持つVTRカスタムズが、いちからスケッチを起こしてデザインしたものです。

そのデザイン画に合わせて、まずはノーマルのR1200Rより低いフォルムにするための工夫がなされました。これは、走行中の空気抵抗を減らすためです。
中でも、フロントフォークは30cmも短くして、ステムの位置や角度が変更されています。これにより、全高はノーマルの111cmに対し、90cmを実現しています。

 

また、スイングアームを20cm延長し調整を施すことで、全長はノーマルの216.5cmから233.5cmにロング化。高速で走行するドラッグマシンに重要な、直進安定性を大きくアップさせています。

 

そしてボディ。全体をシルバーのアルミで包み込んだ複雑な形状は、職人技と呼ぶに相応しい仕上がりです。各部にはアルミを固定するタペットも施され、ワイルドな雰囲気満点です。

 

また、計器類は実際のスピットファイアで使われたオリジナルを装着しているのだとか。細部にまでこだわったカスタムが、このマシンに抜群の存在感を持たせています。

これらにより、そのフォルムはまさに“いにしえの戦闘機”!ビンテージ感さえ漂う作り込みには唯々脱帽です。

 

「スピットファイア」の由来もオマージュ!最高の一機

ちなみに、エンジンはレースの規定によりほぼノーマル。ただし、アクセルを全開にするとマフラーからバックファイア(炎)が出る特別の排気システムを採用しているのだそうです。

その姿はもちろん、走る姿も実際に見てみたい!そんなとっても気になるカスタムバイクですね。

 

VTR Customs

公式サイト

平塚直樹

平塚直樹

クルマやバイクの新車やお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジー、カスタム車など幅広く記事を執筆中。バイクやクルマ系雑誌の編集者を経て、フリーライターに。愛車はCBR650R、猫好き。